SHREK 2(輸入盤DVD)

邦題:シュレック 2

基本データ

SHREK 2 DVDジャケット
  • レーベル:DREAMWORKS HOME ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2004年
  • 上演時間:92分
  • 監督:アンドリュー・アダムソン
  • 声の出演:マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィ、キャメロン・ディアズ
  • 画面:1.85:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 / DOLBY DIGITAL 2.0 英語、フランス語
  • 字幕:英語、スペイン語、フランス語

あらすじ

 前作で囚われの身になっていた「遠い遠い国」の王女フィオナ姫を無事に助け出し、新婚生活を送っていたオギー族のシュレック。ある日彼らの元にフィオナ姫の両親から手紙が届く。「遠い遠い国」での結婚式を開催するという内容のもので二人と仲間で馬のドンキーは本当に遠い「遠い遠い国」に出向く。しかし、「遠い遠い国」の王女の選んだ王子がオギー族のシュレックだったことで国民は凍りつき、父親とシュレックの間に確執が生まれてしまう。オギー族は下品で他の種族の鼻つまみ者だったのである。そんなところに老婆の妖精とチャーミング王子が王様のところに現れる。元々ドラゴンに捕らわれていたフィオナ姫を救い出し、彼女と結婚する予定だったのはこの人だったのである。それをシュレックに結果的に横取りされてしまったので、老婆の妖精と王様は結託し、自分たちの狙いを実現するために二人の間を引き裂くべく、策を練り始める。果たして二人の命運はどうなるのか。

感想

 適度のある毒を随所に盛り込み、大ヒットした「シュレック」の続編が今作です。前作では、その毒はディズニーのアニメに対する毒が大半を占めていましたが、今作では更にその領域を広げて、ハリウッドそのものをからかいの対象にしています。

 

 最初はディズニーに対する毒が中心です。夜の入浴シーンで妖精たちをボトルに閉じ込めてランプ代わりにしたり、海辺で戯れているとフィオナ姫が人魚姫に入れ替わっていたので海の彼方に放り投げたり、花畑で二人が幸せ一杯に走っているかと思ったら農民に追いかけられていただけとか、枚挙に尽きません。

 

 次に「遠い遠い国」に舞台が移る過激さをまします。「遠い遠い国」とは現実世界のハリウッドそのものなので、街中にはスターバックスコーヒーのようなコーヒーショップがありますし、老婆妖精の看板は、本当にいるかのかどうかさっぱり分かりませんが、現実のハリウッドに存在しているセクシー女優の看板のパロディです。"Hollywood" の看板そっくりの "Far Far Away" (つまり「遠い遠い国」ですね) もありますし、当然、町の中心部にある城はディズニーのシンデレラ城のパロディです。今回新登場するアントニオ・バンデラス扮するブーツの猫はどう考えても彼が演じた「マスク・オブ・ゾロ」の自虐的パロディとしか思えません。かっこいいシーンもありますが、必殺技が目を大きく見開いて可愛い顔をするという猫好きにはたまらない戦法を取るのですから腹を抱えてしまいます。その他にも何かフランケンシュタインの誕生を彷彿とさせたり、それによって誕生したクッキーはゴジラか、キングコングか、といった具合です。後、何かスターウォーズをパロデイにしているシーンも見受けられます。(スターウォーズって実は史上最大のインディペンデント映画なのであってハリウッド映画じゃないのですけれどね。)

 

 まあ単純にそのギャグを楽しむだけでも十分ですが、やはり一応のメッセージはあるようですので少し書いてみたいと思います。前作でも実は触れていたことなのですが、「人を外見や種族で判断したり、差別してはいけないよ。」ということなのではないか、と思います。

 

 シュレックは鼻つまみ者です。しかも外見はひどいものです。しかし、それを気にすることなく自分の生きたいように生きています。フィオナ姫を救出することになった経緯も半分成り行き、半分金目当てだったと思います。結果的にフィオナ姫を救出して、フィオナ姫も自分の生きたいように生きているシュレックを認めたから彼の妻になったのです。第一作目ではフィオナ姫はラスト間近まで美人の女性の姿をしていますが、ラストは真の姿を現します。種族は違いますが、シュレックと同じく外見はひどいです。お互いの内面を認めたからこそ二人は一緒になったのです。

 

 今作ではそれをもう一度問いかけています。それをフィオナ姫の父親とシュレックの確執、フィオナ姫に対する父親の愛情、さらにはチャーミング王子の登場といったところでそれを伝えようとしています。チャーミング王子は確かに外見はとてもハンサムで普通の女性ならメロメロになるような要素を備えています。でも内面は何もありません。

 

 物語途中で老婆妖精の罠にはまり、魔法の薬を飲んだシュレックは外見がハンサムな姿になってしまい、フィオナ姫も一作目で出てきた美人の姿になってしまった後、二人は離れ離れになってしまいます。シュレックはフィオナ姫の美人の姿も知っていますが老婆妖精によって隔離され近づくことすら出来ません。フィオナ姫はチャーミング王子がシュレックの変った姿だと信じ込まれそうになります。但し心のどこかで「何かがおかしい」という意識を持ったままですが。それはチャーミング王子の内面が何もないからです。シュレックとは違うからです。

 

 物語のクライマックスでは、仲間の協力を得て、シュレックが逆襲に転じ、無事にフィオナ姫を取り戻します。そしてその過程でフィオナ姫の父親も娘のシュレックを思う気持ちを理解し始めて自分の持っていた偏見を捨てはじめます。ラストで暴走した老婆妖精の魔法を自分の身を持って防ぎ(どうもこの辺がスターウォーズ:ジェダイの帰還のクライマックスと似ている気がしますが)、彼もようやく真の姿を現します。王様は実はカエルだったのです。物語冒頭でフィオナ姫の真の姿が不細工なのになんで両親は人間の姿をしているのだろうと思っていましたが、ちゃんとオチはつけてあったわけです。女王はそんな夫をちゃんと受け入れます。女王も王様の内面を愛していたからです。

 

 このように子供でも楽しめるようなアニメ(ちょっとひねくれていますが)でもちゃんと大人からのメッセージが入っているのが映画大国アメリカの凄いところです。

 

 画質、音質とも全く不満はありません。CG アニメですから変な設定をしない限りはきれいな映像や音質をだすのは当然です。それを間違ったのが「千と千尋の神隠し」の日本盤なのですけれど。

 

 最後に映画の世界から現実の世界の話に触れてみたいと思います。この映画を制作した DreamWorks.S.K.G という会社の経営役員の一人はジェフリー・カッツェンバークというと人物で、元々ディズニーで仕事をしていた人物です。しかしそのディズニーに追い出されてしまい、スティーヴン・スピルバーグ監督らとともにこの会社を立ち上げることになったのです。「シュレック」シリーズでディズニーをからかい続けているのはカッツェンバーグのうらみつらみの部分も多分にあるのではないかと思います。この「シュレック 2」は劇場では大ヒットしましたが、そのヒットの見込みで制作された今 DVD は予想外の販売不振に陥り、同社の経営を圧迫しました。それ以外にも様々な要因があったと思いますが、最終的に 2005 年 12 月に大手映画会社のパラマウント・ピクチャーズに買収、子会社化され人員の整理解雇という結果に終わってしまいました。メジャースタジオに対する反抗心で出来上がった会社は結局10年と持たずにそのメジャースタジオに買収される、という皮肉な結果に終わったということを付記しておきたいと思います。

 

2006年2月26日