韓国・ソウル旅行初日

2004年2月28日

初めに

  2004年の初めごろ、仕事上で懇意となっている株式会社グリップハンドの方々と、食事をしているとき、ふとしたことから、「社員旅行で韓国に行く予定なんですけど、参加しませんか。」という話が出てきた。いつもなら、その場の話しで終わってしまうはずなのだが、なぜか今回はとんとん拍子に話が進んでしまい、2年ぶりの、そして僕にとっては初めての韓国/ソウルへ旅することとなった。

初日

 今日から、韓国はソウルへの 2 泊 3 日の旅行が始まる。朝 4:30 に起床し、身支度を整え、一路成田空港ヘ向かう。しかし、朝が早いので眠くてしょうがない。こんなに朝の早い旅行も久しぶりである。何せ朝が弱いためについつい旅行のスケジュールを立てるときにも朝の遅いツアーを選んでしまうくらいである。いや、正確には朝が早くても集合場所が都内とか羽田空港ならさほど苦にはならないのだが、今回のように成田空港だと、たどり着くだけで一つ旅を終えたかのような疲れを感じてしまう。

 

 東京から成田エクスプレスの始発に乗って成田空港に向かう。成田空港駅到着は 7:30。実は既にこの時点で旅行会社の指定した集合時間に遅刻している。「何でこんな時間を集合時間にするんだ?」と思いつつ駅から待ち合わせのカウンターに早足で向かう。

 

 待ち合わせカウンターにたどり着くと、早朝にもかかわらず旅行者でごった返していて、参加メンバーがどこにいるか分からない。うろうろしていると、「がちゃんさん」との声とともに参加メンバーのうち、小山さんと、阪田君の 2 名が姿を見せた。この2人、先発隊、ということできちんと 7:20 の集合時間に来ていたようである。小山さんは千葉在住なので、さほど無理はないと思うが、阪田君はどうやってきたのだろう。

 

 そうこうしているうちに続々とメンバーが集合してくる。今回のメンバーは7名。グリップハンドからは、男性陣が年配者代表の小山さんと南さん、若手代表の(といっても一人だけだが)阪田君の 3 名、女性陣が今回幹事となっていろいろ準備をしてくれた山野さんと、野田さんの 2 名、そして僕と、同じ職場で仕事をしている畠山さんの計 7 名である。当初参加を予定していた社長である相川さんは、ご家族の都合により急遽欠席となり、また僕の会社の先輩に当たる(そして裏の韓国フリークらしい)風林さんは、仕事がパンクしていて早くから不参加を表明していた。

 

 カウンターで搭乗手続きを受け出国手続きが終了すると、出発までフリータイムとなった。女性陣は早くも免税店で化粧品の購入に走ってしまった。僕は朝食をとっていなかったので小山さんと軽食コーナーに行き、サンドイッチと紅茶を頼んだ。毎年花粉症に悩む僕は、朝夕 2 回薬を飲まないといけなかった。薬を飲むにはやはり何か食べないと、というわけである。

 

 軽食コーナーにはサンドイッチのほかにもうどんや、ラーメン、いなり寿司などもあった。いつも空港の軽食でうどんを見ると、何年か前にラスベガスに旅行したとき、経由地のポートランド空港の売店で見たうどんを思い出す。そのとき、まるで映画「ブレードランナー」の冒頭でハリソン・フォードが食べているような、いかにもまずそうなうどんを食べている日本人旅行者がいた。日本を離れて 10 時間ほどしか経っていないのにもかかわらず。大体、海外まで行って何で日本食を食べなければいけないのか、その感覚が理解できなかった。数日日本食を食べなくても大したことはないではないか。そんな思いが、その光景を印象深いものにしていた。

 

 しばらくすると飛行機の搭乗が開始された。僕らが搭乗するのは、大韓航空 KE706 便である。定刻の 9:20 に無事出発。仁川(インチョン)国際空港まではおよそ2時間40分と適当な飛行時間だった。やはり韓国は近い。「成田空港に行く時間のほうが長いのではないか」と思ってしまう。離陸して 30 分ほど経った頃、機内食のサービスが始まった。せっかくなのでビールを注文するが、周りは普通にソフトドリンク。「さびしいなー。」と思いながら一人ビールを飲んでいると、何と遅めの朝食(いや、早めの昼食か?)が出てきてしまった。てっきりナッツとお茶程度だろうと思っていたのでびっくりである。「うーん、空港でサンドイッチを食べるんじゃなかった...」と思ったが時、既に遅し。とりあえず半分ほどは食べたところで断念してしまった。食事も終わると、アルコールのせいで寝てしまった。

