韓国・ソウル旅行 3 日目

2004年3月1日

 最終日のこの日は 7:30 に起床。3 日目ともなるとさすがに旅行疲れがでてくる。だらだらと身支度をして、男性陣全員でホテルのレストランで朝食。女性陣の姿は見えなかった。(後で聞くと、疲れていて起きれなかったとのこと。) ホテルのレストランではお馴染のバイキング形式だったが、この手のバイキングは値段が高い割にはあまり味に感心しない。ここも 18000ウォン(およそ 1800 円)もした。ベーコンやパン、サラダと洋食をベースにしつつ、なぜか韓国風おかゆを追加。あまりおいしくなく、ちょっとだけ後悔する。パンやベーコンなどはまあまあだったのに。

 

 この日もメンバーの行動はバラバラだった。小山さんと阪田君コンビは市内観光ツアーへと出発していった。女性陣は不明。僕は、といえば南さんと手作りキムチの体験ツアーに申し込んでいた。10:00 少し前にホテルに出発。ツアーといっても集合場所である地下鉄の弘済(ホンジェ)駅までは自力でたどり着かなければならない。南さんは「がちゃんさんにお任せします。」と早々に率先するのを諦めてしまっていため、ガイドブックと自分の感覚を頼りに先導する。ホテルすぐそばの市庁(シチョン)駅から地下鉄に乗車。駅で切符の買い方に少々まごつくが、大きなトラブルもなく 10:20 頃弘済駅に到着できた。出口できょろきょろしながら待っていると、一人の女性がやってきた。優しい感じの人だ。この方が今回キムチ作りを体験させてくれる、林 妙南(yim myonam)さんだった。僕らのほかには、高齢のご夫婦1組が今回の参加者であった。話を聞くと、息子さんが旅行などの手配をしてくれていて、この体験ツアーも申し込んでくれたという。息子さんの姿は一見するといかにもいまどきの若者という感じなので、余計に「いい息子さんだな。」と感じてしまった。

 

 駅からは林さんの自家用車に乗車。どこか専用の作業場にでも行くのかな、と思ったが車は坂道をどんどん登り普通の高層マンションに到着した。そう、目的地は林さんのご自宅だった。部屋に上がるときに思わず「お邪魔します」と言ってしまう。なんだか知人の家に招待されたような気分である。

 

 まず最初に韓方茶とお菓子を食べながら林さんのお話を聞いた。林さんのしゃべりはやわらかく、なかなか楽しいものであった。林さんには2人のお子さんがおられるが、下の男の子がすごく甘えん坊なので、「お母さん、かまってよー」という感じでちょこちょこ顔を出していた。お茶の後は、チマチョゴリを試着。チマチョゴリ、とは韓国の民族衣装である。土地の気候の影響か、何枚も重ね着をするところが特徴のようである。チマチョゴリを試着して南さんと記念撮影をしていると、林さんが「お2人は親子ですか?」と聞いてきた。あわてて「いいえ!違いますよ。仕事仲間なんですよ。」と否定したが、このときより南さんと僕は親子、ということになってしまった。

 

 チマチョゴリの試着が終わると、いよいよキムチ作りである。まず白菜や大根を適当に切る。かなり量が多い。続いてダシ作りである。この辺きちんと覚えていないのだが、どうも韓国のキムチの味の秘密はこのダシにあるようである。ベースが塩辛でこの塩辛を作るのに半年かかる、というから日本の一般家庭では到底出来ないだろう。塩辛にニンニクやにんじん、唐辛子の粉などを入れ、ジューサーでどろどろにし、ダシを作る。一方白菜や大根にはあら塩を適量降りかけて、水を出していく。しばらくしたら、白菜や大根に先ほど作ったダシと唐辛子の粉をふりかけ、全体に染み渡るように揉んでいく。おおよそ1時間ぐらいでとりあえずキムチ作りが終わった。こう書くといかにも自分一人で作ったように見えるが、実のところ大半の作業は林さんがやってしまっていたので実のところあまり作業していない。味が良くなってくるには数日かかる、とのことで、出来上がったキムチはタッパーウェアに入れてもらい、お土産として持って帰ることになった。分量を見ると、大きめのタッパー 3 つ分になってしまった。すごい分量である。

 

 キムチ作りが終わると昼食の時間である。林さん家の手料理なので、また知人の家にお邪魔している感覚を覚える。昼食を取りながら、林さんと歓談する。林さんがキムチ体験ツアーを始めた経緯だとか、なぜ日本語が達者なのか、そういった話から始まって日本についての林さんの感じていることなど、いろいろ話は弾んでいった。韓国ではキリスト教の信仰者の割合が多いそうで、林さん自身もキリスト教の信仰をされている、とのことだった。そんな話から、「日本はあまりに隣人に対して心を閉ざし、自分たちだけで何とかなる、ともがいているように見える。もっと心を開いたらいいのに。」というような話が出てきて、ふと考えさせられてしまった。信じるものを持っている人というのは強いな、と思ってしまう。

 

