Blue Velvet(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|ブルーベルベット|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

Blue Velvet(4K UHD Blu-ray/CRITERION)|ブルーベルベット|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

Blue Velvet 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 ブルーベルベット
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1986年
上映時間 120分
監督 デヴィッド・リンチ
出演 カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー
画面 2.35:1/DOLBY VISION
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語/dts-HD MA 2.0ch 英語
字幕 英語

あらすじ

アメリカの片田舎街に住むジェフリー・ボーモンドの父が、家の庭の手入れ中に突如病気で倒れてしまう。ジェフリーは入院してしまった父を見舞いに病院に行き、その帰りに草むらの中で人間の耳が落ちているのを発見する。人間の耳には虫が集っており、どうも生きた人間から切り落とされた様子だった。

人間の耳を見つけたジェフリーは、警察に行き、ウィリアムズ巡査に耳を届け、調査を依頼するが、ウィリアムズの反応は鈍かった。

その後、ジェフリーの前にウィリアムズの娘であるサンディーが姿を現す。ウィリアムズから話を聞いていたサンディーは、ジェフリーに耳の真相を探るには、シンガーのドロシーを探るように提案する。

ジェフリーとサンディーはシンガーのドロシーがバーで歌っているのを確認し、ドロシーのいない隙にジェフリーがドロシーの家に忍び込む。しかし、ドロシーの家を調査しているうちにドロシーが帰ってきて、ジェフリーは見つかってしまう。ドロシーはジェフリーに裸になるよう指示し、裸になったジェフリーに性的行為を行う。

ドロシーには、フランクという犯罪者が付き纏っていた。フランクはドロシーの夫と子供を拉致していて、ドロシーを自分の言うがままに操っていた。そして、ドロシー相手にSMプレイをする変態でもあった。

フランクを知ったジェフリーは、フランクの周辺を調査する。フランクには怪しげな男たちが集っていた。そのうちにジェフリーは、サンディーとドロシーの二人と関係を持つようになる。

フランクはジェフリーの存在を知り、ジェフリーを痛めつける。ジェフリーは警察に話しようとするが、警察内部にフランクと関係していた男がいたことで、話を止める。フランクに痛めつけられたドロシーがジェフリーとサンディーの前に現れたことで、ジェフリーは事件の真相に辿り着こうとする。

レビュー

2025年1月15日にこの世を去ったカルト映画の帝王、デヴィッド・リンチ監督の代表作の一つであり、アカデミー賞監督賞にノミネートされた作品が、この「ブルーベルベット」です。製作費自体は安いのですが、アート映画であるために興行収入もそんなに高くはなく、制作費を若干上回る程度の成績になっています。映画としての評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は91%、観客評価は88%とかなり高評価を得ています。

映画は平和そのものの田舎町に蠢く影の部分、闇の部分に触れてしまったジェフリーの姿を描くある意味難解な作品です。ストーリーもややこしいのですが、ジェフリーが人間の耳を草むらから発見するという事件から始まっていますので、平和な田舎町に蠢く闇の部分がことさらクローズアップされ、リンチ・ワールド全開の作品になっています。

そして、ジェフリーを演じるカイル・マクラクランの演技そのものが、平和な田舎町に蠢く闇の事件に対して全く動じていないので、彼を取り巻く異常な世界が異常とは思えない雰囲気に飲み込まれていき、映画の中で成立してしまうという要因になっています。

草むらに落ちていた耳が誰のものだったのかは、映画のクライマックスで明らかにされますが、そこに至るまでの暴力描写や性的描写、SMプレイなどの倒錯描写と、その描写の静かさにはかなりの落差があり、平和な田舎町の表裏が極端に表現されています。極端に表現されていますが、ジェフリーの目から見た世界ですので、一筋通っているかのようにも見えます。その辺がこの映画の魅力なのでしょう。

リンチのこだわりは些細な描写にも現れていて、ジェフリーが飲むビールは必ず「ハイネケン」ですし、その「ハイネケン」を嫌うフランクという設定も、彼らの世界が交わらないことを示唆しています。こだわりという点で言えば、この4K UHD Blu-rayにはチャプターが全くなく、1つのチャプターで120分を収録していすますので、ホームシアターの特徴の一つであるチャプター飛ばしによる好きなシーンの鑑賞が極めて難しくなっています。リンチ的に言えば、映画は最初から最後まで通して観るべきだ、という意味合いでしょうか。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターは35mmフィルムですので、4Kスキャンしたことでホームシアターでリンチの意図した映像が堪能できることになります。解像度はフィルムの限界に至る精細さを示していますが、シーンによっては甘いところもあります。DOLBY VISIONによる色彩管理は、フィルムのトーンをよく再現していて、リアリティにあふれる色彩になっています。その色彩がリアルであるが故に闇の世界が浮かび上がるようになっています。

音響はdts-HD MA 5.1chサラウンドです。オリジナルがDOLBY STEREOの3-1サラウンドですので、それをベースに5.1ch化している関係上、思ったほどサラウンドチャンネルに意図的な音の振り分けはしていません。基本的にはフロントチャンネル重視の音の鳴り方です。映画の中でしばしば出てくる車の移動音は視聴者の目の前を横切るかのような効果を上げたりしていますが、環境音等で、サラウンドを強調する部分はありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました