V FOR VENDETTA(4K UHD Blu-ray)/Vフォー・ヴェンデッタ/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

V FOR VENDETTA(4K UHD Blu-ray)/Vフォー・ヴェンデッタ/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

No Image 邦題 Vフォー・ヴェンデッタ
レーベル WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2005年
上映時間 132分
監督 ジェームズ・マクティーグ
出演 ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィーヴィング、スティーヴン・レイ
画面 2.39:1/HDR10
音声 DOLBY ATMOS 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch 日本語
字幕 日本語、英語

あらすじ

アメリカが国内内戦のために植民地化し、イギリスはサトラー議長による独裁国家になっていた。人々は夜間の外出を禁じられ、テレビから流れる情報に従うのみだった。ある夜、テレビ局の職員であるイヴィーは外出してしまい、取締り局の指導を受けそうになるが、マスクを被った人物に救われる。その人物は、街中のスピーカーを盛大に音楽で鳴らし、国家の建築物を破壊していた。その日は400年前の11月5日に国家に反逆し議事堂を破壊しようとして失敗したガイ・フォークスの行動を起こした日だった。Vと名乗るマスクを被った男は、翌年の11月5日に再び議事堂を破壊するために準備をおこし始める。Vは、かつてサトラー議長の命の元、生物兵器のモルモットにされており、そこから生き延びた唯一の人物であり、サトラー議長が国家を抑え込んで我が物にしているのを国民の手に取り戻そうとしていた。そのため、モルモットに協力した人物を徐々に抹殺していく。Vと一緒になったイヴィーも、家族が反体制派だったために国家によって抹殺された過去を持っており、また、Vの手によって過去の経緯を知ったためにVに協力をするようになる。サトラー議長は警察を使って、Vの正体を暴き、体制の維持に努めようとする。警察のフィッチ警視はVの行方を追っていたが、たどり着くことができずにいた。そして、1年後の11月5日がやってきた。

レビュー

アラン・ムーアとデヴィッド・ロイドによって描かれたコミックをベースに、「マトリックス」シリーズで人気になったウォシャウスキー兄弟が脚本を担当したアクション映画が、この「Vフォー・ヴェンデッタ」です。DCコミックからの映画化された作品になっており、興行収入は制作費を軽く上回るヒットになっています。映画の批評は水準に達しており、Rotten Tomatoesの批評家評価は73%、観客評価は90%となっています。

物語は、マスクを被った人物Vの正体を描く展開と、Vに関わったために次第に国家の真の正体を知り、Vとともに国家に反逆する若い女性イヴィーの心境の変化を軸に、サトラー議長が牛耳る未来のイギリスという国における独裁政治のありようと、それに反旗を翻すV及びイヴィー、そして大衆の行動を描いたアクション物でありながら、現代の日本の政治の有り様を皮肉っているようにも見えるストーリーになっています。制作年度からすると、当時の日本を皮肉っている訳ではないのでしょうが、残念なことに2023年の日本の政治を見ていると、まさにこの映画のテーマに合致してしまうように見受けられます。

映画のテーマは、国民の自由と国家の独裁による国民への圧政という相対する事項を扱っており、映画もストーリーのほとんどは国民が国家によって操られ、真相を知ることがない状況になっています。それを象徴するのがテレビであり、国民の多くはテレビ番組からしか情報を得ることもなく、その情報が唯一の真実であると思い込んでいる節があります。それを打破して国民に真実を知らせようとするのがVというマスクを被った人物であり、テレビ局で働いていながら、Vと行動を共にし始めるイヴィーという女性なのであります。

また、イヴィーも家族が反体制派だったために国家によって抹殺されたという過去をもって生きている女性です。普段はそれを意識していなかったイヴィーですが、Vと関わったがためにそれを思い出し、その真相に辿り着くことで、Vとともに反体制の行動を起こすようになっていきます。さらに、Vの策略により、擬似的に牢屋に入れられ、拷問を受けていたイヴィーは同性愛者である女性の遺書を見つけ、それを読むことで自由であることの重要性を見出し、それが反体制に繋がっているという展開にもなっています。

Vとイヴィーが行動するにつれ、次第に大衆も国家に対して疑問を持つようになり、クライマックスではVの策略に乗っかって、警官隊に対して対立を生むようになります。その印象的なシーンは、サトラー議長がテレビ画面であじっているシーンで、国民の誰もがテレビの前におらずに虚しく映像だけが流れる場面にあり、独裁を推し進める国家に対して自由を求める国民が決起してしまうという象徴的なシーンであると言えます。

物語でキーワードになっているのは11月5日という日付であり、これは400年前に国家に対して反逆を企て、議事堂を破壊しようとして失敗したガイ・フォークスという男の行動日にちなんでいます。映画の中では、国家からの独立を象徴する日付として、Vが国家機関の建物を破壊する日付が必ず11月5日になっています。物語のクライマックスも11月5日です。

映像は4K/HDR10で収録されています。IMDbによれば、マスターデータは2Kであると書いてありますが、Blu-ray.comやThe Digital Bitsでのレビューを読む限りでは35mmフィルムから新たにこの4K UHD Blu-rayのために4Kスキャンを行った、と書いてありますので、ネイティヴ4Kでの収録になります。解像度はフィルムの粒子が見えるほどには高精細ですが、その高精細感よりはHDR10による色彩管理の方が効果的で、Vが国家の建物を爆破するシーンの鮮やかな炎や花火といった爆発物の色彩や、ダークなトーンの色彩の方に魅力を感じます。

音響も映画オリジナルはDOLBY DIGITAL 5.1chなのですが、この4K UHD Blu-rayのために新たにDOLBY ATMOSでミックスし直しています。このDOLBY ATOMS効果は絶大で、終始音が視聴者を取り囲むかのような音場感を作り出していますし、オブジェクトの配置もパーフェクトです。総じて映画の中に没入するためのサラウンドとして迫力のある空間を生み出しています。また、重低音の響きもバッチリで、音に迫力があります。

なお、このディスクはアメリカからの輸入盤ですが、日本の4K UHD Blu-ray Playerで再生すると、自動的に日本語メニューが現れ、音声も日本語吹き替え、字幕に日本語字幕が選択できる世界共通ディスクになっています。そのため、輸入盤でありながら、視聴は非常に楽であったと言えます。

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