 昼食が終わり、林さんのお宅を後にする。大量のキムチを持って、来たときと同じく地下鉄に乗ってホテルまで戻る。駅を降りて、市庁前にでてくるとものすごい人だかりとなっている。「何だ???これ???」と思いつつ人を押しのけホテルに向かうと、広場の一角にステージが出来ていて、なんだか音楽の演奏をしていた。この日、3/1は韓国の独立運動記念日だったので、その記念イベントを開催していたのである。何とかホテルまでたどり着くと、14:00 を少し回ったところだった。空港に出発するのが 15:00 だったのでまだ少し時間がある。南さんが「ロッテ百貨店のデパ地下に行こうかと思うんだが。」というので、キムチをホテルのクラークに預けて、同行する。ロッテ百貨店の地下も大変ごった返していた。 2 人でぶらぶらしながら(南さんは何か買ったりしていたが)歩いていると、「あーっ」と再び耳なじみの声が聞こえた。よく見ると女性陣3人が同じくぶらぶらしていた。「なんか妙に出会う確率多いよな」と思いつつ話を聞くとまだ昼食をとっていないとのことなので、フードコートに向かう。しかしフードコートも大変な混雑であった。座る場所の確保すら大変で、相当苦労した。

 

 15:00 に間に合うようにホテルに戻ると、小山、阪田コンビも戻ってきていた。ホテルのロビーは結婚式の出席者などでごった返していた。旅行会社のバスに乗り込み、一路仁川空港に向けて出発する。だが、ソウル市内はどこも大渋滞であった。車が全然進まない。やはり独立運動記念日の影響なのだろうか。ふと周りを見回すと、また全員寝ていた! なんか疲れが顔に出ているようだ。なぜか僕は眠くはならなかった。まさか昨日飲んだ朝鮮人参エキスのパワーがいまさら効いているわけでもないだろうに。バスが市街地を抜けると、ようやく順調に走り出した。今までの遅れを取り戻すかのようにバスはスピードを上げる。半端じゃないスピードでバスは走る。絶対法定速度大幅オーバーに違いない! 結局出発してからおよそ1時間で空港に到着してしまった。

 

 空港で搭乗手続きを済ませると、最後のショッピングということで自由行動となる。しかし荷物が重い。こんな量をお土産に持って帰ることになるなんて予想もしていなかった。ふと周りを見渡すと、カートを使っている人が多いのが目に付いた。「そうか、カートを使えば楽だ」と今更ながら気づく。今までカートを使ったことがあまりないため、どうしても意識の外に行ってしまうのである。早速空港内を探すと、すぐにカートが見つかった。荷物をすべてカートに載せる。荷物を航空会社預けにしてしまえばこんな苦労も必要ないのだが、今回はそうしなかった。成田到着時の時間短縮と、バッグ内にお酒など割れやすい物がいろいろ入っていたため、リスク回避を考えたのである。後で成田到着時に近くの座席の上の棚から液体がこぼれているのを目にした。お酒だろうか、ビンが割れたのだろうか。それを目の当たりにしたとき、機内持ち込みでよかった、と思ったものである。一応免税店も覗くが、特にほしいものもなかったので何も買わずに両替所に向かう。普通両替所だとコインの両替はやってくれないものなのだが、尋ねてみると、コインの両替もOK、との珍しい返事をもらったので、韓国ウォンをすべて日本円に換える。両替終わって振り向くと、山野さん、畠山さんの二人が歩いていて「がちゃんさん、両替終わったの?」と尋ねてくる。僕は「両替終わったよ。ここだとコインの両替もOKだよ」と返答する。彼女たちもそろそろ両替したいようだ。僕は、搭乗口近くにあるインターネットカフェに向かった。3/1 は映画の祭典、アカデミー賞の授賞式だったので、その結果を知りたかったのだ。予想通り「ロード・オブ・ザ・リング」の圧勝だった。

 

 搭乗時間がやって来ると、メンバーがぞろぞろ集まってくる。楽しい旅ももうすぐ終わる、そんな思いが頭をよぎる。機内に入り、席を確認する。行きと同じく隣は山野さんだった。妙に縁があるな、と一人勝手に思い込む。出発までの時間、デジカメの写真を山野さんが見せてくれるので、あれやこれやいいながら 2 人で写真を見る。残念ながら僕は未だにフィルム写真なのでリアルタイムでは見せられない。こういうときだけはデジカメの威力を思い知ってしまう。フィルムのクォリティの高さは魅力的なんだが。写真を見終わりふと顔を上げると、前の座席から赤ちゃんが身を乗り出していた。欧米系のようで、年の頃 1 歳とちょっと、といったところだろうか。僕の顔を興味深そうに見つめ、小さな手を伸ばしてくる。僕もその手をつかみ、ニコニコする。そんなようなことを何回か繰り返す。この子が大人になるころはどんな世界になっているのだろうか。

 

 大韓航空便は、定刻どおり仁川空港を離陸。帰りの飛行時間はたったわずか 2 時間弱。行きよりも時間短縮している。ジェット気流のせいだろうか。成田空港に到着し、外を見るとなんと雨が降った後がある。ソウルより寒い感じである。入国手続き等が終わり、メンバーと別れ、家路に着いた。楽しかった旅が終わった。