THE PIANIST(輸入盤DVD)

邦題:戦場のピアニスト

基本データ

THE PIANIST DVDジャケット
  • レーベル:UNIVERSAL STUDIOS HOME VIDEO
  • 制作年度:2002年
  • 上演時間:150分
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • 出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン
  • 画面:1.85:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch スペイン語 / DTS 5.1ch 英語
  • 字幕:英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 第二次世界大戦前のポーランド、徐々にナチス・ドイツによるユダヤ人に対する弾圧が強くなってきだした。最初はユダヤ人であることを明確にする腕章を着ける事から始まり、次第にユダヤ人強制居住区の構築、度重なるユダヤ人に対する住居の移動とその弾圧は強くなっていった。ピアニストであるワーデック・スピルマンとその一家は、困難な状況を何とか生き延びていくものの、最終的にはワーデック一人を残して、ユダヤ人強制収容所送りの列車に乗せられてしまう。何とかナチスの大虐殺を逃れたワーデックは、友人、知人の助けを借りながらぎりぎりの状況の中生き延びる為の逃避行を続ける。

感想

 カンヌ映画祭のパルムドール受賞に始まり、アカデミー賞で最優秀男優賞、最優秀監督賞、最優秀脚色賞の 3 部門を受賞した、実話に基づく作品がこの「戦場のピアニスト」です。

 

 あらすじから分かるように、ナチスドイツのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を描いた作品ではありますが、それを一人のピアニストの視点から描いている点がこの作品の特徴ではないかと思います。

 

 それは作品を全編観ていると分かるのですが、ナチスによるユダヤ人虐待のシーンもあくまで主人公の周辺での部分しか描かれていませんので、いわゆる毒ガスによる大量虐殺などのシーンは全く描かれていません。何となく登場人物の台詞からそのような事態になっているであろう、ということが語られるのみです。

 

 とは言うもののその主人公の周囲で起きるユダヤ人に対する残虐の限りは何の理由もないので、その辺からナチスの行なった行為のひどさは伝わってくるかと思います。大した理由もなくユダヤ人をまるで虫けらのように銃で撃ち殺していったりするのですから。

 

 また、主人公はピアニストではありますが、これが戦争状態の中ではほとんど何の役にもたたないという点もその現実感を強調しているように思います。わずかに物語の前半で収入を得るためにレストランでピアノの演奏をしていることと、物語のクライマックスで、ドイツ人将校に命を助けられるときだけ、彼のピアニストとしての意味があったように思えますが、そのドイツ人将校を見ている限り、人柄としては主人公がピアニストではなくても彼を助けたのではないかという気もしないではないのですので、もしかしたら主人公がピアニストである意味はなかったのかもしれません。

 

 作品全体を見ている限りでは、何となく登場人物への感情移入を意図的に妨げている感じがします。スタンリー・キューブリックほどではありませんが、どことなく淡々と事実を描いているかのように感じます。もちろん映画ですから、実話とは言うものの多少の演出はしているはずなのですが、その演出があざとくない感じがします。特に主人公が家族と離れ離れになってしまうシーン辺りは、ものすごく淡々としていて、その後彼の家族がどうなったのか全く描かれないところが冷たい現実を表現しているように思えます。

 

 クライマックスで主人公を助けるドイツ人将校を見ていると、必ずしもナチスドイツ全員が凶悪なのではなく、個々人によっては正常な思考を持っていることが分かります。それゆえに、物語のラストでこの将校の最後が字幕で出てくるところは意味があるように思えます。その他に登場人物のその後を字幕で説明しているのって主人公だけですから。

 

 画質はきれいですが、フィルム調のイメージの強い色彩になっています。特に強調した色調にはなっていないようですが、あえて指摘すると多少赤みが強い気もします。もちろんシーンによってはあまり感じないので全般的にというわけではありませんが。少なくとも最近の映画に多いビデオ調のくっきりはっきり色彩よりは作品のイメージにあっていると思います。ビデオ調の色彩だと多分作品のイメージを壊しているでしょう。音響は DTS 5.1ch で鑑賞いたしましたが、基本的にはフロント 3 チャンネルでのサウンドがメインで、あまりサラウンドチャンネルに音を回していないようです。少なくとも視聴者の前方付近までのサウンドフィールドが強く、後方からのサウンドは時々鳴る程度という印象が強いです。戦闘シーンでも主人公がその戦闘自体に巻き込まれているシーンが少ないこともあるのでしょう。逆にそういったシーンでは、爆風に包み込まれたりしています。

 

2005年5月29日