mofa主催 特別公演 佐野元春バースデイ記念ライブ2006横浜BLITZ

2006年3月12日

 3 月 10 日に神奈川県民ホールで公演された「Tour 2006 星の下 路の上」から一日置いて佐野元春バースデイ記念ライブ2006 が開催されることになった。当初このライブは予定されておらず、「Tour 2006 星の下 路の上」の神奈川県民ホールがバースデイスペシャルライブとなる予定だったようだが、2 月に入って突然佐野元春公式ファンクラブ "mofa" から郵便でファンクラブ会員限定の公演決定を受けてチケットの申し込みを行った。2005 年 10 月に開催されたスペシャルライブ「The Lazy Dog Live」を観に行くことが出来なかったので、「今度こそは。」と思っていたら今回はチケットが当選し、めでたくライブに参加できるようになった。

 

 会場となった横浜 BLITZ は初めてのところであるが、1989 年開催の横浜博覧会以降度々みなとみらい地区の変遷を見続けてきた身としては、「思い描いていた未来とは違っていたけれど」やはり未来都市になってきたのかな、という気がする。横浜 BLITZ は単独で出来ているライブハウスではなく、GENTO YOKOHAMA というアミューズメント施設の一角に位置している。映画館やレストラン、ゲームセンターなどが複合された施設である。会場時間頃に到着したが、まだ場内の入場が出来ないで多くのファンが路上で待っていた。mofa のスタッフがファンの顔写真を撮影していた。後で会報誌やファンクラブ専用サイトで紹介するらしい。

 

 17:36 にようやく会場となる。ツアー途中のイベントということがあるのか、珍しくグッズ販売をしていた。僕は一回立見席、整理券番号 550 番だったので早々に会場に入り、できるだけ見える場所を確保する。後で知人に聞いたところでは整理番号 300 番までは席が確保できたそうである。また 2 階は最初から座席が設置されているので今回のライブの参加者は 1000 人少々の参加かな、というところである。場内の SE はいつものツアーと違ってちょっとサイケデリックなサウンドが流れていた。

 

 会場前にファンからの佐野元春や、THE HOBO KING BAND、TTシスターズに対する質問、メッセージを記入する用紙が配られていて、スタッフが回収に忙しかった。今回のライブは佐野元春のライブとしては珍しくトークセッションがあると言うことである。その司会をされるのがラジオの DJ でおなじみの中村貴子さんであることが公演開始前のアナウンスで紹介される。

 

 開演時間 10 分押しの 18 時 10 分に「二人のバースデイ」が流れ始める。ファンは拍手とともに既に皆で合唱し始めていた。いい雰囲気である。続いてジャイアント・サイトの「The Beat Goes On」が流れてくる。THE HOBO KING BAND のメンバーたちがステージ上に現れ、定位置に付く。いつものように古田たかしの激しいドラムの音からライブがスタートする。

 

ライブ本編

1.HOBO KING BANDのテーマ'06

 一昨日前に聴いたばかりなのにまた曲の雰囲気が違って聴こえる。会場の荒削りなホールトーンや、ファンの雰囲気、バンドメンバーの意欲がそう感じさせているのだろう。この曲は、ぜひとも何らかの形でパッケージメディアに残してもらいたいと思う。約束通りに途中から佐野元春登場。

 

2.アンジェリーナ

 続けて「アンジェリーナ」である。一気に会場のボルテージが上がる。記念すべきデビュー曲を凄い勢いで演奏していった。

僕は大人になった

 ここからTTシスターズが登場してきて一気にステージ上に華やかさが漂ってくる。佐橋佳幸のギターソロは今日も快調。「僕は大人になった」=「つまらない大人になりたくない」という意味合いがより強く伝わってくる。「I'm a Big Boy Now」のリフレインとそれにかぶさるように歌われる「♪ずっとさっきから桟橋近く腰をかけて〜ため息をつくのはもうやめよう」にその意味合いが強いと思う。

 

3.COMPLICATION SHAKEDOWN

 今回の演奏はスローなようでやはり疾走感にあふれているというなんだかアンビバレンツな感じを受けてしまった。少なくとも神奈川県民ホールでの演奏よりは早い印象が強かった。

 

4.HEART BEAT

 三回もこの曲を聞いていると、すっかり今のレゲエアレンジがお気に入りなってしまう。最初の江戸川区総合文化センターのときはサビだけハマり、神奈川県民ホールのときは全般的にハマり、今回は気付いていながら後で忘れていた「♪Can You Hear My HeartBeat ? 」のときの佐野元春の両手でハートマークを作る仕草に心地よさを感じていた。

 

