佐野元春 & THE COYOTE BAND TOUR 2022「WHERE ARE YOU NOW」福岡市民会館
初めに
佐野元春 & THE COYOTE BANDの2022年の全国ツアー、「WHERE ARE YOU NOW」の開催を知ったのは、2022年の2月だった。2020年のデビュー40周年記念ライブが軒並み中止になってから、徐々に規制に従ってライブの規模を拡大していった感触を受ける。2020年の「Save It for A Sunny Day Tour」から始まって、「Yah!40年目の武道館&城ホール」、「Zepp Tour」と、本来2020年に開催する予定だったライブを時期を遅らせながらも、着実に開催している印象を受ける。そして、ついに3年半ぶりの全国ツアーとして、「WHERE ARE YOU NOW」TOURが、開催されることになった。全国の大都市中心のライブで、2022年4月から7月まで全公演土曜日か日曜日に開催されるという、ファン思いのライブである。ファンクラブに入っている僕は、福岡市民会館のチケットをファンクラブ先行で買い、当日に備えた。地元なので、遠征のための飛行機や新幹線、ホテルの予約もない。なんとも楽な状態である。
2022年5月8日
2022年5月8日は日曜日であり、ゴールデンウィーク最終日でもある。天気が良く、気持ちのいい日だった。少し早めに家を出て、会場である福岡市民会館に到着した。そして、先行販売していたグッズから久しぶりのツアーパンフレットを購入した。佐野元春 & THE COYOTE BANDのライブでツアーパンフが発売されるのは、いつ以来だろうか。そんなことを思いながら、開場を待った。16:35ぐらいに開場し、座席に座って開演を待った。会場の観客の入りは8-9割ぐらいだろうか。多少空席が見られた。僕の隣3席は完全に空いていた。開演時間の17:30を5分ほど過ぎて、バンドメンバーがステージに登場した。そして、佐野元春も登場し、ロックンロールなナンバーを演奏し出した。
「WHERE ARE YOU NOW」本編セットリスト
- 彼女はデリケート
- ハッピーマン
- マンハッタンブリッヂにたたずんで
- アイム・イン・ブルー
- ヴァニティ・ファクトリー
- ハートビート
- 東京に雨が降っている
- 悲しい話
- 禅ビート
- ポーラスタア
- 世界は慈悲を待っている
- 境界線
- 愛が分母
- 銀の月
- 純愛
- エンタテイメント!
- La Vita é Bella
- 優しい闇
- アンジェリーナ
Facebook等で若干ネタバレ喰らっていたので、オープニングが「彼女はデリケート」だったのは、あまり意外性はない。「ハッピーマン」から、ステージの背面にアルバム「SOMEDAY」のジャケット写真が飾られる。「ハッピーマン」演奏後に、佐野元春が「ありがとう。沢山集まってくれて嬉しいです。今夜はロックしよう」と挨拶をする。そして、「僕は1980年にデビューしました。80年の思い出と言えばアルバム「SOMEDAY」、今年で40週年を迎えました。同じ年に大瀧詠一プロデュース「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」のリリースもありました。こちらも40周年ということで、このアルバムから一曲演奏したいと思います。」と言って、「マンハッタンブリッヂにたたずんで」を演奏した。
ここからしばらくはアルバム「SOMEDAY」、「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の曲が続く。「マンハッタンブリッヂにたたずんで」の後、佐野元春のMCが入り、「1982年の3月に「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」がリリース、その2ヶ月後の5月に「SOMEDAY」がリリースされました。次の曲はアルバム「SOMEDAY」から一曲、「アイム・イン・ブルー」」と言って、最近では珍しい曲が演奏された。続く曲も「ヴァニティ・ファクトリー」と、また珍しい曲が演奏された。
アルバム「SOMEDAY」、「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」からの演奏が終わると、また珍しい曲が演奏された。「ハートビート」である。「Yah!40年目の武道館&城ホール」でも演奏されたこの曲を再び聴けるとは思っても見なかった。アウトロでは佐野元春のハーモニカ付きである。このハーモニカの音色が心を揺さぶられるのである。この時、舞台の「SOMEDAY」のジャケット写真が取り払われ、街をイメージした背景に変わった。
