佐野元春 & THE COYOTE BAND「ROCKIN’ CHRISTMAS 2019」熊本城ホールシビックホール

佐野元春 & THE COYOTE BAND「ROCKIN’ CHRISTMAS 2019」熊本城ホールシビックホール

2019年12月25日

当初、この佐野元春の「ROCKIN’ CHRISTMAS 2019」が中止になった「ソウルボーイへの伝言 2019」の熊本公演の代わりに熊本城ホールシビックホールで開催されると知った時、ためらいを生じていた。「ROCKIN’ CHRISTMAS」は大抵平日開催であり、熊本城ホールシビックホールの公演もご多分にもれず12月25日の平日だったからである。会社員なので平日は仕事がある。ただ、ファンクラブ先行で且つ「ソウルボーイへの伝言 2019」の熊本公演チケットに申し込みをしていた人は、優先割り当てされるということで、少し考えていた。結局チケットの申し込みだけはしておいて、会社の都合は後で調整する、という結論に落ち着いた。

「ROCKIN’ CHRISTMAS」はこれまで東京中心で開催されていて、2018年から大阪、名古屋でも開催されるようになっていたが、佐野元春のファンなのに僕は行ったことがなかった。それは開催が平日なので年休を2日取らないと参戦できないのと、年末年始の実家への帰省で出費が大きいので東名阪遠征が無理だったからである。それで、熊本開催の「ROCKIN’ CHRISTMAS 2019」は見たいとは思っていた。熊本なら交通費や移動時間もそんなにかからないし、最悪当日の16時に博多駅に着けばなんとかなると分かったからである。12月に入ると仕事が忙しくなり、果たして行けるのか不安がよぎったが、何とか12月25日当日は年休を取れた。26日は出社するので、25日の夜は熊本に泊まり、26日の朝、熊本から会社に出社という手配を取った。

当日は天気が悪かった。1990年代、佐野元春のライブに行く時は雨が降っていたことが多いのを思い出した。25日はクリスマス当日だが、熊本ではホワイトクリスマスになりそうもなかった。15時18分博多発の「さくら411号」で一路熊本に向かった。

熊本に着き、市電で熊本城ホールに移動した。熊本城ホールはメインホールにシビックホール、商業施設のある複合型建築物であり、メインホールでは坂本龍一のライブが開催されるとのことで、地元のマスコミが観客にインタビューしていた。

18時にシビックホールが開場となり、入場するとクリスマスらしいオブジェがロビーに飾られ、有料だがスナックやソフトドリンク、アルコールを売っていた。いつものグッズ販売売り場もあり、多くの人がグッズを買っていた。そして、ライブ特製のチケットも配られていた。
ロビーのオブジェクト

会場内は、BGMにクリスマスソングが流れ、ムードたっぷりである。シビックホールは750人は入るようで、チケットはソールドアウトしていた。熱狂的ファンがチケット買っているのだろうなと思った。会場はわりと広い。ライブハウスのZeppクラスの大きさではないかと思う。

18時50分頃、ライブ開催にあたっての注意アナウンスがあり、いよいよライブかと思ったら、中年男性がステージに上がってきた。なんと熊本市の大西一史市長が登壇し、佐野元春のライブをクリスマスにここ熊本城ホールシビックホールで開催できることを嬉しく思う、という発言をしていたのである。どうも大西市長、佐野元春のファンだったらしく、「サウンド・ストリート」の話までして、会場を沸かせていた。熊本市民の人は身近に感じたのではないかと思う。

大西市長降段後、ライブはスタートした。一曲目は元春の曲ではないが、元春プロデュースの名曲のアレンジバージョンだった。

本編第一部

  1. オープニング
  2. Little Drummer Boy(Produce By Motoharu Sano)
  3. 世界は慈悲を待っている
  4. ポーラスタア
  5. バイ・ザ・シー
  6. 新しい雨
  7. 境界線
  8. 愛が分母
  9. みんなの願いかなう日まで
  10. 純恋(すみれ)

「世界は慈悲を待っている」の後、「今晩は、熊本」と佐野元春は話し始めた。「2011年から続いていますが、今年は、東名阪に熊本でのライブです。」と言っていた。そして、「ポーラスタア」を歌った。

「バイ・ザ・シー」は最初のドラムの音色ではなんの曲か分からず、渡辺シュンスケのピアノで「あっこの曲かな?」と思ったぐらいだった。テンポもスローで、アレンジが少し変わっているように思えた。

佐野元春のMCで「最近、若いリスナーが来ているのがよくわかります。古いリスナー、新しいリスナー、双方に届くような曲を歌います。」と言って、「新しい雨」を演奏した。その後、「THE COYOTE BANDとは14年になります。アルバム「COYOTE」、「Zooey」、「Blood Moon」、そして「MANIJU」と4作品出してきました。その中からアルバム「Blood Moon」に収録されている曲を歌います。「境界線!」。」と言って「境界線」を歌った。

