L’ULTIMO Anno 25 佐野元春 & THE COYOTE BAND ロッキン・クリスマス 2025|恵比寿ザ・ガーデンホール

L’ULTIMO Anno 25 佐野元春 & THE COYOTE BAND ロッキン・クリスマス 2025|恵比寿ザ・ガーデンホール

2025年12月23日@恵比寿ザ・ガーデンホール

はじめに

2025年は佐野元春の「ロッキン・クリスマス」は開催されないものと思っていた。2025年は佐野元春デビュー45周年&THE COYOTE BAND結成20周年ということで7月から12月7日まで「佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー」を開催していて、「ロッキン・クリスマス」を開催できる余地がないように思えたからである。

しかし、11月に入るとファンクラブで「今年も東京だけですが開催します」という告知とチケットのファンクラブ先行予約を受け付ける旨のアナウンスがあった。平日開催だし、12月7日の「佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー・ファイナル」の横浜BUNTAIのチケットも取っていたので、一瞬迷ったのだが、13年の福岡生活の時に「ロッキン・クリスマス」を見に行けたのは2019年の熊本公演の時だけだったこともあり、「せっかく東京まで1時間強で行ける環境に住んでいるのだから」とチケットを申し込んだ。すると、去年に引き続き、今年もチケットが確保できてしまった。それで、12月7日の「佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー・ファイナル」から2週間強の間隔を空けて、恵比寿ザ・ガーデンホールに行くことになった。

恵比寿駅ビルのアトレで早めの夕食を取る

今回、2日間の公演のうち、後ろの23日のチケットを確保した。明確な理由はないが、22日だと月曜日なので仕事が立て込んでいる可能性があったため、23日火曜日の公演にしたのだが、実際それで正解だった。22日はやはり仕事が立て込んでいて、もしチケットをとっていたら多少厳しい状況に陥っていたと思う。23日と翌24日は仕事は自分の采配で進められたので、時間管理がやりやすかった。

23日は早朝から仕事を始めて、15:30には勤務を切り上げた。フレックスタイムを活用したのである。仕事を切り上げたら支度をして家を出て、一路恵比寿に向かった。

17:00過ぎに恵比寿駅に着いたので、恵比寿駅ビルアトレの6階にあるレストラン街で早めの夕食を取った。昨年の「ロッキン・クリスマス」の時には恵比寿ガーデンプレイスでお茶を飲んでいて、夕食はライブ終了後にラーメンを食べた記憶があるが、それだと家に帰って寝るのが遅くなるので、今年は食事を済ませてからライブに挑むことにした。17:00なんて早い時間だからレストラン街は空いていて、ゆっくり夕食を楽しめた。この日はタイ料理屋に入って、ガパオライスとサラダの三種盛りを食べていた。

恵比寿ザ・ガーデンホールに入場

食事も終わり、ブラブラと恵比寿ガーデンプレイスに向かった。去年と同じくクリスマス・イルミネーションが街を華やかにしている。昨年、ここに来た時には場違いな雰囲気に飲まれていたが、今年はもう慣れた。女子高生や若いカップルの中、イルミネーションを写真に撮って、クリスマス気分を味わっていた。

恵比寿ザ・ガーデンホールも昨年の土岐麻子のライブと「ロッキン・クリスマス 2024」で慣れたので、淡々と入場の列について、場内に入場した。ドリンク代を支払い、今年はノンアルコールビールを引き換えた。アトレのタイ料理屋でもアルコールは飲まなかったし、ライブ会場でのドリンクもアルコールは頼まなかった。10月末から11月初旬のライブ2連チャンの時に体調を崩して以来、外出先でアルコールを飲むのは控えるようになっていた。今年はタパスも注文しなかった。

まず、チケットに書かれた自分の席に辿り着いた。座席は割と後方の方だった。チケットが取れただけよしとすべきと思った。ただ、12月7日の「佐野元春45周年アニバーサリー・ツアー・ファイナル」の時にも深沼元昭サイドの席だったのだが、今回もそうだったので、何かチケットの配分にクセがあるのかなと思っていた。

場内は楽天モバイルの電波もちゃんと届いていたので、開演まで暇つぶしはできた。平日開催かつ、ロビーでアルコールやタパス提供ということもあってか、開演時刻が近づくにつれて場内は混雑していった。

19:00を回った頃、場内が暗くなり、ステージの壁に取り付けられたディスプレイに雪の映像が流れ始めた。そして、ライブは始まった。

第一部セットリスト

  1. 君が気高い孤独なら
  2. 世界は慈悲を待っている
  3. バイ・ザ・シー
  4. 冬の雑踏
  5. 夜空の果てまで
  6. Us
  7. レインガール(New Recording)
  8. 君を想えば(New Recording)

ディスプレイに雪の映像が流れる中、「Little Drummer Boy」が流れていた。すでに気分はクリスマスになっていた。

メンバーがステージに登場し、1曲目が歌われる。「君が気高い孤独なら」で、久しぶりにこの楽曲を聴いた気がする。やはり、「45周年アニバーサリー・ツアー」とはライブが放つテーマが違うのだと認識した。アウトロのギターソロが印象的だった。

2曲目は「世界は慈悲を待っている」だった。やはり、ある種のテーマが選曲の中に存在していると思う。「Grace」というサビにその意味が込められているように思う。

MCが入る。「ありがとう。クリスマスライブ、今年もここで演奏できることを僕ら嬉しく思っています。たくさん集まってくれてありがとう。今夜、みんなで楽しく行こう。」的内容である。

続けて3曲目は「バイ・ザ・シー」が来た。これも久しぶりに聞いた気がするが、クリスマスライブにラテンロックというのは、意外と合うものだと思う。歌詞のテーマがヘビーだから、よりクリスマスの華やかさと対比される感じである。アウトロではギターソロとキーボードソロが映える。

4曲目に来たのは、「冬の雑踏」だった。この楽曲もテーマを深く持っている。ここまでの選曲で、ただのクリスマスパーティライブではなく、社会を取り巻く環境や個人の抱える問題に触れていっているかのような感じを受ける。

MCが入る。「今年はデビュー45周年です。そして、THE COYOTE BANDを結成して20年です。全国色々な街でライブをやってきました。そして、今夜のクリスマスライブ、この大事な夜を皆さんと一緒に過ごせることを嬉しく思っています。今夜も素敵な夜にしよう。」

そして、歌われたのはなんと「夜空の果てまで」。この楽曲を聴いたのも久しぶりである。

続いて、「Us」とアルバム「COYOTE」からの選曲が続くので予想外だった。この2曲の演奏は、クリスマスという時期に演奏することに意味を持たせる説得力があった。アウトロの「Why can’t we be friends?」と歌う部分にその意味が集中していると思う。

MCが入る。「45周年ということで、全国色々な街で演奏してきました。今夜は、最後の仕事ということで、バンドのメンバーに色々なことを聞いてみたいと思います。僕たち、全国を回りながらプロモーターの方が色々と美味しいものをご馳走してくれるのですね。で、今年一番美味しかったものを聞いてみたいと思います。」と言って、バンドのメンバーにツアーで食べた料理で一番美味しかったものを聞くコーナーになってしまった。最初はドラムの小松シゲルで、「出雲で食べたカニが良かったです。そのカニも良かったのですけれど、創業100年の親方が”Café Bohemia”のCDを持ってきて、震えながら佐野さんにサインをもらっていました。一番緊張したそうで。」という趣旨の話をしていた。続けて深沼元昭で「まさか小松くんと被るとは思わなかったのですが、僕も出雲のカニが良かったです。で、その店、実はラーメン屋でして、ラーメンが実に美味しかったです。店の名前が”きんぐ”という名前です。で、いつもライブ後の食事で白ごはん食べていたのですが、今回のツアーでは一回も白ごはん食べませんでした。それで僕も大人になったなと思いました。」と爆笑の話をしていた。続いて藤田顥で、「手短に北海道のスープカレーが美味しかったです。」とのことだった。3人が終わると、次の曲に行った。

次の楽曲は「45周年アニバーサリー・ツアー」でもお馴染みの「レインガール(New Recording)」だった。この楽曲ではディスプレイにツアーでも表示されていた映像が映し出されていた。ツアーでもお馴染みだったので、観客のノリもいい。アウトロのコーラスもバッチリだった。

MCが入る。「今年はTHE COYOTE BAND、なんと新しいアルバム、2枚出しました。”HAYABUSA JET I”、そして最近出た”HAYABUSA JET II”ですね。今日は特別に”HAYABUSA JET II”からもう1曲演奏します。僕のキャリアも長くなってきましたが、ここまでやったこれたのはファンの皆さんのおかげです。その気持ちを込めてこの曲を演奏します。」という話をして、第一部ラストの楽曲を演奏した。

第一部ラストの楽曲は「君を想えば(New Recording)」だった。「HAYABUSA JET II」に収録されたのも驚きだったが、まさかライブで聴ける日が来るとは思いもしなかった。僕の記憶では20周年アニバーサリー・ツアーの時以来聞いたことがない。まさにファンに対する感謝の歌なので、このクリスマスライブにはふさわしい演奏だった。演奏の途中でキメの止めが何回も入るので、歯切れがいい。最後は深沼元昭、藤田顥、高桑圭の3人もステージ前方で観客を盛り上げながら演奏していた。

「僕ら20分後にステージに戻ってきます」と佐野元春が話して、メンバーがステージを去り、20分の休憩に入った。トイレに行く人もいれば、ドリンク券の引き換えに行く人、タパスを食べに行く人、会場内で休憩する人、さまざまだった。僕は自分の席で休憩しながら、場内BGMをゆったり聞いていた。

第二部セットリスト

  1. ジュジュ(New Recording)
  2. 街の少年(New Recording)
  3. みんなの願いかなう日まで
  4. 愛が分母
  5. 境界線
  6. いばらの道
  7. La Vita è Bella
  8. クリスマス・タイム・イン・ブルー

第二部の最初は「ジュジュ(New Recording)」だった。この楽曲もツアーで使われた映像が彩っていた。ただ、以前見ていた時に気づかなかった映像の中に犬が描かれているのに気づき、「あれ、こんな映像だったっけ?」と驚いていた。

MCが入る。「休憩中、みなさん、何か食べてもらえましたか? L’ULTIMOのタパス、年々美味しくなっている気がするのだけれど、みんなどう思う? 僕はライブが終わった後食べます。続けては擦り傷だらけの都会育ちの街の少年。」と話して2曲目に移った。

2曲目はMC通り「街の少年(New Recording)」だった。この楽曲もツアーで使われた映像がディスプレイを彩っていた。初期の楽曲なので観客は盛り上がるし、一緒に合唱していた。アウトロで観客も「シャララ」と歌っていた。

MCが入る。「L’ULTIMOでのライブ、今年で10回目を迎えました。次に歌いたい楽曲は、毎年ここだけで歌ってきました。良かったら、みんなで一緒に歌おう。」

そして、3曲目はTHE COYOTE BANDとの演奏でできた「みんなの願いかなう日まで」。確かに基本的にはこの楽曲、「ロッキン・クリスマス」でしか聴くことはできない。なので、今年もこの楽曲を聴くことができ、一緒に歌うことができて幸せである。アウトロで観客が「メリ・メリ・メリー・クリスマス」とコーラスするのが印象的である。

MCが入る。「今年振り返ってバンドメンバーに聞くコーナー。」と言って、第一部の続きがここで始まってしまった。当然今年食べた中で一番美味しかったものを話すコーナーで、最初は高桑圭だった。「僕はツアーで色々回って、そのご当地の菓子パンを食べるのが好きなんですけれど、1個好きな菓子パンがあって、関西方面で売っている”サンミー”という菓子パンがあるのですけれど、今回、何回も関西に行っているのに、1回しか食べられなかったんですよ。それが悔しくて、誰か送ってください。」と笑い話にしてしまった。最後は渡辺シュンスケで、「一番印象に残っているのが金沢の小料理屋で、あまりに美味しすぎてみんなシーンとしすぎて、大将が心配していました。」とこれまた笑って話していた。

演奏に戻って「愛が分母」。この楽曲も映像付きだった。この楽曲も意外と詩が深いテーマを持っていると思う。ダンサブルなナンバーだけれど。観客も「Say Yeah!」と歌うので、ストレス発散できる。

続けて、「境界線」を演奏した。この楽曲も映像付きだった。観客も盛り上がっているし、僕も盛り上がっていた。この楽曲の歌詞も意味深である。

次が驚いた。「いばらの道」が歌われたのである。アルバム「ENTERTAINMENT!」に収録されているが、ライブでは初めて聞いた。一回もライブで演奏したことがないのではないかと思う。あえてこの楽曲を演奏することで、クリスマスにおける想いを強く感じさせる楽曲になったのではないかと思う。

続けてお馴染みの「La Vita è Bella」が演奏される。お馴染みの楽曲だが、クリスマスシーズンにこの楽曲の歌詞をじっくり聞くと、また別の感情に囚われる。

MCが入る。「ありがとう。みんないい感じ? みんながいい感じだと僕もいい感じです。次に歌いたいこの曲は80年代、ニューヨークにいた頃書いた曲です。ちょうどクリスマスの頃、小さなアパートメントの自分の部屋で書きました。部屋には小さなピアノがあって、そのピアノを弾きながら書いていました。リズムをとって。そうしたら下の住民が上がってきて、ドアを叩くんです。”何?”って言ったら、”うるさいんだよ”。人に迷惑をかけながら書いた曲です。この曲で思うのは戦争で傷ついた子供達、大人たち、この世界のどこか同じ空の下にいるということ。そんなことを思いながら、この曲を歌いたいです。」

そして、「クリスマス・タイム・イン・ブルー」が歌われた。「45周年アニバーサリー・ツアー・ファイナル」の横浜BUNTAIでもこの楽曲は聞いたから、今シーズン2回目のライブ演奏を聴いたことになるが、やはりいい曲である。舞台袖ではローディたちが鈴を鳴らしていた。歌の後半の「Tonight gonna be alright!」の合唱は良かったし、最前列の観客にソロでこのフレーズを歌わせるのも成功していた。後半のベースとキーボード、ギターのソロもインパクトがあった。ラストは「サンタクローズ・イズ・カミング・ディス・タウン」が歌われ、クリスマスを祝っていた。

この楽曲が第二部のラストで、佐野元春はバンドメンバーを紹介した。ギター:深沼元昭、ベース:高桑圭、ドラム:小松シゲル、キーボード:渡辺シュンスケ、ギター:藤田顥のいつものメンバーだった。

メンバー紹介が終わり、バンドメンバーはステージから去ったのだが、佐野元春に促されて深沼元昭が一人でマイクに向かい「メリー・クリスマス!」と叫んでからステージを降りた。

アンコールセットリスト

  1. 禅ビート
  2. 空港待合室
  3. アンジェリーナ〜メドレー
  4. スターダスト・キッズ

程なくメンバーはステージに再登場したが、ステージ衣装は全員カラフルなセーターを着ていた。そして、アンコールの1曲めは予想外の「禅ビート」を演奏した。アンコールでこの楽曲が来るとは思いもしなかったので、呆気に取られていた。

アンコール2曲めも予想外だった。「空港待合室」が歌われたのである。これもアンコールっぽい楽曲じゃないから、いい意味で定番から外れていて、楽しかった。

MCが入る。「みんな、いい感じ? 今日は平日なのに、そして年末なのに、このクソ忙しい時に集まってくれてありがとう。もっと景気良く行こう!」と話して、アンコール3曲目を演奏した。

アンコール3曲目は「アンジェリーナ」だった。それもただの「アンジェリーナ」ではない。アウトロから「愛する気持ちさえ分けあえれば I love you, You love Me」のコール&レスポンスが行われる「アンジェリーナ〜メドレー」のパターンだった。「アンジェリーナ」なので観客は全員合唱していたし、「愛する気持ちさえ分けあえれば I love you, You love Me」の前には佐野元春が「初めての人に対して」と説明まで入れていた。このライブで初めての人はいないように思ったが。それで、「もっと景気良く行こう」と観客を煽ったりもするので、観客も燃えて大声で「You love me」とレスポンスを入れる始末だった。

MCが入る。「みんな嬉しいです。ありがとう。セーター。実を言うと昨日のショー、みんなセーター着ていたのですが、僕だけ白いシャツ。なんか仲間はずれ? スタッフに頼んで調達してもらいました。」と笑わせて、再度メンバー紹介をした。「今夜1年の応援をみんなありがとう。」と言ってライブを終了させようとしたのだが、観客の盛り上がりがすごくて収まりがつかなかった。佐野元春がスタッフに時間を確認し、バンドメンバーと相談を始めた。そして、観客に対して「負けた。もう1曲行こう。」「まだ準備ができていないです」と言って、追加アンコールがあった。

追加アンコールは「スターダスト・キッズ」だった。盛り上げには最適な楽曲だった。当然観客も一緒に歌った。

最後のMCは「みんな凄いな。今年は本当にあっという間に過ぎましたけれど、来年もレコード、ライブで皆さんに会いたいと思います。メリー・クリスマス、みなさん良いお年を。」だった。そして、THE COYOTE BANDのメンバー一人一人が「メリー・クリスマス!」と言ってステージから降りた。

これで、2025年の「ロッキン・クリスマス 2025」が終了した。昨年に引き続き「ロッキン・クリスマス」に参加できて、本当に幸せなひと時を過ごすことができた。「45周年アニバーサリー・ツアー」とは異なるセットリストには楽しませてもらったし、クリスマスという特別な季節をライブで感じさせてくれて、本当に良かったと思う。

終演後、渡辺シュンスケとPLECTRUMのアナログレコードを買おうか迷ったのだが、荷物になるのでやめてしまった。Apple Musicで配信されているから、それで聞こうと思う。

終演後の恵比寿ガーデンプレイスはまだまだ学生やアベックがイルミネーションに酔いしれていた。僕も写真を何枚か撮って、恵比寿を後にし、家に帰宅した。

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