ABOUT SCHMiDT(輸入盤DVD)

邦題:アバウト・シュミット

基本データ

ABOUT SCHMiDT DVDジャケット
  • レーベル:NEW LINE HOME ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2002年
  • 上演時間:125分
  • 監督:アレクサンダー・ペイン
  • 出演:ジャック・ニコルソン、ホープ・ディヴィス、キャシー・ベイツ
  • 画面:1.85:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch / 英語DTS 5.1ch 英語
  • 字幕:英語、スペイン語

あらすじ

 保険会社を定年退職したウォーレン・シュミット。長年勤めた会社を退職したことで彼の人生観が変わってしまう。そんな時、長年連れ添った彼の妻ヘレンが突然死んでしまう。また、彼の娘ジニーが結婚すると聞いた彼はジニーの結婚を止めさせようと、トレイラーに乗って彼女の住む場所まで長い旅を始める...。

感想

 ちょうどこの DVD を購入したとき、自分の父もこの作品の主人公と同じように長い間勤めた会社を定年退職する、という状態でした。また、自分自身もそんな状態の中いろいろ思うところがあってこの作品に興味を持ったわけですが、観ての感想は、主人公がひとつの人生を終えて新たな人生に踏み出すまでの物語であるという点と、主人公がひとつの家族を失って、また新たな家族を得る物語の 2 点なのかな、と思いました。

 

 物語の前半では、主人公は会社を退職したのにもかかわらず家の中でもネクタイを占め、スーツのを着た状態でいます。これは自分の人生のひとつが終わったことを受け入れられないことを現しているのではないかな、と思っておりました。それが途中奥さんが亡くなった後にはそういうシーンがなくなってきます。これは彼の人生観に変化が生じたことを意味しているようにも思います。奥さんが死んでからしばらくは身だしなみにも気を使わない状態でしたが、娘の所に向かい始めるとラフな服装に変わってきます。そういったシーンの積み重ねが彼の心情を表しているように思えます。

 

 また、彼が娘のところまでずっとドライブをしていくという行為自体が、彼が自分の人生を振り返る旅そのものであったようにも思えます。旅の途中、自分の生家のあったところに立ち寄ったり、自分が青春時代を過ごした大学を訪問するシーンなどにそういう意図が込められているように思います。

 

 途中、彼が知り合った同じくトレイラーで旅をしている夫婦と食事をしているシーンの中で、女性のほうが「あなたは本当は悲しい人なのね。」という台詞がありましたが、これなども彼のこれまでの人生観を象徴しているような気がしてなりません。

 

 そして旅の終わりには、自分の娘の結婚式を見届け、再び孤独な生活が始まっていくわけですが、それはもうひとつの新しい家族を得る物語と相まって新しい人生の始まりを意味しているように思います。

 

 そのひとつの家族を失って、新しい家族を得る物語、という点では、もちろん長年連れ添った奥さんを突如失ってしまったことがそのひとつだと思います。退職してからというものの主人公は自分の奥さんはいったい何なのかと自問をし始めていたのですが、突然の病死により、その想いは強くなってまいります。空気のような存在だった奥さんが失ってみて初めて大切な存在だったことに気づき始めるわけです。

 

 また、自分のかわいい娘が結婚してしまうというのも自分の家族を失う重要な要素だと思います。実際彼が娘の所に赴くのは結婚式に出席するというよりも、娘に「結婚は止めろ」と言いに行ったようなものですし、家族が急になくなってしまうと言う事実に思い悩んでいるように感じます。

 

 とはいうものの、娘の旦那さんになる人の家族たちのやさしさに触れ、主人公は、結婚式では取り乱したりすることもなく、立派なスピーチをいたします。ここで彼は全く新しい家族を得たのではないかな、というように取れました。

 

 もうひとつ、新しい家族という点では、アフリカの飢餓に苦しむ子供たちの里親に主人公がなったことが挙げられます。最初、彼が里親になる手続きをしていたときは、定年退職による心の空虚感を埋めるために行なったことかな、と思っていました。それが物語が進むにつれ、主人公の心のうちを表現するのにこの子供への手紙のやり取りが使われているんだ、と思うようになりました。しかし、実はラストでその子供からの手紙と絵が届き、主人公がそれを読むにつれ、そうではない、これは新しい家族を得たことを意味していたんだと考え方が変わりました。結構このラストシーンはジーンと来るシーンです。冒頭から伏線を張っていたようで「やられた!」と感動してしまいました。

 

 画質ですが、特に色調とかいじってはいないようですが、ロケーションのシーンでも曇り空とかが多いせいか、どちらかというと青めの画面であるのと、暗めの絵かなという気がします。特に前半はその印象が強く、主人公の心のうちを色で表現しているのかな、という気すらしてきます。音響は、この作品もドラマですから派手なサラウンドではありませんが、きちんと環境音はリスナーを取り囲むようになっておりますし、サウンドトラックも心に訴えかけるような鳴り方をしております。

 蛇足ですが、このレビューを書いている現在、父は、いくつかの会社の顧問をしている為、完全リタイヤしておらず、徐々に第二の人生を歩いているようです。僕はといえば相変わらずいろいろ人生について悩んでおりますが。

 

2005年1月16日