BABEL(輸入盤DVD)

邦題:バベル

基本データ

BABEL DVDジャケット
  • レーベル:PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2006年
  • 上演時間:143分
  • 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イリャリトゥ
  • 出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、菊池凜子
  • 画面:1.85:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語
  • 字幕:英語、スペイン語

あらすじ

 モロッコとメキシコ、そして日本を舞台にして、3つのストーリーが1点で交錯する。モロッコを旅行中のアメリカ人旅行客は、羊を守るためにライフルを手に入れた少年が偶然撃った銃に当たり、負傷してしまう。一方、その旅行者の子供を預かるメキシコ人女性は、子供を連れてメキシコに住む息子の結婚式に参列をする。その帰りに国境警備員に不正入国を疑われ、逃走する羽目になる。モロッコに住むガイドにライフルを渡した日本人会社員は、娘のことを気に掛けるが、娘は母を失った衝撃から誰かを求めるようになり、危険な遊びに手を出すようになる。

感想

 2006年のアカデミー賞に多数ノミネートされ、日本人の出演者である菊池凜子が助演女優賞にノミネートされたことでも一躍話題になった本作が「バベル」です。

 

 物語は3つのパートに分かれていますが、どれもコミュニケーションの不在というテーマで描かれていて、考えさせられる話ではあります。

 

 まず最初のパートはモロッコです。これはここに住む家族の話から始まり、仲のいい様子が描かれていますが、父親がライフルを手に入れたことで、家族の崩壊が始まってしまいます。子供たちがふとしたことからツアーバスを狙撃したことで、子供たちのうち一人が生命の危機を迎えるという最悪の結果を迎えてしまいます。そして、倦怠期にあった狙撃されたアメリカ人夫婦は、その事件をきっかけにし、再び絆を強くしていくことになります。しかし、そのさなか、言葉も通じない中で撃たれた妻のことを気遣い、何とか異文化の中でコミュニケーションを取ろうとする夫の存在は圧巻であります。

 

 次のパートはメキシコです。こちらは狙撃されたアメリカ人夫婦の雇っていた不法移民であるメキシコ人女性と、アメリカ人夫婦の子供たちが、メキシコ人女性の息子の結婚式に参列するためにメキシコに入国するところから始まります。メキシコでは、結婚式が盛大に行われ、一見コミュニケーションに問題ないように思われましたが、帰国の途中、ドライバーが国境で疑われたことから事態は深刻化していきます。砂漠に放り出されたメキシコ人女性と子供たちは、何とか助かりますが、結果としてアメリカでの生活を失うこととなり、その結婚式の目出度さと反して、さびしい結末を迎えることとなります。

 

 第3のパートは日本です。ここでは、主人公が聾唖者という最初からコミュニケーションが不全な女子高生を登場させることにより、より孤独感が漂う設定にしています。彼女は母に死なれ、寂しさから危険な遊びに手を出すようになりますが、最後まで行くところはなく、彼女の孤独感は癒されないままです。最後に父親と抱き合うシーンがありますが、このコミュニケーション不全が少しは解消されるといいなという感じはします。

 

 3つのパートがありますが、やはり日本人としては、日本パートが一番なじみ深い感じはします。それは日ごろ見慣れた風景であるという設定だからでしょう。といっても日本語はあまり使われず、英語字幕に頼るという映画鑑賞は見ていて不思議な感覚を覚えます。

 

 どのパートもそうですが、アメリカ映画にしては英語があまり使われず、モロッコの現地語、スペイン語、日本語(と手話)という最初から映画としては言葉のコミュニケーションに頼らない、つまり映像に頼るという制作姿勢は、まさに映画的であり、評価されるのも納得される出来であります。

 

 もちろん僕は日本人ですから、日本パートが印象深いのですが、ラストにサウンドトラックで使われた坂本龍一の「美貌の青空」がとても強く印象に残ります。元々のサウンドトラックを担当したグスターボ・サンタオラヤの音楽もよかったのですが、ラストを閉める音楽として、坂本龍一の音楽はとても機能しているように思います。これ、知らない人が聞いたら、いい音楽だなぐらいにしか思わないのではないでしょうか。

 

 映像は、フィルム調で、適度なフィルムグレインが乗っています。おおむね良好な画質であり、日本パートはいかにも日本的といった感じがします。もちろんメキシコパートはメキシコの雰囲気を伝えており、モロッコパートは、砂漠の厳しさを伝えています。サウンドはドラマということもあり、派手なサラウンドはしませんが、音楽の広がり感は結構あって、もともと音楽の鳴る時間は多くないのですが、瞬間瞬間でサラウンドを堪能できると思います。

 

2010年12月31日