陪審員2番(4K UHD/Max/U-NEXT)|Fire TV Stickで観た映画のレビュー

陪審員2番(4K UHD/Max/U-NEXT)|Fire TV Stickで観た映画のレビュー

No Image 原題 JUROR #2
レーベル Warner Bros. Discovery Home Entertainment
制作年度 2024年
上映時間 114分
監督 クリント・イーストウッド
出演 ニコラス・ホルト、トニ・コレット、J・K・シモンズ
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

妊娠した妻と共に暮らすケンプという男が、ある殺人事件の陪審員として選ばれる。ケンプは妻の妊娠にリスクが高かったため、妻の身を案じて陪審員の辞退を考えていたが、裁判長から拒否されてしまい、陪審員として裁判に係ることになる。

殺人事件というのは、サイスという男が恋人であるカーターを殺した容疑で捕まり、裁判を受けるというものであった。事件のあらましは、ハイド・アウェイというバーで飲んでいたサイスとカーターは喧嘩をしてしまい、カーターは怒って帰ってしまうのだが、翌日、旧道きわの草むらの中でカーターの遺体が発見され、状況証拠からサイスが犯人として逮捕された、というものであった。

事件のあらましを聞いたケンプは、事件が起きた日のことを思い出して、疑念を抱く。ケンプもハイド・アウェイにいて、家に帰る途中、車に何かがぶつかり、確認したのだが何も見えなかったので、鹿を撥ねたのだろうと思っていたのだが、もしかしたら自分が撥ねたのは鹿ではなく、カーターだったのではないか、ということである。

気になったケンプは弁護士に相談するが、ケンプがかつてアルコール中毒で事故を起こしていて、現在は断酒をしているのだが、バーであるハイド・アウェイにいたことから、弁護士はもしケンプがカーターを撥ねたとしたら、飲酒運転及びひき逃げの容疑で重罪になるだろう、と打ち明けた。

自分が犯したかもしれない事件を気に掛けながらも裁判の陪審員として参画するケンプだったが、多くの陪審員がサイスを有罪と決める中、一人サイスの無罪を主張し始め、その行動から他の陪審員の態度も変わり始める。

そんな中、陪審員の一人である元警官は、事件が起きた日以降に行われた自動車の修理の記録を調べ上げ、その記録を元に自動車の所有者を当たろうとケンプに持ちかけるが、ケンプがわざと資料を裁判所の人に見せてしまったため、元警官の陪審員は陪審員の座から外れる。しかし、その資料は検察の手にわたり、検察はその資料を元に自動車の所有者を当たり始める。検察官はこの事件を有罪にすると、検察長に昇格できるため、事件の立証にシャカリキになっていた。

陪審員の意見がサイスを有罪にするか無罪にするかで分裂したため、陪審員たちは資源の現場を見学したいと裁判長に申し出る。さまざまな制約はあったものの、陪審員たちは事件現場を査察し、サイスの犯罪を確認する。

そして、その結果として陪審員たちの評決はサイスの有罪を決めた。ただ、その席にケンプはいなかった。

レビュー

質の高い作品を作り続ける、俳優でもあるクリント・イーストウッドの監督最新作が、この「陪審員2番」です。残念なことにアメリカは劇場では限定公開に限られ、日本ではU-NEXT内のMaxで見放題配信オンリーとなってしまった作品です。95歳というイーストウッド監督の年齢から考えると、この「陪審員2番」が最後の監督作になるのでは? と噂されていますので、劇場公開されないことに失望を覚えた映画ファンが多かったです。映画としての評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は93%、観客評価は91%と高評価を得ています。

話は裁判ものですが、主人公ケンプが陪審員の一人であり、殺人事件の裁判を評決する立場にいるところが面白いです。しかも、ケンプは清廉潔白な人物ではなく、殺人事件の真犯人なのでは? という秘密を抱えており、それがいつ発覚するのか、主人公の罪の償いはどうなるのか? という好奇心を抱かせたまま、最後まで突き進むところが素晴らしい展開です。

さらにケンプはかつてアルコール中毒に陥っており、そこから立ち直ってきたところではありますが、殺人事件の当日、現場にいてアルコールを口にしかけたという事実もあり、主人公の罪の意識について苛まれる展開になっています。ケンプは現場ではアルコールは飲まなかったのですが、実は飲んだのではないかという疑念がケンプのアキレス腱の一つになっています。

一方で、イーストウッド監督の作品らしく、ラストまでケンプが罪を償う展開にはなっていません。その可能性はあるという部分は演出として描かれていますが、はっきりした描写は最後までありませんので、ラストは突き放された感が強いです。ラストのその後は、視聴者の想像に委ねています。

陪審員裁判は日本でも行われていますが、裁判ものの映画は、ハリウッド映画の得意技ですので、どうストーリーを捻るかが見どころであり、今回は真犯人が陪審員になっているのでは? というテーマを掲げているところに面白さがあります。真犯人ではないかと思われるケンプが、必然的に殺人事件の容疑者であるサイスを救おうと無罪票に投じるのは、ヒーローだからではなく、良心の呵責に苛まれているからです。

映像は4K/DOLBY VISIONで配信されてように見えます。U-NEXTは映像、音響の情報を提示しないので、目視による感想になりますが、DIが4Kなのと、AppleのiTunes Storeでのデジタル配信が4Kであることから考えても、解像度は4Kのようです。実際、試聴していて不満は感じません。配信にありがちなビットレート不足による映像の破綻はなく、きめ細やかです。色彩もSDRにしては色が鮮やかすぎるし、光の加減もHDRっぽい効果を出していますので、DOLBY VISIONによる提供だろうと判断しています。登場人物の輪郭が際立っていて、臨場感を感じさせるものがあります。

音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで提供されています。法廷ドラマですので、環境音やBGMが終始鳴っているような映画ではありませんが、要所要所ではサラウンドチャンネルを含めて音が広がります。AVアンプのサラウンドモードをDOLBY SURROUNDにして鑑賞しましたが、雨の降る音や田舎道の鳥の鳴き声等が頭上にも広がりますので、リアルなサラウンドが楽しめます。

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