TWILIGHT OF THE WARRIORS WALLED IN(4K UHD Blu-ray)|トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
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邦題 | トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 |
レーベル | WELL GO USA ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2024年 | |
上映時間 | 125分 | |
監督 | ソイ・チェン | |
出演 | ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 広東語/dts:X 広東語/dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語、フランス語 |
あらすじ
1980年代の香港。ミスター・ビッグが支配する裏社会で、ロクという若者が格闘技に挑戦し、金を得る。ミスター・ビッグと対面したロクは、ミスター・ビッグに金を渡して香港のIDの作成を依頼する。ロクは難民であり、父のことを知らないまま香港に流れ着いていた。
しかし、ロクがミスター・ビッグに渡した金額では出来の悪い偽造IDしか作成してもらえなかった。怒ったロクは「金を返せ!」と訴えるが聞き入れられず、ロクはミスター・ビッグの持っていた麻薬を奪取して逃走し、九龍城砦に逃げ込む。
九龍城砦はサイクロンという男が支配する街だった。ロクはミスター・ビッグから奪取した麻薬を売って金を得ようとするが、サイクロンに叩きのめされ、九龍城砦に住む人々に介護される。サイクロンから諭されたロクは九龍城砦に住む住民と一緒に仕事をすることになり、その仕事から金を得ることを覚えていく。
九龍城砦はかつてはジムという男が支配していたが、サイクロンがやってきて、シューとともにジムを叩きのめして支配を奪い取っていた。その戦いの中、ジムはシューの家族をサイクロンに殺させていた。その為、シューやサイクロンはジムに遺恨を持っていたが、ジムには赤ん坊がいて、その赤ん坊の行方は不明だった。ロクが九龍城砦にやってきたことで、ジムの赤ん坊の行方がわかってくる。ロクがジムの子供だったのである。
その頃、イギリスと中国の交渉の結果、香港はイギリスの植民地から中国に返還されることになる。香港のスラム街である九龍城砦の扱いについても、両国は取り決めを交わしていく。そのニュースを不安気に九龍城砦の人々は見ていた。
ミスター・ビッグとキングは九龍城砦の実権を握ろうと、九龍城砦にやってくる。そして、ロクを引き渡すよう命令する。しかし、サイクロンとその手下たちはロクを守ろうとする。戦いの中、病気だったサイクロンはロクを守るために自らの身を犠牲にする。
ロクは九龍城砦の外に運び出され、香港警察によって保護される。IDのなかったロクだが、香港警察の手によってIDを発行してもらえる。そして、サイクロンの手下たちと再開する。
九龍城砦はミスター・ビッグのものになっていたが、手下のキングはミスター・ビッグを抹殺し、九龍城砦はキングのものになる。そのキングに対して、ロクたちは最後の戦いを挑む。
レビュー
2025年に日本で公開されると、意外にも根強いヒットを飛ばしてしまった香港カンフー映画が、この「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」です。日本ではオリジナル言語の広東語ではなく、日本語吹き替え音声メインで劇場公開されています。香港映画界では歴代No.1のヒットを記録している作品です。評価はかなり高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は90%、観客評価は85%と高評価を得ています。
僕が知る限り、最近の香港映画で日本でヒットした作品はほとんどなかったように思いますが、この作品は珍しくヒットしています。内容としてはカンフーアクション映画でありますが、舞台が2025年現在、存在していないスラム街だった九龍城砦ということで、歴史の記憶を掘り起こす役割をこの映画は持っています。
九龍城砦はかつてはアヘン窟とも言われ、アヘンを吸う人が多かったという話がありますが、実際は中国から逃げてきた難民が住み着いた場所だと言われています。僕自身は跡地の公園を見に行ったことはありますが、そこには多くの難民が住んでいたので、今は亡き歴史の一部を舞台にして、暗黒街のボスと戦うカンフーアクション映画を作るというのは、歴史を記録に留める行為を行なっていると言えるでしょう。
映画そのものは、仲間の敵討ちとスラム街に住む住民の交流を描いた、善悪が明確に分離している作品ではありますが、圧倒的な九龍城砦のビジュアルと派手なカンフーアクションで、独特の雰囲気を備えた作品に仕上がっています。
特に香港映画界の重鎮であるサモ・ハン・キンポーが、ミスター・ビッグ役で出演し、その存在感を表しているのは、魅力的です。サモ・ハン・キンポーだけでなく、ルイス・クーをはじめとする親父たちがいい味出した演技をしていますので、渋い仕上がりの映画になっています。主役を張る女性キャラはおらず、まさに男同士の熱い友情を描いた作品になっています。
映像は4K/DOLBY VISIONで提供されています。デジタルカメラで撮影された本作は、DIが2Kマスターになっていますので、アップスケール4Kになるのですが、比較的解像度が高く、九龍城砦の臨場感が満点です。DOLBY VISIONによるHDR効果は素晴らしく、光の加減や九龍城砦の影の部分の描写など優れた部分が多いです。
音響はなんとDOLBY ATMOSとdts:Xの広東語が同時収録されていますが、今回はDOLBY ATMOSで視聴しました。少々やりすぎな音の配置ではありますが、九龍城砦内部の環境音がイマーシヴなサラウンドになっていて、天井方向や背後からの音響が充満しています。アクションシーンの格闘音もサラウンドしていますので、映像に対する没入感は高くなっています。
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