「境界線」が終わると、MCで「ここのところ地方のライブハウスツアーをしていたのですが、後ろの方の人だと僕が見えないという意見があったのですが、今日は見える?」という話から始まり、「前に背の高い人がいたら、持ち上げて、と頼めばもしかすると持ち上げて僕が見えるようにしてくれるかもしれないよ。それをなんというかというと、「愛が分母」というんだ。みんなも心の底で呟いてみて、「愛が分母」。」と無理やりな話のもって行き方で、新曲「愛が分母」を演奏した。ちなみに佐野元春が「愛が分母」と呟いてみてと言う話をしたときに、観客が「愛が分母」と声に出したら、佐野元春が「違う。つぶやくんだ。」とやり直しさせ、観客が小声で「愛が分母」と言う一幕もあった。

「クリスマス近くなると、歌いたい曲があります。それをこれから披露します。」と言って演奏されたのが、「みんなの願いかなう日まで」。iTunesのデジタルダウンロードで2013年に発表した曲だが、僕がライブで聴くのは今日が初めてである。なので、じっくり聴いていた。ライブで聴くと、いい曲だなと思う。ちなみに、デジタルダウンロードのジャケットでは、佐野元春がウクレレを弾いている図柄になっていたが、実際には藤田顕がウクレレを弾いていた。

そして、「年齢の若い人に贈りたい曲があります。あっ肉体的な年齢ではなく、心の年齢ね。「純恋(すみれ)」と言って、「純恋(すみれ)」を演奏したのちに、第一部は終わった。「20分ぐらいしたらステージに戻ってきます。ロビーのスナックは美味しいと、プロモーターの人も言っていた。」と話を振り、ステージを降りた。

本編二部

  1. 白夜飛行
  2. 君が気高い孤独なら
  3. 私の太陽
  4. いつかの君
  5. 太陽
  6. レインボー・イン・マイ・ソウル
  7. クリスマス・タイム・イン・ブルー
  8. La Vita é Bella
  9. 約束の橋

20分後、第2部がMCが少なめでスタート。前半はTHE COYOTE BANDとのコラボ曲だったが、途中から変わった。その節目が「太陽」で、「太陽」の前に「10数年前に「THE SUN」と言うアルバムを作りました。そこから一曲歌います。」と言っていた。「太陽」自身が「THE SUN TOUR」以降歌われたことがないのではないかと思われるし、THE HOBO KING BANDの曲というイメージが強かったので、THE COYOTE BANDの演奏は新鮮だった。この曲だけは、観客も席に座って聴取していた。

「太陽」の後、MCで「続けてもう一曲、1990年代の曲を歌います。僕の心の中の虹についての歌です。」と言って、「レインボー・イン・マイ・ソウル」を歌った。これも意外な選曲である。

そして、佐野元春のクリスマスソングの定番曲、「クリスマス・タイム・イン・ブルー」が演奏される。「熊本の街に平和が訪れるように」というMCを添えて。この曲の途中、「友達を呼んでいる」と佐野元春がいうので、「誰だ?」と思ったら、なんと熊本のゆるキャラ、くまモンがステージ上に登場した。それで会場内が大盛り上がり。皆で「クリスマス・タイム・イン・ブルー」を歌って、クリスマスを祝った。

「今年は震災が多かったし、熊本は震災から3年。皆頑張っているというところにこの歌を送りたい。人生は美しい、という曲だ。」と言って、「La Vita é Bella」を歌った。そして、「約束の橋」に雪崩れ込み、第2部が終了した。

アンコール

  1. スターダスト・キッズ
  2. サムデイ
  3. アンジェリーナ
  4. 彼女はデリケート

アンコールの声援に答え、佐野元春とTHE COYOTE BANDはステージに戻ってきた。そして、1980年代の曲を立て続けに演奏する。「サムデイ」は久しぶりに聞いた曲だなと思ったし、改めて聴くと名曲である。「アンジェリーナ」で盛り上がりは頂点に達し、演奏後もファンの声援は止まらなかった。

「アンジェリーナ」の後、THE COYOTE BANDのメンバー紹介があった。ギターが深沼元昭と、藤田顕、ベースの高桑圭、パーカッションはスパム、ドラムが小松シゲル、キーボードが渡辺シュンスケのメンツで、皆ひとこと「メリークリスマス」と言って挨拶に替えていた。そして、「来年デビュー40周年を迎えます。何周年というと、ファンが僕にお祝いするように思われがちですが、逆で、僕がファンに喜んでもらえるよう色々企画をする年になります。」とも話ししていた。それでもファンの声援は止まず、追加でもう一曲演奏された。「彼女はデリケート」である。それで、今晩の公演は全て完了になった。約2時間半のライブだった。

12月25日のクリスマス当日という絶好の日取りでの「ROCKIN’ CHRISTMAS 2019」は、僕的には会社とのせめぎ合いでハラハラしたライブだったが、来てみれば素晴らしい夜を迎えられて、熊本に来て良かったと思えるライブだった。

P.S.

この2019年12月25日は、熊本城ホールメインホールで、坂本龍一のライブも開催されていたのだが、どうも佐野元春のライブで皆がダンスするために、メインホールに振動が伝わり、観客は落ち着いて坂本龍一のライブを楽しめなかったそうである。(熊本日日新聞の記事による) 坂本龍一のファンにはお気の毒としか言いようがない。

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