SHAFT(4K UHD Blu-ray/CRITERION)/黒いジャガー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

SHAFT(4K UHD Blu-ray/CRITERION)

 

SHAFT(CRITERION) 4K UHD Blu-rayジャケット

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邦題 黒いジャガー
レーベル CRITERION COLLECTION
製作年度 1971年
上映時間 100分
監督 ゴードン・パークス
出演 リチャード・ラウンドトゥリー、モーゼス・ガン、チャールズ・シオッフィ
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 PCM 1.0ch 英語/PCM 2.0ch 英語
字幕 英語

あらすじ

ニューヨークを拠点に構える私立探偵、ジョン・シャフトは、何者かの襲撃を受ける。その何者かは死亡してしまうのであるが、ニューヨーク警察のヴィクの話では、ハーレムの犯罪者であるバンピーがシャフトを探しているという話を聞き、シャフトはバンピーとコンタクトを取る。バンピーには娘のマーシーがいたが、マーシーは何者かに誘拐され、生死も不明だった。そのためシャフトに娘を取り戻すよう依頼をかけたのだった。シャフトも事件解決のために報奨金をバンピーから入手して、調査を始める。シャフトは黒人であるベンが事件に絡んでいると睨んでベンを探し、彼を詰問するが、ベンは誘拐事件には無関係だった。しかし、その過程でマーシーを誘拐したのはイタリアン・マフィアであることが判明する。それは、イタリアン・マフィアがハーレムを掌握するための行動に他ならなかった。シャフトは黒人対白人の対立に巻き込まれつつも、マーシー奪還に向けてベンとともに行動を開始する。

レビュー

 1960年代から始まった黒人差別主義からの解放運動が激しくなる中、1960年代から1970年代にかけて、売り上げが激減していたハリウッドが今までターゲットにしてこなかった黒人観客を呼び込むために、黒人監督であるゴードン・パークスを起用し、主役に黒人であるリチャード・ラウンドトゥリーを起用した黒人による黒人のためのアクション映画が、この「黒いジャガー」であります。この映画は黒人を起用したいくつもの映画の中でも代表的な作品として人々の記憶に残り、大ヒットを記録しています。その後、2本の続編も作られ、また2000年と2019年にはサミュエル・L・ジャクソン主演によるサイドストーリー的作品も製作されています。評価も結構高いものがあり、Rotten Tomatoesによる批評家評価は86%、観客評価は68%とまずまずの評価を得ています。

 物語は、私立探偵であるジョン・シャフトがハーレムに君臨する犯罪王であるバンピーから誘拐された娘、マーシーの救出を依頼され、その捜査をしていく中で黒人対白人の対立に巻き込まれるが、それを解決していくという時代背景を活かした作品になっています。

 とにかく、この映画はスタイリッシュな映像表現が特徴であります。主人公であるシャフトはタフであり、とにかくどんな状況においても物事に動じず、事件解決に向けて取り組んでいく姿に共感を覚えます。また、舞台となっている1970年代のニューヨークも物語の主人公の一人であり、その廃退した街並みが、この映画のスタイルを形作っていると言えます。特に映画冒頭でアイザック・ヘイズが歌う「黒いジャガーのテーマ」をバックに、ニューヨークの街並みを闊歩するシャフトの姿とニューヨークが魅力的に映り、一瞬で映画の中に取り込まれていきます。

 そして、この映画で出てくる白人は、黒人に対して勝ち目のない演技を行っていて、またこれが黒人の喝采を浴びるかのような演出になっているのも特徴です。シャフトの行動を追いかけるニューヨーク市警のヴィクなどは、狂言回し的存在であり、白人の地位が台無しになっているかのような感覚を覚えます。また、シャフトが愛し合う女性も二人登場しますが、一人は白人であり、黒人に愛される白人女性という当時としては異例の設定にこの映画の主張が込められているかと思います。SEXシーンは意外とソフトな演出であり、行為そのものはイメージ的な演出でありますが、それでも今の時代からは考えられない描写であったと思います。

 前述の通り、映画全編を飾っているのは、アイザック・ヘイズの作ったブラック・ミュージックであり、テーマ曲である「黒いジャガーのテーマ」を筆頭にご機嫌な曲たちが映画を彩っているのも特徴です。1972年のアカデミー賞でもこの「黒いジャガーのテーマ」が歌曲賞を受賞するなど、その出来の良さは折り紙付きであります。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。CRITERION COLLECTIONでの4K UHD Blu-rayの発売であり、クレジットによれば35mmフィルムから4Kスキャンを施したとありますから、ネイティヴ4Kでの収録になっています。マスターは35mmフィルムであることから映画全編に渡ってグレインノイズが乗っています。ただ、それは高解像度を意味していて、映画を見ている感覚が自宅でも味わえます。オリジナルのネガティヴ・フィムルがダメージを受けていることからデュプリケートしたフィルムからテレシネしたシーンもあり、いくつかのシーンはぼやけているところもあります。DOLBY VISIONによるHDRはニューヨークの街並みをカラフルに彩り、夜の街並みのシーンでの色彩の魅力や、暗いシーンでの僅かな光の諧調もきちんと捉えられており、十分な発色を施しています。

 音声はオリジナルのPCM 1.0chモノラルサウンドトラックも収録されていますが、今回新たに製作されたPCM 2.0chステレオサウンドトラックで視聴しました。クレジットによれば、音楽だけはアイザック・ヘイズの息子であるアイザック・ヘイズ IIIの監修のもとステレオ音源化しており、アイザック・ヘイズの音楽が魅力的に鳴り響いています。ただ、その他の効果音やセリフなどはあえてモノラル音声のままですので、他の映画の5.1chサラウンド化のような空間表現はしていません。

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