the UNBEARABLE WEIGHT of MASSIVE TALENT(4K UHD Blu-ray)/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

the UNBEARABLE WEIGHT of MASSIVE TALENT(4K UHD Blu-ray)

the UNBEARABLE WEIGHT of MASSIVE TALENT 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題
レーベル LIONS GATE ENTERTAINMENT INC.
制作年度 2022年
上映時間 107分
監督 トム・ゴーミカン
出演 ニコラス・ケイジ、ペドロ・パスカル、ティファニー・ハディッシュ
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語、フランス語
字幕 英語、スペイン語、フランス語

あらすじ

かつては一世を風靡した映画スター、ニック・ケイジ。しかし、今の彼の元には良い脚本が届けられず、スターとしての貫禄がなくなっていた。家族とも関係がよくなく、娘にも愛想をつかれる始末。そんなニックの元にエージェントのフィンクが新しい契約を持ってきた。スペインに住む大富豪ハヴィが脚本を書き、ニックに出演してもらいたいと持ちかけてきたのである。ニックは渋々スペインに飛んで、ハヴィと対面するが、ニックの大ファンであるハヴィの歓迎を受けて、ニックも考えを改めるようになる。そんなニックの元にCIAエージェントのヴィヴィアンが接触してくる。ハヴィは世界的武器密輸の元締めであり、その関係からマリアという娘を誘拐して監禁しているという話だった。そのためCIAは誘拐されたマリアの監禁場所を突き止め、マリアを解放するようニックに協力を求める。ニックはCIAの仕事をなんとかこなしながらも、ハヴィの描いた脚本を巡ってハヴィと親密になり、双方の見解に翻弄される。ハヴィはニックの妻と娘もスペインに呼んで、ニックとの関係を強化しようとしており、ニックはにっちもさっちも行かなくなる。実は国際的武器密輸の密輸の元締めはハヴィではなく、彼の従兄弟であるルーカスであり、彼がマリアを誘拐したのだった。そして、ニックの娘も監禁したルーカスに対して、ニックは彼女たちの救出に向けて動き出す。

レビュー

 1990年代には大ヒット作を飛ばし続けたものの、2000年代に入ると私生活の問題から作品を選ばずに映画に出演を続け、すっかり落ち目の俳優になってしまったニコラス・ケイジが本人役で出演したアクション・コメディ映画が、この「the UNBEARABLE WEIGHT of MASSIVE TALENT」です。製作費が30百万ドルかかっているにもかかわらず、北米での興行収入は20百万ドルにしか到達せず、失敗作になっています。そして、日本での公開は未定ですので、邦題も決まっていません。しかしながら、映画としての評価は意外によく、Rotten Tomatoesの批評家評価は86%、観客評価も87%と高評価を獲得しています。

 この映画の最大の特徴は何かというと、映画の中の主役が俳優のニコラス・ケイジ本人であるというメタ構造になっていることでしょう。本人が本人役で出演していることから、登場キャラもニック・ケイジの代表作としてニコラス・ケイジが出演した数々の映画のクリップやタイトルがぽんぽん飛び出し、1990年代にニコラス・ケイジ出演作をいくつか観てきた映画ファンとしては、思わずニヤッとするシーンが満載であります。なぜか、映画の中ではニック・ケイジの出演作の中で好きな映画は?と問われたキャラクターたちが、一様に「パディントン2」を挙げているのも面白い演出だと思います。なぜ「パディントン2」が好きなのかは謎ですが、ギャグとして機能していると思います。

 そんなニック・ケイジがスペインの大富豪でニックのファンであるハヴィの描いた脚本を元に映画化するという話を軸にストーリーは展開していきますが、そこは映画という虚構の世界の話。ハヴィが国際的武器密輸の元締めであり、彼がその組織に関係する娘であるマリアを誘拐したという疑惑が起こったことから、CIAがハヴィを捜査しており、その捜査をニックに依頼するという展開から、ニックが現実と虚構の世界を行き来するというユニークな展開が待ち受けています。

 ハヴィは実は国際的武器密輸の元締めではなく、彼の従兄弟であるルーカスが取り仕切っていて、ルーカスがマリアを誘拐、監禁していたのでありますが、その事実がニックとハヴィの友情を育むという展開になり、ニックとハヴィという俳優とファンの関係からバディ物に変化していく過程を見るのも楽しい展開です。二人のコンビがマリア誘拐事件を解決していく展開には、熱いものが込み上げていきます。

 アクション・コメディ映画ではありますが、アクションシーンは意外と控えめで、クライマックスで少々ニックとハヴィが活躍するぐらいです。流石にニコラス・ケイジを本人役で出演されている関係上、はちゃめちゃなアクション映画にするわけにも行かなかったのだと思いますが、クライマックスのマリアとニックの娘の救出シーンを除くと、物語はコメディ映画として成立していると言えます。

 すっかり歳をとったニコラス・ケイジではありますが、映画の中でしばしば上半身を見せるシーンがあり、その肉体の絞り込み度合いには見とれるものがあります。俳優としての自覚がまだまだニコラス・ケイジにはあるのだなと改めて認識する次第ではあります。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは4Kで保存されていますので、ネイティヴ4Kでの収録になります。映像は高精細な画質を持っており、また、DOLBY VISIONの色彩管理は、舞台となるスペインの明るい日差しを受けた美しい景色を余すところなく再現しています。音響はDOLBY ATMOSで収録されていて、アクションシーンが少ないため、その部分での効果は少ないものの、音楽や環境音での三次元サラウンド効果は十分に堪能することができます。総じて、魅力的なサウンドを提供していると思います。

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