「アンジェリーナの日」に完結した45年|佐野元春 & THE COYOTE BAND|佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー追加公演|東京ガーデンシアター

「アンジェリーナの日」に完結した45年|佐野元春 & THE COYOTE BAND|佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー追加公演|東京ガーデンシアター

2026年3月21日@東京ガーデンシアター


はじめに

佐野元春のデビュー45周年を記念したアニバーサリー・ツアーは、2025年12月の横浜BUNTAI公演でいったんファイナルを迎えた。しかしツアー期間中、佐野元春のコロナ感染による延期公演が2本、さらにアリーナでの追加公演が2本決定し、計4公演が2026年初頭に開催されることになった。

今回の東京ガーデンシアター公演については、2025年10月にLINE CUBE SHIBUYAでライブを観た時点で既に発表されており、チケットもファンクラブ先行で申し込んでいた。

最近の佐野元春のライブは、以前と比べて明らかにチケットが取りづらくなっている。ファンクラブ先行でも「第二希望の席も申し込むことを推奨します」というアナウンスが出ていたほどだ。

とはいえ僕は

「東京ガーデンシアターならアリーナ席が多いから第一希望だけでも大丈夫だろう」

と判断し、第一希望のみで申し込んだ。

結果としてアリーナ席は確保できたものの、発券してみるとかなり右寄り──深沼元昭側だった。ここ最近のファンクラブ先行では深沼側になることが多く、何か傾向でもあるのだろうかと少し気になっていた。


「アンジェリーナの日」にライブを観る

ライブ開催日の2026年3月21日は、実は「アンジェリーナの日」だった。

佐野元春のデビュー曲「アンジェリーナ」がリリースされた日が、まさに3月21日だからである。

福岡暮らしが長かったこともあり記憶がはっきりしない部分もあるが、「アンジェリーナの日」に佐野元春のライブに参加したのは、おそらく2010年のデビュー30周年キックオフイベント以来だと思う。恵比寿のライブハウスに行った記憶がある。

つまり16年ぶりに「アンジェリーナの日」にライブを観ることになる。

これは個人的にも特別な夜だった。


開場前

会場には早めに到着したが、すでに多くのファンが開場を待っていた。

入場時に配布されたのは紙チケットのみだったので、

「いつもなら他アーティストのライブ告知チラシがあるのにな」

と少し不思議に思っていた。

しかしその理由は後で分かることになる。


腕輪型ライトの演出

数日前、大阪城ホール公演の映像がYouTubeで公開されており、観客が腕輪型ライトを装着しているのを見て

「面白いな」

と思っていた。

もしグッズ販売されていたら購入しようと考えていたのだが、売っていなかった。

ところが座席に着くと、その腕輪型ライトが全席に配布されていた。

開演前のアナウンスによると

  • 楽曲に合わせて点灯
  • 色が変化
  • 観客ごとに点灯パターンが異なる

という仕組みらしい。

非常に興味深い演出だった。


第一部セットリスト

  1. フリーアナウンサー、武田真一さんによる挨拶
  2. オープニング映像とスポークンワーズ(再び路上で/リアルな現実 本気の現実/フルーツ)
  3. 君を想えば(New Recording)
  4. Youngbloods(New Recording)
  5. つまらない大人にはなりたくない(New Recording)
  6. だいじょうぶ、と彼女は言った(New Recording)
  7. ジュジュ(New Recording)
  8. 街の少年(New Recording)
  9. 欲望(New Recording)
  10. 自立主義者たち(New Recording)
  11. 君をさがしている-朝が来るまで(New Recording)
  12. 誰かが君のドアを叩いている(New Recording)
  13. 新しい航海(New Recording)
  14. 太陽(New Recording)
  15. レインガール(New Recording)
  16. 吠える(New Recording)

