HACKSAW RIDGE(輸入盤Blu-ray)

邦題:ハクソー・リッジ

基本データ

HACKSAW RIDGE Blu-rayジャケット
  • レーベル:SUMMIT ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2016年
  • 上演時間:139分
  • 監督:メル・ギブソン
  • 出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー
  • 画面:2.40:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY ATMOS 英語 /  DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語
  • 字幕:英語、スペイン語

あらすじ

 デズモンド・ドスは、幼い頃から非暴力を親と宗教から教わってきた。父は戦争に行き、仲間を多く失っていてアルコール中毒になり、母に暴力を振るうようになっていた。それを見ていたデズモンドは、暴力を振るわまいと心に誓っていた。そんなデズモンドは、事故で怪我をした男を助けたことから、ドロシーという看護婦と出会い、恋に落ちる。そして、デズモンドは軍に入り、戦闘で負傷した兵士を助けたいと思うようになる。しかし、上官の指示に従わず、銃を取らないデズモンドは、軍法会議にかけられる。それを救ったのは、父だった。やがて、デズモンドは、軍とともに沖縄のハクソー・リッジ(前田高地)に戦闘に赴く。ハクソー・リッジは、アメリカ軍がなんども攻略をかけながら、日本軍の執拗な反撃にあい、攻めあぐねていた。デズモンドは、その戦いの中、戦友を助けるべく、たった一人で負傷兵を救助していた。

感想

 実在の第二次世界大戦の英雄、デズモンド・ドスの沖縄戦での負傷兵の救助の模様を描いた戦争映画が、この「ハクソー・リッジ」です。アメリカではスマッシュヒットを記録していますが、日本では、映画が沖縄戦を描いているということを全く宣伝しないまま公開されたためもあってか、たいした話題にもならずに終わっている作品であります。

 物語は前半のデズモンドが非暴力の中成長し、軍に入るものの銃を取らないという行為をしたことで、上官の命令無視という軍規違反のために裁判にかけられるまでの話と、後半の沖縄のハクソー・リッジ(前田高地)での戦闘シーンとその中でたった一人、負傷兵を助けるデズモンドの姿を描いた展開になっています。そのコントラストの違いが、物語に緩急をつけています。

 デズモンドが暴力を振るわないようになった理由が、兄弟喧嘩や、父のアルコール中毒による母への暴力、そして宗教的理由というのは、物語の根幹を成しているかと思います。物語後半の戦闘シーンでも、デズモンドが聖書を大切にしているシーンがあり、彼の信念を描ききっているかと思います。そして、その聖書がデズモンドの愛する女性、ドロシーとの絆になっているのも、描写ポイントかな、と思います。

 物語後半は、アメリカ軍がハクソー・リッジと呼んでいた沖縄の前田高地での攻略シーンが主になっていますが、なぜ、日本の映画会社がこの話を隠し通して宣伝しなかったのか、よくわかりません。2017年現在、沖縄と本土のアメリカ軍に関係する問題が映画に影響しているとは思いたくもないですが、そういうところが見え隠れするような気がします。

 前田高地での戦闘シーンは、スティーブン・スピルバーグが監督した「プライベート・ライアン」に匹敵するか、それを上回る描写になっているかと思います。負傷したり、戦死したりする兵士の描写がかなりグロく、子供には見せられない映像になっています。それゆえに、逆にリアリティを持った戦闘シーンになっているかと思います。ただ、気になるのがアメリカ視点なので、日本兵が不気味な存在になっているのは引っかかりを感じます。日本語で喋っているシーンもありますが、ほとんど聞き取れない状態で、日本兵がどういう立ち位置で戦っていたのか、その辺の描写も欲しかったな、というのが日本人としての感想でもあります。

 そんな中、一人で負傷した仲間を救うデズモンドの姿を後半では描いていますが、ちょっと超人的描き方かな、と言えなくもないです。とは言え、実話なので、実際にデズモンドが行ったことは事実なのですが、映画ということもあり、多少誇張された演出になっている感じがしないでもありません。

 映画の最後で実在の人物たちの証言や、本物のデズモンドの姿が差し込まれていますが、これによって、物語にリアリティを与えると同時に、激しいハクソー・リッジでの戦闘シーンの余韻を静かに収める役割を与えているように感じます。

 映像は、大変クリアであると同時に、精細感があり、映像のリアリティが観客に与えるインパクトは大きいと感じます。音響はDOLBY ATMOSなので対応システムでは3D音響になると思いますが、僕のサラウンド環境では5.1chでの視聴なので、3Dにはなっていません。とはいうものの、5.1chでもサラウンド感は抜群で、戦闘シーンの迫力は、戦場に叩き込まれた感じがします。爆弾の重低音の唸りなど、サラウンドの見本みたいな音響効果で、映画として魅力を放っていると思います。

2017年7月16日