『ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデー』Blu-ray(輸入盤)レビュー|月はチーズ? “手作り”で宇宙へ行く23分【SDR / PCM】
ストップモーション黎明期に誕生した、ウォレスとグルミットシリーズの原点。粘土を少しずつ動かしたクレイアニメと、英国流のシニカルなユーモア。家庭の食卓から月面探査まで跳躍する23分は、今なお“手作りアニメの温度”を最も純度高く伝えてくれる。
『ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデー』Blu-ray 基本仕様
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邦題 | ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデー |
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| 原題 | A Grand Day Out | |
| レーベル | HIT Entertainment | |
| 制作年度 | 1989年(劇場公開版) | |
| 上映時間 | 23分(劇場公開版) | |
| 監督 | ニック・パーク | |
| 出演 | ピーター・サリス | |
| 画面 | 1.33:1 / SDR | |
| 音声 | PCM 5.1ch 英語 / Dolby Digital 5.1ch 英語 / Dolby Digital 2.0ch 英語 | |
| 字幕 | 英語 | |
| リージョン | BD=リージョンフリー | |
| パッケージ | BD 1枚(本編 + 特典映像) |
あらすじ(短縮版)
クラッカーに添えるチーズがない——ならば月へ行くまで!ウォレスは「月はチーズでできている」という伝承を信じ、相棒グルミットと自作ロケットで月面へ。しかしそこには“コインで動く”番人がいて……。
あらすじ(詳細)
長期休暇の行き先を探していたウォレスは、チーズ切れに気づき、月面採取を思いつく。ロケットを自作し、グルミットとともに月へ到着。
月の地表をスライスして味見するも、慣れ親しんだ英国チーズの風味とは異なり困惑する。
ところが、コイン投入で起動する“月面の番人”ロボットが現れ、地表を食べていた二人に憤慨。追われる身となった二人は、ドタバタの末に月からの脱出を図る。
見どころとテーマ
- “手作り”の温度: 粘土の指跡・小物の質感まで残るストップモーションの魅力。
- 英国らしいシニカル: 寡黙グルミットの表情芸や皮肉の効いた小ネタが秀逸。
- TV発の短編設計: 1.33:1のテレビ比率でテンポよく進むコンパクトな完成度。
- 寓話の活用: 「月はチーズでできている」を温かい物語へ昇華。
Blu-ray 映像レビュー【SDR】
オリジナル16mm由来の1.33:1。フィルムグレインはしっかりあるものの、クレイのマチエールや照明の柔らかい陰影が良質に再現。35mm作品ほどの鮮鋭さはないが、色は素直で立体感もよく、手仕事のニュアンスを伝える方向性が好印象。
映像スコア:82点 —— “手作りの温度”を最良の形で残したレストア
音響レビュー【PCM 5.1ch】
PCM 5.1 / DD 5.1収録。サラウンドは主にBGMと環境音の包囲で効果を発揮し、オブジェクト的移動は控えめ。セリフの明瞭さ、ロケット発射や機械音の存在感は十分。短編アニメとしては上質な5.1chアップグレードとなっている。
音響スコア:78点 —— 過度に誇張せず“品よく”包む5.1ミックス
総評
“チーズのために月へ行く”という一行で笑えて、観れば職人芸に唸る。23分の短編ながらシリーズの方向性を決定づけた記念碑的作品であり、輸入盤Blu-rayはその魅力を丁寧に伝える仕上がり。ホームシアターに常備したい一作。
総合スコア:80点

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