武田真一さんの登場

ステージの藤田顥側に設置されていた演台。

開演してその意味が分かった。

登場したのは、フリーアナウンサーの武田真一さんだった。

武田さんはNHK在籍時代から佐野元春のファンであることを公言していたが、まさかこのアニバーサリー・ツアーの追加公演で登場するとは思っていなかった。

武田さんは佐野元春の音楽との出会い、そして45年間にわたって受け取ってきたメッセージについて、静かに、しかし熱を込めて語った。

その語りを聞きながら、

「ああ、このライブは単なるツアー追加公演ではない」

ということを強く感じた。

45年という時間を共有してきた人たちの証言がここにあった。


スポークンワーズ

武田真一さんの挨拶のあと、これまでの45年を振り返る映像とスポークンワーズが流れる。

  1. 再び路上で
  2. リアルな現実 本気の現実
  3. フルーツ

この導入はLINE CUBE SHIBUYA公演と同じ構成だったが、追加公演という文脈の中で見ると、意味の重さが違って感じられた。


君を想えば

そしてバンドメンバーと佐野元春が登場。

一曲目は「君を想えば」。

45年間の時間を観客と共有するためのような選曲だった。


Youngbloods

映像演出が進化していた。

過去と現在が重なり合うような演出だった。


つまらない大人にはなりたくない

ここから一気に会場の熱量が上がる。

腕輪型ライトの演出が空間全体を包み込む。


だいじょうぶ、と彼女は言った

MC

「今夜はアンコール公演です。みんな、どうもありがとう」

そして演奏されたこの楽曲。

改めて聴くと非常に強い楽曲だと思う。


ジュジュ

この楽曲はライブで聴くと特別に楽しい。

映像に映る男女のダンスを見ると、つい佐野元春のご両親の姿を想像してしまう。


街の少年

MCが入る。

「昨年、THE COYOTE BANDは2枚のアルバムを出しました。“HAYABUSA JET I”と”II”。評判が良くて嬉しいです。」

サビでは自然に観客の歌声が広がっていった。


欲望

キーボード前に座って歌い上げる。

会場は静かに集中していた。


自立主義者たち

再び熱量が上がる。

この選曲の流れは非常に良かった。


君をさがしている

映像演出が印象的だった。


誰かが君のドアを叩いている

MC

「みんないい感じ?」

マイクをトントン叩く。

そして演奏へ。

ライブならではの導入だった。


新しい航海

現在の世界を考えると重みのある楽曲だった。


太陽

ツアーでは演奏されていなかった楽曲。

意外な選曲だった。


レインガール

MC

「もうすぐ春ということで、気持ちを新たにしている人も多いと思います。そんなみんなにこの曲を歌いたいです。“見せかけばかりの世の中で、あの娘だけはリアル。僕のレインガール”」

観客の大合唱が印象的だった。


吠える

第一部ラスト。

意外な選曲だったが非常に良かった。

結果として第一部は「HAYABUSA JET I」「II」を軸にした非常に明確な構成になっていた。

MCが入る。

「この後インターミッションを挟んで、一部、2部構成になっています。僕ら、20分後に戻ってきます。」

そう語って第一部は終了した。


インターミッション

インターミッションでは、これまでのツアーでも流れてきたインタビュー映像が上映された。

「山中湖は寒かった」

という言葉とともに映し出されるゾーイの姿。

この映像はツアーを通じて何度も見てきたが、見るたびに気持ちが和らぐ。45周年という節目のライブの中で、観客の気持ちを静かに整える役割を果たしていたように思う。


第二部セットリスト

  1. OPENING
  2. さよならメランコリア
  3. 銀の月
  4. 斜陽
  5. 境界線
  6. 愛が分母
  7. 純恋(すみれ)
  8. La Vita é Bella
  9. エンタテイメント!
  10. 水のように
  11. 大人のくせに
  12. 新しい世界(New Recording)
  13. スウィート16
  14. サムデイ
  15. 明日の誓い
  16. 約束の橋(New Recording)

OPENING

第二部はこれまでのツアーと同様、「OPENING」のSEとともに始まる。

バンドメンバーが登場し、佐野元春はキーボードの前に座る。

ここからライブ後半の思想的な軸がよりはっきりしてくる構成だった。


さよならメランコリア

キーボードの前に座ったまま歌われたこの楽曲。

現在の社会に対する静かな違和感や問いかけを含んだ楽曲として、第二部の導入として非常に象徴的だった。


銀の月

続いて「銀の月」。

ライブで聴くと一段と広がりのある楽曲で、ここから会場の空気が少しずつ熱を帯びていく。


斜陽

MCが入る。

「毎日な猥雑なニュースに神経もやられてしまいそうな日々ですけれど、休憩中の映像を見てもらえましたか。ゾーイ! 犬です。僕の相棒です。ゾーイと一緒にいると、この荒れた心もなんとなく和んできます。ゾーイ、ありがとう。」

そして演奏された「斜陽」。

現代社会を見つめる視線を強く感じる楽曲だった。


境界線

MC。

「45周年アニバーサリー・ツアー、去年の夏から始まって、今夜の東京で最後です。この大事な夜を皆さんと一緒に祝えるのが嬉しいです。」

その言葉のあとに演奏されたのが「境界線」。

高速で移動する風景の映像が印象的だった。


愛が分母

MC。

「僕のファンもだいぶ年齢層が広がってきました。今日もこの会場には何人かキッズたちがきています。これからの子供達が戦争に巻き込まれないように、この曲で世界中のキッズたちに歌いたいと思います。詩を知っている人がいたら、一緒に歌ってください」

そして「愛が分母」。

この曲が持つ平和へのメッセージが、この日のライブではより明確に提示されていたように感じた。


純恋(すみれ)

続いて「純恋(すみれ)」。

観客の人気が高い楽曲であり、この日も大きな拍手で迎えられていた。


La Vita é Bella

人生を肯定する力を持った楽曲。

アウトロでは深沼元昭、藤田顥、高桑圭がステージ前方に進み出て演奏し、大きな盛り上がりを生んでいた。


エンタテイメント!

