ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(DOLBY VISION/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(DOLBY VISION/Netflix)

No Image原題GUILLERMO DEL TORO’S PINOCCHIO
レーベルNetflix
制作年度2022年
上映時間116分
監督ギレルモ・デル・トロ、マーク・グスタフソン
出演ユアン・マクレガー、デヴィッド・ブラッドリー、グレゴリー・マン
画面1.85:1/DOLBY VISION
音声DOLBY ATMOS 英語
字幕日本語

あらすじ

イタリアのある街でゼペットとカルロの親子は幸せに暮らしていた。ゼペットは木を彫り、カルロの靴を作ったり、教会の十字架を作ったりしていた。しかし、イタリアは戦争中で、教会に十字架を設置した日、街は攻撃対象ではなかったのに飛行機が帰投の燃料節約のために爆弾を落としてしまい、カルロはその巻き添えになって死んでしまう。時は流れたがゼペットの悲しみは癒えず、カルロが持っていた松ぼっくりから生えた松の木を使って、木の人形を作る。その木の人形に木の精が魂を吹き込み、ピノッキオが誕生する。松の木に寄生していたクリケットのセバスチャンも同席し、ピノッキオに付き添うが、ゼペットは木の人形がピノッキオとして生命を得たことで困惑する。そして、ピノッキオは純真無垢な魂を持っていたために騒動を起こし、街の市長から学校に行くことを命じられるが、学校に行く途中でカーニバルの団長ヴォルペ伯爵に騙され、カーニバルの一員としてショーに出演してしまう。それを知ったゼペットはピノッキオを取り戻そうとするが、ピノッキオは車に撥ねられ死んでしまう。しかし、木の精によって魂を吹き込まれたピノッキオは何回でも生き返ることができた。そして、借金を負ってしまったゼペットを助けるため、カーニバルのショーで稼ぐことを決意する。ピノッキオが自分の愛するカルロと同じと思ったゼペットは、カーニバルのショーの開催地を追いかけて、ピノッキオを自分の手に取り戻そうとする。

レビュー

カルロ・コロディの有名な童話である「ピノキオ」を新たな解釈でストップモーション・アニメとして生み出されたのが、この「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」です。「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞作品賞と監督賞に輝くギレルモ・デル・トロが監督を務め、従来の童話である「ピノキオ」の設定は生かしたまま、新しい展開を生み出しています。Netflixオリジナル映画のため、劇場公開はされていませんが、映画としての評価は高く、Rotten Tomatoesによる批評家評価は97%、観客評価も91%と極めて高い評価を得ています。

基本的なピノキオの設定は同じですが、ストーリーは別途作り直したようです。オリジナルでは人間になりたがる木の人形ピノキオの成長を描いていたように思うのですが、今作ではピノッキオを生み出したゼペットとピノッキオの間に流れる親子の愛情を主軸に描いています。また、人の命の重要さについても描かれています。ピノッキオは木の精によって命を吹き込まれたため、何回死んでも死後の世界から生き返ってきますが、クライマックスではその永遠の命と引き換えに親であるゼペットを助けようとします。親子の愛情と命の儚さ、尊さを物語で伝えたい展開になっているように思えます。

物語自体はクリケットのセバスチャンの回顧録という設定で進んでいきますが、セバスチャンの出番はあまり多くはありません。狂言回しというわけでもなく、物語自体が純真無垢なピノッキオの行動そのものにフォーカスを当てている面があり、ピノッキオの存在感が強大になっていると言えます。それでも、セバスチャンの所々活躍するシーンは、物語の転換に役割を果たしており、いるのといないのでは大きな違いがあると思います。

物語自体がストップモーション・アニメということもあるのでしょうが、ファンタジー色の強い映画であるがために、本来悪役になりかねないカーニバルの団長であるヴォルペ伯爵や市長ですら、そんなに悪に染まったキャラという印象を受けない感触を得ます。もちろん、彼らはピノッキオとゼペットの間を引き裂く邪の存在なのですが、それでも人形で作られたキャラなためか、どことなく愛着のあるキャラになっていて、ピノッキオにとってみれば不思議な存在のキャラになっていると思います。

舞台が戦争中のイタリアということもあってか、戦争の影が物語に見え隠れしていますが、それは物語のテーマの一つではなく、純粋に時代背景的に使っているように感じます。戦争のためにカルロを失ったゼペットは、代わりにピノッキオを手に入れ、最終的には幸せに暮らしていくという展開になっていて、物語クライマックスも戦争の惨劇の中での展開にはなっていますが、単に物語を盛り上げるための設定に過ぎないように思います。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは不明ですが、映像を見る限りネイティヴ4Kでの収録のように思われます。ストップモーション・アニメではありますが、高精細な映像が堪能でき、不思議な立体感が生まれています。また、DOLBY VISIONによる色彩管理と明暗の管理は素晴らしく、カラフルな色調が画面を彩り、幻惑するかのような映像表現をしています。

音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。今回から、Apple TV 4KにBluetooth接続でBeats Fit Proを繋いで空間オーディオ再生でDOLBY ATMOSを再生しましたが、音が充満する感覚は十分に堪能できました。戦争時の物語ということもあってか、飛行機の飛ぶシーンや爆弾を落とすシーン、爆弾が爆発するシーン、雨や雷のシーンなどイマーシヴなシーンはたくさんあり、これらが視聴者の周囲を取り囲むかのようなナチュラルなサラウンドが満載であります。

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