『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|人々が愛したのはジョーカーであり、アーサーではなかった。賛否を呼んだ続編を再評価【Dolby Vision / Dolby Atmos】

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|人々が愛したのはジョーカーであり、アーサーではなかった。賛否を呼んだ続編を再評価【Dolby Vision / Dolby Atmos】

バットマンの宿敵であるジョーカーの誕生を描き、高い評価を受けた『ジョーカー』。その続編となる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、前作とは大きく異なる方向性を打ち出した作品である。

物語は、殺人事件を起こしたアーサーが収容されたアーカム精神病院での生活と、彼が起こした事件の裁判を中心に展開する。そこにレディ・ガガ演じるリーとの恋愛や、突然のミュージカルシーン、ルーニー・テューンズ風のアニメーションが挿入される。

こうした演出は、ジョーカーのその後を期待していた観客から不評を買い、作品は興行的にも成功しなかった。

しかし、実際に鑑賞してみると、人々が熱狂していたのはジョーカーという存在であり、その本体であるアーサーには誰も関心を持っていなかったという、前作から続く孤独な人生の描写が浮かび上がってくる。

4K UHD Blu-rayでは、IMAXを意識した可変アスペクト比とDolby Visionによる映像、そして前作を大きく上回るDolby Atmosの音響が、作品の世界を臨場感豊かに再現している。

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』4K UHD Blu-ray 基本仕様

JOKER:FOLIE À DEUX 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
原題 JOKER:FOLIE À DEUX
レーベル Warner Bros. Home Entertainment
制作年度 2024年(劇場公開版)
上映時間 138分(劇場公開版)
監督 トッド・フィリップス
出演 ホアキン・フェニックス, レディ・ガガ, ブレンダン・グリーソン
画面 1.90:1 & 2.2:1 / Dolby Vision
音声 Dolby Atmos 英語, ドイツ語, イタリア語 / Dolby Digital 5.1ch 英語, スペイン語, フランス語
字幕 英語, スペイン語, フランス語, ドイツ語, イタリア語, デンマーク語, フィンランド語, ノルウェー語, スウェーデン語
リージョン UHD=リージョンフリー
パッケージ UHD 1枚(本編 + 特典)

あらすじ(短縮版)

テレビ番組の司会者マレーや地下鉄での殺人事件によって、アーカム精神病院に収容されたアーサー。ジョーカーとして注目を集める彼は、看守たちから虐待を受けながら、裁判を待つ日々を送っていた。

そんな中、音楽療法のグループで出会ったリーという女性が、ジョーカーに強く惹かれてアーサーに接近する。アーサーも彼女に恋心を抱き、二人は親密になっていく。

やがて始まった裁判で、アーサーは弁護士を解任し、ジョーカーとして自らを弁護することを決意する。しかし、人々が熱狂するジョーカーと、その本体であるアーサーとの間には、大きな隔たりがあった。

あらすじ(詳細)

テレビ番組の司会者であるマレーや、地下鉄にいた3人組の男たちを殺害した罪で、アーサーはアーカム精神病院に収容されていた。

マレーを殺害した際にアーサーはジョーカーを名乗っていたため、世間の注目を集める存在になっていた。

一方、精神病院では看守のジャッキーたちに目をつけられ、たびたび暴行を受けていた。

そんなある日、音楽療法を受けていたグループの一人であるリーという女性が、アーサーに接近してくる。

リーは、アーサーがジョーカーを名乗っていた時の行動に惹かれており、彼女自身もジョーカーを真似るようになっていく。

そんなリーに対して、アーサーも恋心を抱くようになり、二人の距離は次第に縮まっていく。

アーサーは心理療法を受けていたが、経過は芳しくなかった。

そして、マレーや地下鉄にいた3人組の男たちを殺害した罪について、アーサーの裁判が始まる。

検察側はハービー・デントを前面に立て、アーサーを追及する。それに対してアーサーの弁護人は、彼の精神疾患を前面に出して裁判を戦おうとする。

しかし、アーサー自身は、もう一人の自分であるジョーカーとして、弁護士をつけずに裁判を戦いたいと思うようになる。

そして弁護士を解任し、ジョーカーとして裁判を続けることになる。

リーとの関係が続く中、ゴッサム・シティの人々はアーサーの裁判に注目していた。

しかし、判決はアーサーにとって最悪の結果となり、その後、予想外の展開が彼を待ち受けていた。

見どころとテーマ

ジョーカーの誕生秘話を描いた『ジョーカー』の続編

バットマンの宿敵であるジョーカーの誕生秘話を描いた『ジョーカー』の続編にあたり、前作でアーサーが起こした殺人事件の裁判を中心に物語が展開する。

ジョーカーに恋人が登場

アーカム精神病院で治療中のアーサー/ジョーカーに好意を寄せる女性、リーが登場する。

リーはジョーカーの影響を受け、彼女自身もジョーカー化していく。

しかし、リーが関心を持っているのはジョーカーであって、アーサーではないという点が物語の重要なポイントであり、ラストの展開にも大きく影響してくる。

人々が熱狂するのはジョーカーであり、アーサーではない

人々はジョーカーの犯罪行為に熱狂していくが、あくまで関心があるのはジョーカーという存在である。

ジョーカーの本体であるアーサーには、誰も関心を持っていない。

そのことは、ラストの展開にも表れている。

冒頭のアニメや突然のミュージカル仕立ての演出が不評を呼ぶ

前作『ジョーカー』では、アーサーの転落人生を克明に描くことで、彼の悲劇をうまく演出していた。

しかし、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』では、冒頭からルーニー・テューンズ風のアニメーションが登場し、レディ・ガガがリー役で出演しているためか、唐突なミュージカル演出も多い。

その結果、物語の悲劇性が途中で途切れてしまうところがあり、批評家や観客からの評価が低くなった一因になっている。

レディ・ガガのリーは適任か?

