GHOSTS OF THE ABYSS(輸入盤DVD)

邦題:ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密

基本データ

GHOSTS OF THE ABYSS DVDジャケット
  • レーベル:WALT DISNEY HOME ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2003年
  • 上演時間:90分(長尺版)/60分(劇場版)
  • 監督:ジェームズ・キャメロン
  • 出演:ビル・パクストン
  • 画面:1.78:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語
  • 字幕:英語、フランス語
  • THX仕様

あらすじ

 ジェームズ・キャメロン監督は、映画「タイタニック」制作後もタイタニックに対する思い入れが深く、2001 年の晩夏に友人であり俳優でもあるビル・パクストン、弟のマイク・キャメロンなどを引き連れ、ロシアの海洋調査船ケルディッシュ号に乗り込み、沈没したタイタニック号の深海調査を行なう。そこで彼が見たものは...。

感想

 多分ジェームズ・キャメロンとしては初のドキュメンタリーとなる作品がこの「ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密」です。但し、どうもこの邦題は今ひとつ作品の意図を伝えているとは思えません。原題の「GHOSTS OF THE ABYSS」(深海の幽霊)という意味の方が内容をよく表しているかと思います。

 

 「タイタニック」を制作後、新作を発表しなかったキャメロン監督ですが、今作もまたタイタニックに関する作品であることから、彼のタイタニックに関する好奇心というか、魅力に取り付かれているというのか、なんともいえませんがその意志の強さを感じます。

 

 その意志の強さは古くからの友人でもあり「タイタニック」の現代シーンでは実質の主人公を演じたビル・パクストンを語り部に用いていることや、メカマンであるといわれている弟まで調査に引きずり込んでいることからもそれは見て取れます。

 

 ドキュメンタリーですので淡々と映像が展開していきますが、それでも本物のタイタニック号の現状が見ることができるという点では大変貴重な作品であると思いますし、映画「タイタニック」を補完する作品としてみることも出来るかと思います。「タイタニック」では、主人公二人のラブストーリーが中心となってしまっていて、有名な事件の映画化というには少々物足りないものを感じていたのですが、この作品を観ることによってその物足りなさを補っているようにも感じます。つまりキャメロン監督なら出来たであろう群像劇を映画版ではやらなかったことが僕としては不満な点だったのですが、ドキュメンタリーとしての視点であるものの今作では実在の人物についてある程度は描かれていますので観て損のない作品であるといえるかと思います。

 

 また、今作は撮影時期が米国同時多発テロの直前ということもあってか、ありえないことが起こり得る、ということについても最終的には言及しているように思えます。沈むはずのないといわれたタイタニック号、映画そのままのような現実を見せ付けたテロ、どちらも人の想像を超えているという点では同じです。

 

 ドキュメンタリーということで、基本的には映画と違って特に盛り上がるシーンがあるわけでもないのですが、それでも映像作家であるせいか、ドキュメンタリーにしては演出が入っているのかな、という気はします。

 

 演出が入っているのかなと思われるのは、作品のクライマックスでタイタニック号の内部を調査するリモートコントロール型の R.O.V. と呼ばれるロボットが内部でトラブルを起こしてしまい、それの回収に動くシーンがそうなのかな、という点です。トラブル自体は本当にあった物ですが、それが時系列的に起きたことなのかどうかは不明です。この辺はやはり演出上あえてクライマックスに持ってきたと考えた方がしっくり来るような気がします。

 

 もう一つ演出が入っているなと感じたのは、映画「タイタニック」のフッテージを随所に入れている点です。これが実は原題の「GHOSTS OF THE ABYSS」という意味にしっくりくるのです。深海に眠る朽ちたタイタニック号。これに映画「タイタニック」のフッテージがオーバーラップすることで、「深海の幽霊」という意味合いが生きてくるのではないかと思います。当然ですが、架空の登場人物である主人公二人は出てきません。いくら演出とはいえ、それをやってしまったら嘘になってしまうでしょう。

 

 今作の不思議なところはその上映形態によります。今回 DVD では長尺版で鑑賞いたしましたので、より映画「タイタニック」との関連性が強まっているような印象を受けますが、日本公開版では、オリジナルの劇場公開版より更に 15 分もカットした短縮版である為、観ていてなんだか脈絡のない印象が強いものでした。何故日本公開時に 15 分もカットしてしまったのか不明です。3D 方式が目に疲れるという理由かもしれません。しかしアメリカでは IMAX 3D 方式なのにもかかわらず 60 分という時間で上映されていたようですから 理由はどうであれ作品をカットしてしまったら意図していたものが伝わってこないのではないかと思います。邦題といい、配給会社のスタンスには疑問を感じるものがあります。

 

 画質ですが、ドキュメンタリー、しかも海上や海底というかなり撮影に不向きな条件での映像ですからベストというわけではありません。ごく普通のフィルムの映像という気はします。THX 認証 DVD ですが、どうも THX 認証自体が怪しいところもありますので、なんともいえません。本来 THX 認証というのは映像の質を安定させる品質管理プログラムのはずなのですが、日本映画「ローレライ」のように色が狂っている作品もありますので、どこまで信用していいのか疑問ではあります。音響はかなり臨場感は感じられます。荒れた海の雰囲気、海底の音響などなかなかうまく作ってあるなとは思います。

 

 尚、このディスクは DVD のシームレスブランチ機能を用いてオリジナル劇場公開版と長尺版を 1 枚のディスクに収録しております。日本盤ですと、クレームの対象になりかねませんから(シームレスブランチ機能がうまく動かないプレイヤーが多い)あまり使われることがないようです。

 

 トリビアを一つ。タイタニック号の探査に使われるR.O.V.の名前はジェイクとエルウッドになっていますが、どうも「ブルース・ブラザーズ」から引用したようです。誰がファンだったのでしょうか ?

 

2005年10月10日