TOWER OF DEATH(Blu-ray UK)|ブルース・リー/死亡の塔|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
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邦題 | ブルース・リー/死亡の塔 |
レーベル | Arrow Video UK | |
制作年度 | 1980年 | |
上映時間 | 87分 | |
監督 | ウー・スー・ユエン | |
出演 | ブルース・リー、タン・ロン、ロイ・チャオ | |
画面 | 2.35:1/SDR | |
音声 | dts-HD MA 1.0ch 広東語、標準中国語、英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
格闘家であるチュンは世界中の格闘家から付け狙われていたが、迫り来る敵を次々に倒していった。チュンの友人であるリーも彼の格闘家としての強さに感心していた。
リーは少林寺の師匠に相談に行く。リーの弟にもカンフーの技術を極めてもらいたいのだが、リーの弟は女性にうつつを抜かしていて、カンフーの修行に身が入っていなかった。師匠はリーに弟に諭すよう話をし、リーは少林寺のカンフーテクニックを記した書物を弟の部屋に置いておく。
リーの元にチュンが死んだという報が入る。チュンの娘が日本のクラブで働いていると聞かされたリーは日本に飛び、チュンの娘と会ってチュンの死んだ理由を調べようとする。チュンの娘はリーにフィルムを渡すのだが、そこに何者かの襲撃を受ける。リーは暴漢を叩きのめすのだった。
チュンの葬儀に出席したリーはチュンの死の原因を探ろうとするのだが、原因が探せないままチュンの遺体を何者かによって持ち去られてしまう。その時にリーは矢で撃たれて死んでしまう。
リーが死んだことを知った弟は日本に来て、リーが死んだ理由を探り始める。リーがチュンの娘から預かっていたフィルムから、弟はチュンの手下としてロイスという男が死亡の塔というところを守っていることを知る。
リーの弟はロイスの元を訪れる。ロイスには片腕の男がひとときも離れずついていて、ロイスを守護していた。ロイスは自身が死亡の塔を守っていることをリーの弟に説明するが、ロイス自身も世界中の格闘家から襲撃を受けていた。
リーの弟は死亡の塔に隠された秘密を探ろうとするが、仮面を被った格闘家に邪魔をされる。その仮面を被った男はロイスをも抹殺するが、次第に死亡の塔の全容が明らかになってくる。そして、リーが殺された理由が見え始めてくる。
レビュー
ブルース・リーの死後5年を経て制作、公開された「ブルース・リー/死亡遊戯」が話題になったため、ゴールデン・ハーヴェスト社が「ブルース・リーの未公開フッテージを流用してもう1作品制作しよう」と制作したのが、この「ブルース・リー/死亡の塔」です。国際版では「GAME OF DEATH II」のタイトルで公開され、セリフも英語で喋っていますが、今回はレアな「TOWER OF DEATH」のタイトルで公開され、広東語で喋る香港公開版で鑑賞いたしました。ブルース・リー主演作のように見えますが、パチモノ映画であり、Rotten Tomatoesでは批評家評価はつかず、観客評価も42%と散々な評価になっています。
過去に視聴した国際版と香港公開版ではいくつかのフッテージの差異がありますし、ブルース・リーの未使用カットですら差異はありますが、基本はブルース・リー演じるリーという男が友人のチュンの死の謎を解こうとして逆に殺されてしまい、リーの弟が兄の仇を打つためにチュンの死の謎と死亡の塔の捜索に動き出すという物語になっています。
国際版と比較しますと、香港公開版は「ブルース・リーの残された未公開フッテージを公開!」という要素は多少弱くなっています。国際版にあったカサノヴァ・ウォンとの戦いが香港では「死亡遊戯:香港公開版」に入ってしまっているため、香港公開版の「ブルース・リー/死亡の塔」では見ることができなくなりました。ブルース・リーの過去の映画からのカットは冒頭30分ぐらいは少し入っていますが、「ブルース・リーの未公開フッテージ公開!」という売り文句は弱くなっています。それでもブルース・リー主演と銘打って観客を騙した感のある「ブルース・リー/死亡の塔」は、ブルース・リーの弟役のタン・ロンが主役のB級カンフー映画としての印象が強くなっています。
B級カンフー映画ではありますが、ブルース・リーの弟役のタン・ロンが、カンフーで戦う際にはブルース・リーのモノマネ演技を多用していますので、出来の悪いブルース・リーのパチモノ映画として成立してしまっています。
物語としてはリーの友人、チュンの死亡した理由と死亡の塔の謎解きというある種のロールプレイングゲーム的要素を持った作品になっています。オチはかなり無理がある展開ですが、スパイ映画的でもあるカンフー映画と言えるでしょう。香港映画の強かさが見え隠れする作品です。
カンフーアクションシーンはユエン・ウーピンが演出していますので、カンフー技の様式美を堪能することができます。「マトリックス」シリーズでハリウッドに認められたユエン・ウーピンのコリオグラフを堪能したい向きには、それなりに楽しめる作品です。
映像は2K/SDRでの収録です。元フィルムから2Kでしかスキャンしていませんので、クオリティも2Kに制限されています。元素材の状態があまり良くありませんので、映像の質もそんなに高くないです。フィルムに傷が付いているシーンがかなりあり、その傷が目立ちます。フィルムグレインもそれなりにあります。ブルース・リーの未使用フッテージの一部はSD解像度になっているところもあります。色彩はSDRとしてはそれなりに発色しています。
音声はdts-HD MA 1.0ch 広東語で鑑賞しました。広東語の他には標準中国語と英語が収録されていますが、オリジナル音声は広東語です。1.0chのモノラルサウンドですからサラウンドは全くありませんが、映画を楽しむにはほどほどの音質を保っていて、映画の効果としての迫力そのものは感じられます。
なお、このディスクはイギリスで発売されたものであり、リージョンBのロックがかかっています。リージョンフリーのBlu-rayプレイヤーがないと、鑑賞はできない仕様になっていますので、鑑賞するのにはハードルが高いです。
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