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』でアーサー/ジョーカーを導くのは、レディ・ガガが演じるリーである。

しかし、レディ・ガガの演技そのものについては、リー役として適任だったのかという疑問が残る。

ミュージカルシーンでのレディ・ガガの歌唱は素晴らしいものの、ミュージカル演出自体が物語を途切れさせているように感じられるため、レディ・ガガの起用が裏目に出ている部分もある。

『バットマン』にも登場するハービー・デントが、アーサーを追及する検事として登場

『バットマン』シリーズで悪役として登場するハービー・デントが、本作ではアーサーを裁判で追及する検事として登場し、シリーズとのつながりをわずかに感じさせている。

4K UHD Blu-ray 映像レビュー【4K / Dolby Vision】

「Filmed for IMAX」の認定を受けている本作は、4K UHD Blu-rayにおいて、70mmフィルムのアスペクト比である2.2:1と、IMAXデジタルシアター向けの1.90:1という二つのアスペクト比を混在させて収録している。

ただし、2.2:1と1.90:1の画面切り替えは、比較的印象が薄い。

両者のアスペクト比が比較的近いこともあり、画面が切り替わるタイミングに注意を払うことは少なく、気がついたら変わっていたという場面が多い。

解像度はネイティヴ4Kなので、高精細な映像を堪能できる。

アーサーの髭や皺といった細かなディテールまで、鋭く描写されている。

HDRはDolby Visionで収録されている。

色の使い方は、シーンによって暖色系が優勢だったり、寒色系が優勢だったりと、ややモノトーン的な描写になっている。

そのため、発色は鮮やかではあるものの、必ずしもカラフルな映像ではない。

また、黒が十分に沈み込まないため、映像に締まりが感じられないところもある。

その分、暗部の描写は明瞭に表現されているが、沈み込まない黒に違和感を覚える場面もある。

映像スコア:90点 —— ネイティヴ4Kによる高精細な描写と可変アスペクト比が魅力。Dolby Visionの色彩表現も効果的だが、黒の沈み込みが弱く、映像の締まりに欠ける部分もある。

音響レビュー【Dolby Atmos】

IMAXシアター向けには6-Trackのサラウンドを提供していた本作は、4K UHD Blu-rayではDolby Atmosで収録されている。

物語はアーカム精神病院と裁判所が主な舞台になっているが、これらの場所における音場表現は、非常にリアリティのあるものになっている。

精神病院に収容されている患者たちの話し声や、看守の怒鳴り声などが四方八方から聞こえてきて、音に包まれる感覚が強い。

また、ミュージカルシーンにおける音の広がりも絶大である。

特に印象的なのは、低音の伸びの強烈さである。

終始低音が響いているような感覚があり、単なる重低音だけでなく、音楽としての低音域もしっかりと鳴り響いている。

通常は方向性がわかりにくい低音が、方向性を伴って鳴り響くところには驚かされる。

音響スコア:96点 —— 精神病院や裁判所の空間をリアルに再現する包囲感と、ミュージカルシーンの圧倒的な音の広がりが秀逸。特に方向性を感じさせるほどの強烈な低音表現は特筆に値する。

総評

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、ジョーカーの誕生秘話を描いた『ジョーカー』の続編である。

しかし、ジョーカー/アーサーの精神病院での暮らしと、彼が起こした殺人事件の裁判を中心に、唐突なミュージカルシーンやアニメーションを挿入する演出を採用したため、ヴィランとしてのジョーカーのその後を期待していた観客から不評を買い、興行的にも成功しなかった作品である。

不評だという話だけを聞いていて、今回ようやく4K UHD Blu-rayで『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を鑑賞した。

確かに、唐突なアニメーションやミュージカルシーン、延々と続く精神病院での虐待と裁判には、ジョーカー誕生のその後を期待していた身として、期待外れに感じる部分もあった。

ただ、レディ・ガガ扮するリーが示しているように、人々が熱狂していたのは純粋な悪としてのジョーカーであり、その本体であるアーサーには誰も関心を寄せていなかった。

その展開とラストの結末を見たことで、物語は前作『ジョーカー』とともに、アーサーの孤独な人生を克明に描いたものであるという認識を得ることができた。

そうした観点から見れば、さほど出来の悪い作品とも思えない。

「Filmed for IMAX」と銘打ち、IMAXシアターでの鑑賞を前提として制作された本作は、4K UHD Blu-rayでもIMAXデジタルシアターで鑑賞するのと同じように可変アスペクト比で収録されており、その臨場感は高い。

また、4K/Dolby Visionによる映像表現も効果的である。

Dolby Atmosによるサウンドデザインは前作を遥かに凌ぐ効果を発揮しており、特にミュージカルシーンにおける低音の響きは特筆すべきものがある。

作品のどこを主題として捉えるかによって評価が低くなるのは理解できるが、個人的には、世間で言われているほど低く評価する作品でもないというのが実感である。

もっとも、前作『ジョーカー』に比べれば、出来は芳しくないのだけれど。

総合スコア:82点 —— 唐突なミュージカル演出や裁判中心の展開には物足りなさが残るものの、ジョーカーではなくアーサーの孤独を描いた作品として見れば、再評価できる部分も多い。4K映像とDolby Atmosの完成度も高い。

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