MC。

「僕は昨年45周年。そしてTHE COYOTE BAND結成20周年です。東京のみんな、もっとロックしよう」

その言葉のあとに始まった「エンタテイメント!」。

この楽曲を聴いている間、世界情勢の重さを一瞬忘れることができた。


水のように

この曲を聴くたびに思い出すのはブルース・リーの哲学である。

柔らかく、しかし強い。

ライブでもその印象は変わらなかった。


大人のくせに

「英雄もファシストもいらない」

というフレーズが強く響く。

アウトロでは深沼元昭のギターソロが際立っていた。


新しい世界(New Recording)

ここで時代を遡る。

映像に映し出された

End of War

という言葉と「新しい世界」というタイトルが重なり、このライブの思想的な核を示していたように感じた。


スウィート16

ライブ後半の盛り上げ曲。

ここで会場の熱量が一段階上がる。


サムデイ

MC。

「僕はちょうど46年前の今日、“アンジェリーナ”という曲でデビューしました。80年代の思い出はいろいろありますけれど、思い出深いのはなんと言ってもアルバム”サムデイ”ですね。今はこの曲を書いて本当に良かったなと思います。」

そして「サムデイ」。

当然ながら観客全員の大合唱だった。

間奏ではハーモニカが響いた。


明日への誓い

ここで一度空気が静まる。

希望を希求する楽曲として丁寧に歌われた。


約束の橋

MC。

「45周年ということで振り替えてみるといろいろなことがありましたけれど、全体的には楽しくやってこられました。ここまでやってこられたのは皆さんの応援のおかげです。どうもありがとう。80年代にはハードランド、90年代にはホーボーキングバンド、そして今やっているコヨーテバンド。僕は素晴らしいミュージシャンたちに恵まれました。今日、アニバーサリーライブということで、古田たかしくん、井上富雄くん、長田くん、きてくれています。」

歴代メンバーの名前が語られた瞬間、会場の空気が変わった。

姿は確認できなかったが、おそらくバルコニー席のどこかにいたのだと思う。

そして第二部最後の楽曲は「約束の橋」。

観客全員で歌うサビが印象的だった。

歌い終わった後、メンバー紹介をした。ギターは深沼元昭と藤田顥、ベースは高桑圭、ドラムは小松シゲル、キーボードは渡辺シュンスケ、バッキングコーラスに佐々木久美とTIGARという横浜BUNTAIと同じメンバーだった。


アンコールセットリスト

  1. スターダストキッズ
  2. 悲しきレイディオ
  3. アンジェリーナ

スターダストキッズ

アンコールに応えて再び登場。

ハーモニカから始まる「スターダストキッズ」。

「乾杯!」

の大合唱が会場を満たした。


悲しきレイディオ

本来第一部ラストに置かれていた楽曲。

アンコールに配置されたことで、より自然な位置に収まった印象だった。


アンジェリーナ

そして最後の楽曲。

「アンジェリーナ」。

しかもこの日は

アンジェリーナの日

である。

腕輪型ライトが会場全体で光り続けていた。

深沼元昭、藤田顥、高桑圭がステージ前方に出て演奏するラストの光景は、このツアーの終着点としてこれ以上ないものだった。

THE COYOTE BAND紹介

最後のMC。

ここで

THE COYOTE BAND

THE HOBO KING BAND

と言い間違える。

そのあと頭に銃を向けるジェスチャー。

会場は笑いに包まれた。

そしてツアースタッフへの感謝。


最後のMC──自由について

最後に語られた言葉。

「この国に生まれて、この人生を自由に感じて、自由に思い、自由に表現してきました。でも、今思うのは、それが当たり前のことではなく、とても幸運だったのではないかなとそう思っています。」

「今、世界中のあちこちで”自由”とは何か、“デモクラシー”とは何かいろいろな意見が飛び交っています。」

「でも考えすぎて臆病になってしまうのもいけません。」

「オーディエンスの皆さんが今夜こうして一緒にいてくれたことが、僕にとってはとても心強いです。」

45周年アニバーサリー・ツアーの核心は、この言葉だったのではないかと思う。

ツアー完結

腕輪型ライトは退場時に回収された。

そして外では他アーティストのライブ告知チラシが配布されていた。

佐野元春45周年アニバーサリー・ツアーは、この東京追加公演をもって完結した。

社会の状況に心を痛めながらも、その現実と向き合い続ける意思を持ったライブだった。

その場に立ち会えたことを、とても幸運だったと思っている。

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