Moonrise Kingdom(Blu-ray)|ムーンライズ・キングダム|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
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邦題 | ムーンライズ・キングダム |
レーベル | UNIVERSAL STUDIOS HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2012年 | |
上映時間 | 94分 | |
監督 | ウェス・アンダーソン | |
出演 | ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ | |
画面 | 1.85:1/SDR | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語/dts 5.1ch スペイン語、フランス語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
1965年のニュー・イングランドでボーイスカウトをしていたサムという少年は、隊から脱走する。スカウトの隊長であるウォードは、少年たちにサムを探すよう指示する。
隊を脱走したサムは草原でスージーという少女と会っていた。二人は1年前の演劇舞台の際に知り合っており、お互いに惹かれあっていた。サムは両親を失っており里親に出されていた境遇の持ち主であり、スージーも親に対して反発していた。
サムとスージーは、サムの目指す楽園を目指して動き始める。山の中を超えてたどり着いたのは、誰もいない海岸であった。その海岸では二人が過ごすには最適な場所だった。
ウォードとスージーの両親は、サムとスージーがいなくなったために保安官であるシャープに捜索を依頼し、シャープは二人の経歴を調べ始める。サムが両親を失っていて、里親に出されていることを知ったシャープは彼に同情する。
誰もいない海岸で過ごしていたサムとスージーだったが、ウォードの指図によりサムを探していたスカウトたちによって発見される。しかし、サムとスージーはスカウトたちに反撃をし、スカウトたちに傷を与えて退散させる。
しかし、最終的にサムとスージーはシャープによって捕まってしまい、サムの里親はサムの受け入れを拒絶したために、サムの新しい里親探しをケースワーカーが探すことになる。
シャープはサムと一晩を共に過ごし、シャープとサムの間にわずかな絆ができる。サムとスージーによって退散させられたスカウトたちはサムとスージーの境遇を知り、彼らを添い遂げさせようと、シャープやスージーの両親から逃走させる。
再び行方のわからなくなったサムとスージーを探すシャープたちだったが、嵐の近づく教会で二人を発見する。二人は逃走を企てるのだが、シャープが説得に当たる。
レビュー
アカデミー賞脚本賞ノミネートに輝いたウェス・アンダーソン監督の2012年の作品が、この「ムーンライズ・キングダム」です。興行収入は制作費の3倍を北米だけで稼いでいて成功作とみなされています。また、評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は93%、観客評価は86%と高評価を得ています。
物語はサムとスージーという子供の儚い恋愛模様と、その逃走劇をメインに描いていますが、この二人の恋愛がリアルではなく絵空事になっていて、客観的視点でドラマを演出しています。それは、サムとスージーの視点だけではなく、サムとスージーを追いかける大人たちの視点からしても真剣味が薄く、こちらも絵空事の描き方をしていますので、客観視というのが重要なポイントになります。
客観視というのは重要なポイントであり、これを主観視にしますとサムの境遇の悲惨さやスージーの親への反発心があまりに重い演出になってしまうところから、意図的な演出にしています。客観視で描くことから、観客はドラマを突き放して鑑賞することができ、重たいテーマを重たいと感じずに見ることができます。
サムとスージーを追いかけるスカウトたちも途中から彼らを助けるという展開になるのは、同世代の子供としての同情が影響していますので、子供が主体の映画なのだな、という認識を明らかにしてくれます。大人は子供に振り回されている存在であるという描き方は、ユニークです。
それでも、大人の中で保安官であるシャープが最終的はサムと意思の疎通ができるようになって、サムとスージーが逃走するのをやめさせるきっかけになっているところは、シャープというキャラクターの存在の大きさを物語っています。
逆にスカウトのリーダーであるウォードやスージーの両親たちの子供に対する理解のなさが、映画が進むにつれて浮き彫りになっていくところは、子供対大人の対比を描いたものとして異彩を放っています。
映像はHD/SDRで収録されています。HD画質ではありますが解像度は甘いです。IMDbによれば、16mmフィルムで撮影をして2Kのデジタルマスターにまとめた、との記述がありますので、Blu-ray本来の画質を最大限出力しても16mmフィルムの解像度限界までしか描写していないです。16mmフィルムで撮影されているためか画面にはノイズが終始乗っていますし、色調は意図的ですが赤みが強い映像になっていますので、世間一般で言われる高画質映画とは言えない状況です。監督が意図した映像かと言われるとその通りですが。
音響はdts-HD MA 5.1chサラウンドです。物語全般的に音数が少ないので、サラウンド効果もそんなには発揮していませんが、クライマックスの暴風雨のシーンだけはdts Neural:Xで試聴しますと、擬似的に頭上方向に雷の音が響きますし、雷雨の音は視聴者を取り囲むように鳴りますので臨場感満点であります。このシーンでは低域も存分に活躍しています。
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