 

 4-50 分ほど寝ていたのだろうか。目を覚まし、ボーっとした頭で周りを見回した。他のメンバーもすやすやと寝ている。外を眺めていると、段々飛行機が降下している。まもなく雲を突き抜け、海面や島々が見えてきた。

 

 ほぼ定刻に仁川国際空港に到着。入国審査を受ける。前回アメリカ東海岸に訪れたときは、2001/9/11 のテロから 1 年近く経っていたのにもかかわらず入国審査でのチェックが厳しく、 1 時間半も拘束される羽目になってしまった。今回もそうなるんじゃないのか、という思いが頭をよぎる。しかし、入国審査はあっさりと終了。拍子抜けしてしまった。手荷物を受け取り、両替所で韓国ウォンに両替し、旅行会社の現地係員と合流する。山野さん、畠山さんの 2 人は現地で連絡用に使うレンタル携帯電話を入手しに行く。しかしなかなか帰ってこない。迷子になったんじゃないか、思い始めたころ、ようやく戻ってきた。窓口が込んでいたようである。

 

 旅行会社のバンに乗り込み、仁川国際空港を出発。バンに乗り込むときに韓国の寒さを体感する。やはり日本より北の国だな、と実感する。なんとなく函館あたりの寒さを思い出させる。仁川国際空港からソウルの中心部までは約 1 時間ほどである。マイクロバスから見る風景は、日本の地方の風景を思い出させる。これまで何回か訪れたアメリカやカナダといった国では感じていた異国情緒が、ここではあまり感じられないようである。

 

 14:00 を過ぎた頃、今回の宿泊ホテルである"ホテル・プレジデント"に到着。昔からあるホテル、といった雰囲気である。ソウル市庁や地下鉄の駅が目の前にあり、ロッテ百貨店も歩いて 3 分ほどの所、とロケーションは大変にいい。チェックイン後しばらく休憩し、南大門市場(ナンデムンシジャン)へ散策に行く。

 

 

 ホテルから南大門市場までおよそ 15 分ほどでたどり着く。元々は城の南側にあった城門についた名がその地名となり、市場が形成されていったようである。

 僕は市場をぶらぶらするのが好きである。海外で市場を歩いていると、その国の普通の生活が垣間見えてくるような気がするからである。市場をぶらぶらしているとあちらこちらの店から「社長、社長」と呼び込みがかかる。「僕は社長じゃないよー。係長クラスだよ」としょうもないことを考えつつもその活気に圧倒される。食材がいろいろ売っていて、見たこともない食材や、日本だとゲテモノの部類に入る虫なども売っていた。なんだか沖縄の雰囲気と似ているような気がする。

 

 

 市場には多くの屋台が出ていて、てんぷらや餃子だとかを売っていた。中途半端な時間に食事を取っているのでつい屋台に目が向いてしまう。試しにてんぷらを買ってみた。店のおばちゃんは、既に揚げてあるてんぷらをもう一度揚げなおして、暖めてくれた。日本の上品なてんぷらとは違うが、おいしい。天気が悪く寒いのでこういった暖かい食べ物はほっとする。他のメンバーもなんだかんだいいつついろいろな軽食に手を出していた。

 

 

 南大門をふらふらした後、徒歩で明洞(ミョンドン)まで移動する。なんとはなく渋谷の雰囲気を感じてしまう。とにかく人が多いのである。

 

 繁華街を歩いていると行列の出来ている店があった。「なんだろう」と覗いてみると、ソフトクリーム屋だった。今、この店がソウルでは流行っているのだろうか。「寒いのにソフトクリームでもないよな」と思っていると、野田さんと、畠山さんがソフトクリームを買いに並んでしまった。うそでしょ? 野田さん、さっき空港でもアイス食べてたじゃない??? また食べるの??? と唖然としてしまった。やはり女性は甘いものが好きというのは本当のことのようだ。

 

 2 人がアイスを買うの待っているのも時間がかかるので、残った面々は更に通りを歩くことにする。歩くのに疲れてしまった南さん、小山さんの年配者コンビを喫茶店に連れて行き、残った僕、山野さん、阪田君のトリオでぶらぶら散策した。僕がお土産に DVD を買いたいということを知っている山野さんが気を利かせてくれて、ビルに「DVD」と書かれているのを発見し、「行ってみます?」と言ってくれた。とりあえずビルに入ってみる。壁にはハリウッドの大作映画のポスターとか貼ってあるし、DVD も置いてあった。しかしどうしても DVD ショップの雰囲気が感じられない。後日 web で調べると、やはり個室ビデオ屋だった。韓国の若者たちはラブホテルとして使っているみたいである。気づいてみれば、あちこちのビルに存在している。さすが繁華街だな、と思ってしまった。

 

 再び野田さん、畠山さんと合流し、眼鏡屋を探した。畠山さんは眼鏡を作りたいということで、彼女の持っていたガイドブックに掲載されている店を探すことにしたのである。だがそのガイドブックは発刊されてから相当経っていたらしい。探してもそのお店がないのだ。やむなく、目に付いたお店に入ってみることにした。眼鏡屋に入って何気なくフレームを見ているうちについ自分も眼鏡を買いたくなってしまった。いくつかのフレームを試してみて、気に入ったものを買うことにする。金額は、というとレンズを少し質の高いものにしたが、それでも 60,000 ウォン(およそ 6000 円)と、日本から考えると信じられない安さだった。何せこれまで自分がかけていた眼鏡がその 10 倍近い値段だったから日本の物価の高さに改めてショックを受けてしまった。

 

 僕や畠山さんが眼鏡を作るのに時間がかかっている間、ショッピングモードに入ってしまっている山野さんが野田さんを連れて近くの靴屋に行ってしまった。眼鏡が出来るまで時間がかかるというので引換証をもらい店を出、彼女たちが行ってしまった靴屋へ向かう。バーゲンセールをやっていて、「50% OFF」「80% OFF」の張り紙がしてある。春のセールといったところか。店内に入ると、山野さんと野田さんが壮絶な値段交渉をしていた。しばらくバトルを見ていたがどう見ても店員さんのほうが不利のようだ。結局店員さんが負けた。疲れ果てた顔の店員さんがとても印象深かった。

 

 いつの間にか 18:00 を過ぎていた。南さん、小山さんコンビと合流し、このあとどうするか話す。20:00 から「ナンタ」というショーの予約を入れていたので、ゆっくり食事する時間はなかった。それに中途半端な時間ちょこちょこ食べているから、あまり空腹も感じていなかった。とはいうものの適当な居酒屋に入る。ここで山野さんお勧めの「ドンドンジュ」というお酒を飲む。見た感じどぶろくか甘酒という感じだが(実際韓国のどぶろくだそう)、酸味が強いお酒である。あまりアルコールの感じがしないお酒だが、調子に乗って飲むと結構酔いそうである。みんなでチヂミをつつきながら、写真を撮ったり歓談していると、あっという間に時間が経っていた。「ナンタ」を上演している会場が多少不便らしいので明洞からタクシーで劇場まで向かうことになった。

 

 タクシーに乗ってから 10 分もかからずに劇場に到着。地図で見ると不便そうだが、タクシーから見ていた限りではホテルからもさほど遠くないようである。タクシー代が40,000 ウォン(およそ 400 円)だったのでまたまた驚く。「ナンタ」は、言葉を使わず、包丁を初めとする調理器具を楽器に見立て、これらが奏でるリズムでストーリーを進行させる、一種のミュージカルである。どこの国の人が観ても楽しめるショーで僕もニコニコしながら楽しんだ。途中、畠山さんが舞台に上げられ、一緒にパフォーマンスをさせられる、というハプニングもあり、ステージと観客が一体となっていた。ステージでパフォーマンスを行っていた、女性の方がとてもきれいだったのですっかり見とれてしまった。

 

 ショーが終わって劇場の外にでてくると、何と、雨が降っている。傘を持ってきていなかったので皆して濡れながらホテルまで歩いて帰った。