5.風の手のひらの上

 ここからは座席を確保できた人たちは座って聞くコーナーに突入。THE HOBO KING BAND の結成の辺りの話を色々行ったかと思えば最終的にはウッドストックでのレコーディングの話になり、そうして演奏されたのがこの曲。ツアーでは 90 年代の曲がほとんど演奏されていないことを考えるとサプライズである。前ツアーの「THE SUN Tour」のときにも演奏されていたが、今回は少し力強さを感じるアレンジになっていた。

 

6.ヤング・フォーエバー

 ウッドストックでの話が結構長く、なかなか面白かった。曰く「ウッドストックでの食生活は草や花とかでオーガニック的過ぎる。」とか、「可愛い七面鳥を外で見かけてその後ランチに呼ばれたら七面鳥の丸焼きが出てきて、さっきの知り合いなのかなと考え込んだ。」だとか、「夕食の食事は肉が食べたいから片道一時間はかかる近くのスーパーに皆で買出しに出かけて肉の食材を買い込んできた。」とか、「実は井上富雄が一時期板前をやっていたから時々バンドのメンバーのために自炊していた。」など、普段だったら話さないようなことを色々話した後、本当に久しぶりに「ヤング・フォーエバー」が演奏された。かなり荒削りなロック色の強い曲に生まれ変わっていた。初めてこの曲が好きになった。

 

7.君を探している

 二曲「THE BARN」からの収録曲を演奏した後にその勢いでこれまた久しぶりの「君を探している」が演奏される。初期の曲なのに「THE BARN」的な雰囲気の曲だと初めて思った。違和感がないのである。

 

8.ドライブ

 再び「THE BARN」から最後の曲ということで「ドライブ」が演奏される。いい意味でこのコーナーは「やられた」と思った。

 

9.観覧車の夜

 「THE BARN」からの曲を演奏したせいか、「THE SUN」からの曲はこの曲だけだった。でも歌詞も演奏も好きな曲なのでいつまでも続いてくれ、と言いたくなってしまう曲である。

 

10.悲しきRADIO

 今回もこの曲が歌われる前に長い MC があった。「MOTOHARU RADIO SHOW」のこと、「子供の頃、いやなことがあってもラジオから流れてくるご機嫌なロックを聴いて寝てしまうと次の日にはすっきりした気分でいられた。」といったこと、「テレビよりラジオの方が好きだ。」ということ、「でもここだけの話だけれども、今のラジオはつまらない。」と今の商業主義的ラジオに対するちょっとした異議申し立てまで飛び出した。著作権の絡みはあるとはいえ、ポッドキャスティングという方式が出てきたことも影響があると思う。当然ファンもよく分かったもので最初から合唱状態、定番パートはパーフェクトである。でも個人的にはデビューの地、横浜なので「THE HEARTLAND HOUR」ネタもほしかったな、と思った。

 

11.約束の橋

 この辺りからラストに向かって疾走感が増しはじめる。当然この曲も合唱である。

 

12.SOMEDAY

 今回もこの曲に対する MC が入る。ただ内容がまた変っていて「この曲を作ったのは 23 歳か 24 歳のころだと思うのだけれども、どうしてもある一節が決まらなくて深夜の 3 時、4 時まで悩んでいた。その瞬間、ティンカーベルが魔法の粉を振り掛けたようにいいアイデアが浮かんで来た。そしてすぐにバンドのメンバーに集まってもらって録音したんだ。」というようなことを話していた。どこの部分が決まらなかったのかな、と思うけれど、51:49 で希望と絶望について歌った曲だからそれをファン個々人が考えてみるのも面白いと思う。

 

13.NEW AGE

 そしてライブ本編ラストはツアー通り「NEW AGE」で終わる。会場内のボルテージは最高潮である。

 

ライブアンコール

1.彼女はデリケート

 佐野元春の「このままトークセッションに行く ? それとももう一曲行く ? 」という問いに当然ファンはもう一曲とくるのでまたまた久しぶりの「彼女はデリケート」を演奏する。昔はアンコール定番だったけれどここ最近はそうでもなかったから、ご機嫌である。

 

トークセッション

 20 時 05 分にライブ本編は終了し、約 20 分近い休憩時間が入る。20 時 25 分頃にバンドのメンバーが私服でステージ上に登場し、DJ の中村貴子さんも登場。トークセッションが始まった。トークセッションと言ってもファンの質問にバンドのメンバーが答えるという内容で、雰囲気がほとんど楽屋のノリのようなので会場内は大爆笑に包まれていた。

 すべての質問は覚えていないのだけれども、覚えているものをいくつか。

 

・TTシスターズのお二人に「メンバーの印象についてどうですか。」と質問される。ただし意地悪な質問なので、「1.お父さんみたいな人、2.恋人にしたい人、3.結婚相手として選びたい人」など 6 項目に分けられていた。

