AS TEARS GO BY(Blu-ray/CRITERION)

WORLD OF WONG KAR WAI Blu-rayジャケット 邦題 いますぐ抱きしめたい
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1988年
上演時間 98分
監督 ウォン・カーウァイ
出演 アンディ・ラウ、マギー・チャン、ジャッキー・チュン
画面 1.85:1/SDR
音声 PCM 1.0ch 広東語
字幕 英語

あらすじ

 ワーの元に従姉妹を名乗るンゴールが訪れる。ンゴールは体調不良で、医者に通っていて、薬を飲んでいた。ワーは、寝ていたが、たびたび裏社会のボスから呼び出しを受けていた。ワーの義兄弟であるフライは、同じく義兄弟である若者のために、結婚式を主催する。その資金のために裏社会から金を借りていて、その返却ができていなかった。いくらかは返したものの、目標額には遠く届かず、裏社会から目をつけられて、たびたび暴行を受ける。ワーはその度にフライのために騒乱の中に飛び込むのだが、事態は悪化する一方だった。ンゴールの住む街にいったワーは、彼女と親密な関係になり、彼女と生活していこうと考え出す。しかし、フライへの暴行を知ったワーは、香港に戻り、フライを取り戻す。

レビュー

 1988年に公開された、ウォン・カーウァイの監督デビュー作が、この「いますぐ抱きしめたい」です。今作では、ハードボイルドな犯罪者として成立をしていて、その中でラブ・ストーリーも描かれるという展開を見せています。香港フィルム・アワードでは、助演男優賞と美術賞を受賞しています。また、Rotten Tomatoesの批評家評価では、85%と高評価を得ています。残念なことに観客評価では、67%と水準並みの評価に落ち着いています。

 物語は後のウォン・カーウァイの映画とは違い、シンプルな犯罪ノワール映画として成立しています。もちろん、ラブ・ストーリーとしても成立はしているのですが、メインの話は犯罪物になっているのが特徴です。主人公ワーと、その弟分フライの親分から借りたお金の返却をめぐって、親分の手下との抗争がメインの話になっています。そして、それは最終的に悲劇に終わるところが、印象深い話であります。

 フライは、彼の弟分の結婚式を開くための資金を親分から金を借りていて、それを返せないために、親分の手下から散々に痛めつけられる状態になっています。それを見た兄貴分のワーが、フライを助けようと親分の手下に逆襲をして、結果的にさらに痛めつけられる状況になっているのが、見ていて救いがないなと思うところであります。フライも借りた金を返すべく、屋台でフィッシュボールを売って金を稼いだりしていますが、それだけでは到底足りず、また警察が屋台に手入れをしてしまうために、結局長続きしないところも破滅への道を辿っていると言えます。

 ワーの元に最初に現れるのは、自ら従姉妹と名乗るンゴールですが、彼女はマスクをしています。病気だというンゴールは、医者から処方された薬を飲んでいて、ワーと共にしばらく生活していますが、故郷に戻ってしまいます。そして、痛めつけられたワーを見つけて、自身の主治医に見せて治療を施し、ワーと心を通わせることになります。その恋は儚い物でありますが、ワーにとっては救いになっていたのではないかと思います。

 ワーとフライの親分の手下との抗争は、結構リアルです。いかにも痛めつけられているメイキャップ等がリアルで、ワーとフライの苦境が実感として伝わってくる演出がなされています。その最後は、ワーにとってもフライにとっても悲願であったと同時に悲劇でもあり、物語に余韻を残したまま、終章してしまいます。Blu-rayには別バージョンのエンディングも収録されていますが、別バージョンのエンディングの一つは、ハッピーエンディングになっていて、物語のトーンに合わない感じがします。この悲劇的エンディングが物語の結末上必要だったと思います。

今回試聴した「いますぐ抱きしめたい」は、CRITERION COLLECTIONの「WORLD OF WONG KAR WAI」というBlu-ray BOXセットでリリースされています。4Kマスターを製作し、それを2KのBlu-rayに落とし込んでいるため、解像度的には不満はありません。色調もSDRではありますが、ハッとさせられるシーンもあり、魅力的な色彩を放っています。音響はPCM 1.0chのモノラルサウンドトラックでの再生になります。モノラルなのでサラウンド感は全くといっていいほどないのですが、物語に欠陥があるのかというと、ないといってもいいでしょう。モノラルならではの音の厚みが物語をぐいぐい勧めていきます。

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