「ハートビート」の演奏後、佐野元春のMCが入る。「どうもありがとう」、「つい最近、新しいアルバムを出しました。「ENTERTAINMENT!」。ストリーミングしているので、聞いてみてください。今日はこのアルバムから数曲歌いたいと思います。「東京に雨が降っている」」と言って、ニューアルバム「ENTERTAINMENT!」からの曲を演奏した。「東京に雨が降っている」の後、佐野元春のMCが入り、「パンデミックの中、皆さんも大変だっただろうと思います。僕もライブができない中、バンドのメンバーとレコーディングをしていました。次の曲はその中からできた曲です。「悲しい話」」と言って、「悲しい話」を演奏した。
間髪入れずにギターのノイジーな音が響き続ける。ここからTHE COYOTE BANDとのコラボ曲が始まり、「禅ビート」が演奏される。続けて「ポーラスタア」が歌われる。「ポーラスタア」の後の長い拍手の後、「世界は慈悲を待っている」を演奏した。「世界は慈悲を待っている」の演奏の後、佐野元春のMCが入る。「国の文化庁から賞をもらいました。とても嬉しかったのです。この賞はみんなのおかげです。この賞はみんなと分け合いたいと思います。それから最近、本を出しました。「ザ・ソングライターズ」です。自分で言うのもなんですが、面白い本に仕上がっていると思います。」と言ってから、「境界線」を歌った。
「境界線」の後、佐野元春のMCが入り、「愛が分母」を歌った。THE COYOTE BANDにホーンセクションはないので、そのパートは渡辺シュンスケが担当した。続けて新曲「銀の月」を歌い出す。この曲から照明に新基軸が入り、レーザー光線が効果的に使われ出した。しかもステージ上だけでなく、ホールの壁面にもレーザー光線を当てて、印象深い照明になっていた。途中でキーボードとドラムのソロパートも入り、ライブの目玉になっていた。
ここからさらに盛り上がり、「純愛」を歌った。佐野元春のMCが入り、「ライブが実現できて嬉しいです。自分が曲を書き始めたのは15-16歳の頃です。今でもこの世代に向けた曲を書きたいと思っています。」と話したあと、「エンタテイメント!」を歌った。ニューアルバムからの選曲である。続いて「La Vita é Bella」を演奏する。この辺りから、この「TOUR 2022 WHERE ARE YOU NOW」のライブの目的がわかり始めた。どの曲もパンデミック下の状況で、勇気を与えられる曲に思えてきたのである。そして、ポストコロナを見据えた選曲にも思えてきた。その後も曲は続き、「優しい闇」が歌われた。
「優しい闇」の演奏後、ホール内の照明が落とされたのだが、佐野元春が「照明を点けて」と話しして、照明が点いた。理由は「佐野元春がファンの顔を見たかったから」である。そして、本編最後の曲である「アンジェリーナ」が演奏された。「アンジェリーナ」が終わると、佐野元春はマイクを客席に向け、THE COYOTE BANDのメンバーと共にステージから去った。
「WHERE ARE YOU NOW」アンコール1セットリスト
- 悲しきレイディオ
- サムデイ
- ヤング・フォーエバー
アンコール1曲目は、「悲しきレイディオ」だった。当然観客の声出しは禁じられているので、コール&レスポンスは拍手のみに限られていたが、それでも盛り上がる曲には間違いなかった。続いて「サムデイ」が演奏される。この辺りは、定番曲の演奏という感覚が強い。途中のサックスの部分は佐野元春のハーモニカで対応していた。そして、意外な曲がアンコールで演奏された。「ヤング・フォーエバー」である。この曲はしばしば意表をついた形で演奏されるが、今回もそうだった。
「WHERE ARE YOU NOW」アンコール2セットリスト
- インディビジュアリスト
- ニューエイジ
2回目のアンコールは、いきなり「インディビジュアリスト」だった。実はFacebookでこの曲を演奏するというネタバレを喰らっていたが、アンコールで来るとは思ってもみなかった。2000年のアレンジで演奏されていた。「インディビジュアリスト」の後、ファンからの声援を受けて、もう1曲演奏された。佐野元春の「新しい時代に向けて」という言葉によって。これこそが今回のライブのテーマだったのだなと確信した。「ニューエイジ」という曲がそれを端的に表していた。
全ての曲が終わり、ファンの拍手の中、THE COYOTE BANDのメンバー紹介をした。ギターは深沼元昭と藤田顕、ベースは高桑圭、ドラムは小松シゲル、キーボードは渡辺シュンスケの布陣である。今回、スパムが参加していなのは残念だった。密かにTHE COYOTE BANDのメンバーの一人と思っていたので。終了時間は19:45で、2時間強のライブだった。今回のライブで3年半ぶりに遠征することもなく、地元福岡で見られたことに、満足していた。
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