FIST OF FURY(Blu-ray/CRITERION)/ドラゴン怒りの鉄拳/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

FIST OF FURY(Blu-ray/CRITERION)

BRUCE LEE HIS GREATEST HITS Blu-rayジャケット 邦題 ドラゴン怒りの鉄拳
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1972年
上演時間 107分
監督 ロー・ウェイ
出演 ブルース・リー、ノラ・ミャオ、ロバート・ベイカー
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 LPCM 1.0ch 北京語、英語
DOLBY DIGITAL 1.0ch 広東語
字幕 英語

あらすじ

 上海に戻ってきたチェン・ジェンは、彼の武道の師匠が死んでいることを知り、取り乱してしまう。医者の見立てでは、腹痛による死去という話だったが、チェン・ジェンはそれを信用していなかった。ジン・ウー道場の門下生が喪に服している時、日本人たちがジン・ウー道場に乗り込み、彼らに屈辱を与える。怒りに震えるチェン・ジェンだったが、彼の兄貴分により、その場は怒りを抑える。しかし、彼はその後一人で日本人道場に乗り込み、日本人武道家を根こそぎ倒してしまう。日本人武道家である鈴木は、それを聴いて怒り、ジン・ウー道場に門下生を送り込み、ジン・ウー道場の門下生を痛めつける。チェン・ジェンはその後道場に戻り、また怒りを募らせるのであるが、彼の身に危険が迫っていることを知っている門下生たちは、チェン・ジェンを上海から脱出させようとする。チェン・ジェンは師匠の死に日本人武道家の鈴木が絡んでいることを知り、一人復讐を企てる。それは、彼の婚約者との幸せな生活を捨てる覚悟の決意だった。チェン・ジェンは少しずつ鈴木の配下の門下生を倒し、最終的に鈴木と相対する。

レビュー

 香港に戻って出演した主演第一作目である「ドラゴン危機一発」で大スターになったブルース・リーの主演第二作目が、この「ドラゴン怒りの鉄拳」です。「ドラゴン危機一発」を越す大ヒットを記録し、Rotten Tomatoesでも批評家、観客評価が83%と高い評価を得ています。ブルース・リー生誕80周年を記念して、アメリカの画質、音質に定評のあるTHE CRITERION COLLECTIONが4KスキャンでHD画質に落とし込んだ究極のボックスセット「BRUCE LEE HIS GREATEST HITS」が2020年の7月に発売されましたので、その中に入っていた「ドラゴン怒りの鉄拳」の視聴をしています。

 映画は、第二次世界大戦前の上海を舞台に、中国人の武術の師匠が謎の死を遂げ、それを不審がった弟子のチェン・ジェンが真相を探り出し、黒幕である日本人武術家に復讐を企ているという展開になっています。この謎の死を遂げた中国人武道家というのは、実は実際に起きた出来事であり、それをモチーフに様々な物語や映画が作られています。この「ドラゴン怒りの鉄拳」もそのバリエーションの一つであるといえます。

 この「ドラゴン怒りの鉄拳」では、中国人武術家の死の真相は、その頃中国を制圧していた日本人武道家が毒を盛った、という展開になっていて、主人公のチェン・ジェンが日本人武道家に復讐を果たすというのが物語の骨子です。日本人としてこの映画を見ると、映画で描かれる日本人武道家たちは本当に嫌な奴らばかりで、同じ日本人として情けなくなってきますが、程度の差はあれ、戦前の中国を制圧していた日本人は、こんなものではなかったのかな、という気もしないではありません。なので、憎っくき日本人を己の拳で倒していくチェン・ジェンの活躍に声援を送っている自分がいます。

 しかし、チェン・ジェンが日本人に復讐を果たすごとに日本人武道家たちは逆にチェン・ジェンの仲間達を攻撃し、傷つけていきますので、チェン・ジェンの復讐が仇になっている部分も否めません。最終的には道場の大半が死に至らしめることになり、チェン・ジェンの復讐が逆効果を果たしているともいえます。それでも、道場の仲間たちはチェン・ジェンを信じ、彼を救おうと奔走するので、その切なさが物語を彩っています。

 クライマックスのチェン・ジェン対ペトロフの戦いや鈴木との戦いでは、チェン・ジェンの華麗なるカンフーアクションがこれでもか、というほど見ることができます。ペトロフを演じたロバート・ベイカーは、実生活ではブルース・リーの経営していた武術道場の門下生だったので、ブルース・リーの提唱するジー・クン・ドーの技を使っていて、その流派同士の戦いを間近で見ることができます。

 テレシネ技術には定評のあるTHE CRITERION COLLECTIONの「BRUCE LEE HIS GREATEST HITS」の「ドラゴン怒りの鉄拳」は、フィルム撮影がほぼスタジオの管理された照明の中で撮影されたことと、マスターに4Kスキャンのマスターを使用したHDマスターであることから、1972年の映画とは思えない鮮明な画質を提供しています。解像度もHD画質ではあるものの不満のない程度に精彩感はあり、フィルムグレインもほとんど見られず、鮮やかな色彩を表現しています。音響はPCM 1.0ch北京語ではありますが、下手なサラウンドを使うよりも、物語に没入させるような高音質なサウンドを提供しています。

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