→ 二人とも「今後の仕事に差し支えるー。」と困った顔をしつつもお父さんみたいな人は山本拓夫と Dr.Kyon と答えていた。恋人とか結婚相手についてはごまかして「全員です。」と流してしまった。ちなみに「古田たかしだけはいい人のように見えて実は...。」だそうである。後で「やんちゃな人。」と言っていたけれど、本当の部分は「内緒。」。

 

・「佐野元春の印象について教えてください。」という質問。

→ TTシスターズは「 TV で見たままの人」。山本拓夫、Dr.Kyon は「スタジオ内をいつもうろうろしている。しかも八の字に回っている。まるで檻の中にいるライオンみたい。」。古田たかしは「デビューした頃のリハーサルでリハーサルから全力疾走するとんでもない人だ。」と答え出したら、なぜか佐野元春が「伊藤銀次とドラマーをどうしようか。つのだ☆ひろにしようか。でもそうするとドラムが前面に出てきてしまうしな、とか会話をしていた。」とか変な方向に話が進んで行って、結局何人かの候補者の中から古田たかしが選ばれた話に戻った。

 

・「佐野元春が女性だったらメンバーの誰と結婚したいですか。」という質問。

→ そっけなく「いないね」。でもその後ケータリングのスタッフをステージに呼び出して「彼をお婿さんにしたい。」と言い出しはじめてしまう。めったに表舞台に出ることのないケータリングの人も「メンバーの人もいい歳ですから、脂っこいものばかりにならないようにおじやとかおかゆなど体に優しいものを作るようにしています。」と冗談か本気か分からない話をしてしまう始末。

 

・「メンバーのストレス解消法について教えてほしい。」との質問。

→ TTシスターズの一人はスーパー銭湯に行くこと、もう一人は高尾山へ山登りして蕎麦を食べることだそうである。山本拓夫は妖怪図鑑とかで楽しんでいて、最近は昆虫の幼虫図鑑を買って眺めているのが楽しみだそうである。Dr.Kyon は趣味に没頭すること自体がストレスになってしまうので一日に 1 時間何もしないぼーっとする時間を設けているとのこと。佐野元春はなぜかパジャマを半分ずらしてうろうろするのがストレス解消法でファンから大爆笑をかっていた。それに追い討ちをかけるように井上富雄も「僕もパジャマをずらすとリラックスできるんですよね。」となんだか下ネタっぽい話に飛んでしまう。佐橋佳幸は TV ゲームのテニスにハマっているとのこと。なんでも実際にラケットを振ってできるゲームがあるそうだ。

 

・小学生からの質問でひらがなで「なぜ元春はいつも帽子をかぶっているのですか。」。

→ 「大人になれば分かる。」。

 

・Dr.Kyon と佐橋佳幸への質問で「なぜお二人の髪はサラサラなのですか ? 」

→ Dr.Kyon は「面倒臭がりなので全身洗える茶色の石鹸を使用している。」ということで特に何もしていないらしい。佐橋佳幸は「いつも行っているなじみの美容室の業務用シャンプーを使用している。」ということである。ここで佐橋佳幸と Dr.Kyon の通っている美容院が一緒であることが発覚する。ついでに佐橋佳幸が「自分の髪は地毛でヅラではないですから。」と変に否定をしてしまいまた爆笑してしまう。

 

・「フルーターズはいつデビューするのですか。」という強烈な質問。

→ 持ち曲が一曲しかなく、二曲目が難しすぎて山本拓夫がリアレンジしている最中だということ。「THE HOBO KING SESSION」という佐野元春抜きのライブハウスでのライブではたまに演奏したこともあるとかメンバーで話していたら、佐野元春が突然「どうして僕のライブの最後でフルートを持って退場していくんだ ? 」と強烈な突っ込みを入れてしまう。Dr.Kyon 辺りが「見せびらかしたいんですよ」とか、「ライブのホットな感じを金属で冷やしたい」とか、「イオン効果に期待して」とか意味不明な回答に陥って爆笑が止まらなくなってしまった。

 

 トークセッションが終わったあと突然照明が消えて、ステージ上にバースデイケーキが登場する。ロウソクには当然火が灯っているので幻想的である。場内のライトが点灯するとケーキのほかにも花束と小さな紙袋がテーブル上においてあって、ローディたちが「♪ハッピーバースデイ・トウ・ユー」の演奏を始めるので会場全員で合唱し、佐野元春 50 歳の誕生日を心から祝った。小さな紙袋の中身はサングラスで、かっこいい。佐野元春は「こういうの苦手なんだよね。」と言いつつもとても嬉しそうだった。

 

 21 時 12 分にすべてのイベントが終わり、ビデオメッセージの収録をしたり、写真を撮ったりした後に知人と食事をしながら談笑をして帰宅の徒についた。自分自身がとてもいい気分になっていることに気がついた。