SPIDER-MAN 2(輸入盤DVD)

邦題:スパイダーマン 2

基本データ

SPIDER-MAN 2 DVDジャケット
  • レーベル:COLUMBIA TRISTAR HOME ENTERTAINMENT
  • 制作年度:2004年
  • 上演時間:128分
  • 監督:サム・ライミ
  • 出演:トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ
  • 画面:2.40:1/アナモルフィック
  • 音声:DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語
  • 字幕:英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 大学に進学したピーター・パーカーは昼はさえない学生としてアルバイトや学業に、夜はスパイダーマンとして大忙しの毎日を送っていた。ただスパイダーマンとして市民の平和を守ることには非凡の能力を発揮する彼だが、ピーター・パーカーとしての彼は睡眠不足などによりアルバイトのミスを連続し、生活費を得るだけでも一苦労、勉学にも身が入らない状態だった。彼が密かに恋するメリー・ジェーンはモデルから女優へと成長を遂げ、さらに彼女が他の男性と婚約してしまうことによりますます距離感を感じてしまう。そんなある日、科学者オットーは自分が開発した超小型太陽とも言えるエネルギー装置が暴走してしまい、自分の愛する妻を失ったことと、自分の研究のミスを認められないがために再度実験の再開を行うべく街中を暴走し始める。最初はドク・オックとなったオットーと対峙するピーターだが、自分の特殊能力まで失いかけていることに気付き、スパイダーマンとの二重生活を捨ててしまう。しかし様々な理由から再びピーターはスパイダーマンとして立ち上がり、ドク・オックの暴走を止めようとする。

感想

 第一作目がなんと「スター・ウォーズ : クローンの攻撃」の興行収入を遥かに超えてしまったアメコミヒーロー物の第二作がこの「スパイダーマン 2 」です。残念ながら興行収入という点では第一作目には及びませんでしたが今作も大ヒットしております。

 

 前作が高校生だった主人公・ピーターのスパイダーマン誕生秘話を描いていたのに対し、「スパイダーマン 2 」ではキャラクターの掘り下げを行っているところが特徴ではないかと思います。他の映画の続編でもキャラクターの掘り下げを行うことが多いのですが、この「スパイダーマン 2 」のユニークなところは、あくまで普通の大学生であるピーターの努力しているのだけれども報われないちょっと情けない青春を前半で徹底的に描いていることにあるかと思います。物語冒頭からアルバイトに遅刻して仕事をミスしたり、写真家になるべく新聞社に売り込みに掛けているのだけれど「スパイダーマンの知り合いの癖に写真がないならお前の写真など入らない。」と編集長にいやみ言われたり、当然犯罪の多発する夜は正義のヒーロー、スパイダーマンとして活動してますから、いくら若くても疲れは溜まるしで、かなり人間くさいヒーロー像ではないかと思います。

 

 もう一つピーターが人間くさいな、と思うのは密かに恋しているメリー・ジェーンに対するアプローチの下手さ加減でしょうか。(その前にメリー・ジェーンもピーターのことが好きなくせに色々な男性とお付き合いしてしまうところにも問題がありそうですけれど。) とにかく不器用なヒーローなのがピーター = スパイダーマンなのだろうと思います。

 

 その不器用さが祟ってピーターは一度はスパイダーマンであることを止めてしまいます。しかし、彼の不器用だけれど本来持っていた良心や正義感は結局のところ彼をスパイダーマンとしての存在を復活させることとなります。この良心や正義感は前作で彼の不注意により死んでしまったおじさんや、今作で彼を影でサポートするおばさんの影響が大きいのではないかと思います。尚、ピーターがスパイダーマンであることを止めたとき、「雨にぬれても」という曲が流れます。スパイダーマンを止めることはハッピーなようでアンハッピーなのではないかということを意図しているようにも思えます。(「雨にぬれても」は 1970 年代のニューシネマの代表作「明日に向かって撃て ! 」で劇中歌として流れていて、ヒットした曲です。)

 

 前作の宿敵ゴブリンは自分の会社に裏切られたと言う怨念から街を破壊しようとしてスパイダーマンに阻止されるわけですが、今作の敵となるドク・オックは自分の研究開発した新技術の正しさを実証するために結果的に街の破壊に走ってしまっているので、単に悪役と決め付けていいのかという気もします。行動自体は犯罪そのものなのですけれど、最終的にはピーターに説得されて自分のミスを認め、きちんと自己始末を付けていくわけですから単に悪を倒して一件落着とはならない終わり方だな、と思ってしまいます。科学者魂がちょっと頑なな方向に走ってしまったキャラクターとして愛着のある悪役です。

 

 ドク・オックに資金や研修施設を提供していたピーターの友人・ハリーは前作でスパイダーマンに父を殺されたと思い込んだままで、ほとんどアルコール中毒に走ってしまっています。そしてラスト、もし第三作目が制作されるとしたら彼がゴブリンとしてピーターに対峙することになるのではないかという余韻を残しています。

 

 スパイダーマンシリーズの面白いところはスパイダーマンのマスクが度々外されてピーターの素顔が見られてしまっているところがシーンによっていい方向にも悪い方向にも作用している、という点が上げられるかと思います。今作で言えば鉄道でのドク・オットとの死闘のシーンとクライマックスでの彼への説得シーン、メリー・ジェーンへの正体ばらしはいい方向に作用していますが、友人・ハリーに正体がばれたことは多分悪い方向に作用していくのだろうと思います。とにかく覆面ヒーロー物は正体がばれないところに意義があるので、その定石を崩しているところに「スパイダーマン」シリーズの特徴があるかと思います。

 

 前作でビスタサイズだった画面が今作では何故かシネマスコープサイズになっています。製作スタッフが変ったわけでもないのになぜ画面サイズを変更しているのか少々不思議です。それと同時に画質もかなり違っていて前作がまるでビデオで撮影したかのようなくっきりはっきり調の色の発色をしていたのと比較するとよりフィルム的な中間色が豊かな色調となっています。この辺は少し作品のトーンを変える意図があるのではないかと思います。音響は前作に引き続きサラウンド & 重低音がしっかりと出ています。最初はあまり感じなかったのですけれど、ストーリーが進むにつれて迫力を増してきます。

 

 蛇足ですが、映画のところどころで街中のアマチュアミュージシャンが TV オリジナルシリーズの「スパイダーマンのテーマ」を演奏しているのはお遊びなのだろうな、と思ってしまいます。

 

2006年5月7日