フルートベール駅で(SD/U-NEXT)|Fire TV Stickで観た映画のレビュー

フルートベール駅で(SD/U-NEXT)|Fire TV Stickで観た映画のレビュー

No Image 原題 FRUITVALE STATION
レーベル THE WEINSTEIN COMPANY
制作年度 2013年
上映時間 85分
監督 ライアン・クーグラー
出演 マイケル・B・ジョーダン、メロニー・ディアス、オクタヴィア・スペンサー
画面 1.78:1/SDR
音声 DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

2008年の大晦日、オスカーと妻のソフィーナは喧嘩をする。オスカーが他の女性と浮気をしていたのが原因である。しかし、娘のタチアナがいたためにその場は収まる。

タチアナを保育園に連れて行ったオスカーは、自分が勤めていたスーパーに顔を出す。大晦日はオスカーの母の誕生日なので、母に食材をプレゼントしようと立ち寄ったのである。オスカーはそのスーパーの仕事を遅刻が原因でクビになっていた。スーパーのマネージャーを見かけたオスカーは再雇用を依頼するが、遅刻を繰り返すオスカーに対してマネージャーはつれない態度を取る。

職を失ったオスカーは自分が持っていたドラッグを売人に打って金を稼ごうと、売人に連絡を取る。しかし、海岸に出たオスカーは1年前のことを思い出し、ドラッグを海に捨ててしまい、わずかに残ったドラッグの小袋だけを売人に渡す。売人から金はもらわなかった。

1年前の大晦日は、オスカーは刑務所で刑を務めていた。ドラッグの売買で捕まっていたのである。刑務所へ母が面会にやってきたが、母は「面会に来るのは今回が最後」だと宣言する。

売人と別れたオスカーは、ソフィーナや自分の姉妹と連絡をとり、母の誕生日プレゼントを色々調達する。そして、タチアナを保育所からピックアップしたオスカーはソフィーナとも合流し、実家に顔を出して母の誕生日を祝う。

実家で楽しいひと時を過ごしたオスカーとソフィーナは、タチアナをオスカーの姉妹に預け、二人で仲間と合流し、新年を祝うことになる。母から「車で行くと渋滞に巻き込まれるから、電車で行きなさい」と言われたオスカーたちは、電車で移動することになる。

2009年新年の祝いは電車の中でカウントダウンを行った。その後、電車の中でオスカーたちは喧嘩に巻き込まれる。電車はフルートベール駅に緊急停車し、警察が喧嘩を起こした人たちを次々に捕まえる。オスカーも捕まえられるが、オスカーは「何もしていない」と無実を訴える。

しかし、警察はオスカーの訴えを無視し、逆に発砲してオスカーに重傷を負わせる。ソフィーナは現場から離れたところにいたが、オスカーが撃たれたことで動揺し、オスカーの母に連絡を取る。

病院に緊急搬送されたオスカーは治療を受けるのだが、治療の甲斐なくこの世を去る。

レビュー

「クリード」、「ブラックパンサー」とヒット作を連発するライアン・クーグラー監督と、俳優のマイケル・B ・ジョーダンが最初にタッグを組んだ問題作が、この「フルートベール駅で」です。サンダンス映画祭でグランプリと観客賞を受賞した作品であり、ライアン・クーグラー監督にとっては初の長編映画になっています。ローバジェットの映画でありますが興行収入は全世界で17百万ドルを稼ぎ出しています。評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は94%、観客評価は87%と高評価を得ています

実話を映画化した作品で、映画の冒頭とラストは実際の事件の様子を捉えた一市民の動画をそのまま使用しているため、ラストがどうなるのかは予め最初から観客に伝わってしまう構成の映画になっています。その事実の動画を見た上でドラマによる事実の再現を見ていくと、主人公オスカーの淡々とした平凡な人生が、警察の横暴によって理不尽にも打ち壊されるというオスカーに同情すべき感情が持ち上がってくる作りの映画に仕上がっています。

オスカーは実際には過去にドラッグの売買で刑務所に入っていたり、妻以外の女性に手を出したり、働いていたスーパーで遅刻を繰り返したりしたためにクビになったりと、決して清廉潔白な人物ではありません。それでも娘のタチアナのために人生をやり直そうとする姿は描かれ、その佇まいは観客が感情移入するには十分な存在感を示しています。

オスカーが家族想いの人であることも克明に描かれています。自分の母の誕生日にはいろいろなプレゼントを用意しますし、浮気をしたことについてもソフィーナに謝る態度を示していますし、何より娘のタチアナに対する愛情が本物だという描写は印象的です。

そのため、クライマックスで描かれる電車内での喧嘩の発生と、それに繋がる警察の強制捜査、理不尽な拳銃発射シーンが強烈なインパクトを持って観客に迫り、最終的にオスカーがこの世を去ってしまうエンディングには強力な感情の発露を観客にも迫るようになっています。

映画のラストでは字幕でオスカーを撃った警官の処罰に対する結果が語られますが、甘い処罰が警官に与えられ、白人が黒人を差別している現実が明確に表現されているのが、この作品の主張の一つです。もちろん、理不尽な事件によってこの世を去ったオスカーの人生を克明に描いていますので、一人の若者の人生を振り返るというのも主張の一つになっています。

映像はSD/SDRで配信されています。撮影フィルムは16mmですので、マスターDIは2Kなのですが、日本ではDVDでしかリリースされていないこともあって、DVDマスターしか配信では使用していません。16mmフィルムで撮影されていることと、DVD画質という制限もあるので、ディテールは潰れています。当然フィルムグレインはかなり多めであります。色彩もSDRということもあってか少々ぼやけ気味に感じます。

音響はDOLBY DIGITAL 2.0chでステレオ配信です。DOLBY DIGITAL 2.0chの配信ではありますが、3-1サラウンドミックスで収録していたようで、AVアンプのサラウンドモードをDOLBY SURROUNDでデコードすると、サラウンドチャンネルを含めて音が広がります。オブジェクトの配置も立体的ですので、フロント2chに音が張り付くことはなく、サラウンドチャンネルも含めて空間的になっています。

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