THE MATRIX(輸入盤DVD)

邦題:マトリックス

基本データ

THE MATRIX DVDジャケット
  • レーベル:WARNER HOME VIDEO
  • 制作年度:1999年
  • 上演時間:136分
  • 監督:ウォシャウスキー兄弟
  • 出演:キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス
  • 画面:2.40:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
  • 字幕:英語

あらすじ

 昼はコンピュータプログラマー、夜はハッカーと二つの顔を持つトーマス・アンダーソンは、あるとき、トリニティという女性から、謎めいた話を話し掛けられる。次第にアンダーソンはその話の中に巻き込まれていき、自分がいる現実が、実は虚構の世界であった事を知る。真の現実世界に戻ったアンダーソンは、次第に虚構の現実がマシーンによって作られた「マトリックス」というプログラムである事、人類は、マシーンの電池としての役割を担っている事を知り始める。彼を真の現実世界に呼び起こしたモーフィアスは、「マトリックス」の世界では「ネオ」と呼ばれるアンダーソンをこのマシーンとの戦いの救世主と信じ行動していてた。一方マシーンは自分たちが生み出した虚構の現実、「マトリックス」で「ネオ」の抹殺を図り始め、エージェント達を活動させ始める。かくして、人類と、マシーンのプログラム内での戦いが始まった。

感想

 「マトリックス」三部作の祈念すべき第一作であると同時に個人的には一番出来のいいと思っている作品です。

 

 設定自体は、よくある SF 映画のようなディストピアものなのですが、着想がよかった点は、自分が現実と信じていた世界が、嘘の世界であったという点、そして、その巨大な嘘の世界と戦う、という所だと思います。何となくフィリップ・K.ディックの何が現実かがよくわからない、という雰囲気も漂わせています。

 

 これまで、最初にこの映画を DVD で観た後、内容をすっかり忘れたまま続編二本を観て、改めて今回再見という形で鑑賞をしたのですが、やはりこの第一作目はこれで完結していて、続編二本は無理にストーリーを付け加えた感が強くなりました。

 

 「ネオ」は、最初自分のいる世界が現実そのものだと信じ込んでいますが、実はそうではない事を知り、次第にそれを受け入れ始め、自分で物事を考えて行動し始めていくところなどは、製作者の「体制に取り込まれるな。」というメッセージにも思えます。

 「マトリックス リローデッド」のレビューで「今作は製作者のオタク魂が薄くなった。」と書いておりますが、今作では間違いなくオタク魂があります。オタク魂、といっても世間から少しはみ出しているという意味で使っていますので、ここで言いたいのは、世間一般の平均値など無意味だ、ということを製作者は語りたかったのではないかと思います。

 

 又、今作のいいところは、局所の物語だという事です。裏設定が、「アニマトリックス」以降、どんどん前面に出てきてしまい、それが面白みを欠いている部分があったように思います。ザイオンという人類最後の砦を続編で出してしまって、脇役キャラクターが異常に増殖してしまったところが続編の大きな欠点ではないかと思います。今作では、登場人物も限られており、分かりやすいストーリー展開となっています。更に続編に欠けていた物は、主人公が絶体絶命のピンチに陥る、という点でしょう。「マトリックス リローデッド」では、アーキテクチャーの選択を選ぶというところだけピンチともいえますが、スーパーマン化した「ネオ」としてみたら大したピンチでもないですし、「マトリックス レボリューションズ」に至っては確かに色々な目にあうものの、主人公としての存在が薄くなってしまっているので、ハラハラ感が全くないのです。今作だけはそれがあります。出来がいいと述べているのはそういう点も絡んできます。

 

 観ていてふと気づいたのですが、物語の最初のほうで、アンダーソンはマシーンを体の中に植え付けられてしまいますが、マトリックスの世界で何故現実世界のマシーンを植え付ける必要があったのでしょうか。後付け設定の「マトリックス レボリューションズ」で、「現実世界にいるネオも実はマトリックスが作り出した幻想なのでは。」とレビューを書いてみましたが、意外と当っているのかもな、という気はします。

 

 更に今作でマトリックスをプログラムの一種と考えると、ネオやモーフィアスの行動は、いわゆるコンピュータウイルスの動きそのものであり、それを阻止するのがエージェントたち、という見方も出来ます。その中で既にスミスは、マトリックスのプログラムでいる事に嫌気がさしてきている事からしても、「マトリックス レボリューションズ」で書いたコンピュータウイルスと対策ソフトの関係の話はあながち間違っていないと思います。但し今作と、続編でのその関係は逆転しているところがミソなんですが。

 

 物語 3 作で脇役ながらキーポイントとなるオラクルは、預言者のような振る舞いをしていますが、実社会では、オラクル社というコンピュータソフトウェア会社があって、そこの会社はデータベース管理ソフトで有名な会社なんです。そういうところまで調べると、オラクル、という存在はマトリックスというプログラム内のデータ格納庫という見方ができます。その彼女がクッキーをよく作ってますが、インターネット上ではユーザーの Web ページ移動の確認や、ネットショップでの買物かごに入れる、といった要素にクッキーというテキストファイルをよく使います。それを考えると、かなり意味深な部分があるのではないかと思います。そういえばネオはクッキーを食べてましたけれど、ある意味マトリックスに追跡される状態になってしまったのではないかという考え方もできます。

 

 画質は、マトリックス世界は緑が基調の色使い、現実世界がマシーンに占拠された世界という事で、冷たい青系統が支配的です。但し、マトリックス世界の緑も、続編の色合いとはニュアンスが異なるようで、赤味が多少強く、ほこりっぽい雰囲気を出しているようです。マトリックスという世界が普通の人には真実の世界である事を匂わすような印象があります。また、トレーニングプログラムの世界では、白が基調になるようです。これも「マトリックス レボリューションズ」で「駅」について言及したマトリックスの世界でもなく、現実世界でもない中間の世界、という意味合いがあるように思います。

 

 尚、今回のレビューに限り、視聴機器環境が異なりますので、記載しておきます。TV は、三菱の 4:3 型TV、21T-M01 で、TV のスピーカーでモノラル再生しております。よって音響については言及しません。但し、TVは通常の視聴環境と同じにすべく"VIDEO ESSENTALS"という画質調整ソフトを使って調整していますので、色のバランスについては差はないものと思われます。DVD プレイヤーは東芝のリージョン 1 固定プレイヤー、SD-2109です。(かなり古いモデルです)

 

2005年9月25日