佐野元春 & THE COYOTE BAND TOUR 2020 「SAVE IT FOR A SUNNY DAY」ロームシアター京都

2020年12月19日

 新型コロナウイルスの影響でライブ中止を余儀なくされていた佐野元春が、東名阪と横浜、京都で12月にライブを開催すると聞いた時には、正直驚いた。国の指針でコンサート会場の収容人数の半分以下にする前提でライブが企画されたようだし、元々は佐野元春デビュー40周年を記念するライブを開催する予定が、新型コロナウイルスの影響で全て中止になっているから、この年末押し迫ってのライブ開催は意外だった。ファンクラブ先行でチケットを受け付けていたので申し込んだが、収容人数半分以下のキャパシティで、チケットが取れるのか不安でもあった。幸いなことに土曜開催の京都のチケットが取れたのでほっとしたのも束の間、新型コロナウイルスの蔓延が酷くなってきていて、今度は行くか行かないか迷う場面もあった。福岡から京都遠征は新型コロナウイルス感染のリスクを高めると考えたのだが、結局京都に遠征することにして、ホテルと新幹線のチケットを確保した。

 2020年の佐野元春のライブは、2月のLINE CUBE SHIBUYAの「Café Bohemia」再現ライブ以来である。THE COYTE BANDとのライブに至っては、2019年の「Rockin' Christmas 2019」の熊本公演以来になる。新型コロナウイルス蔓延を防ぐため、チケットの半券の裏側に氏名と電話番号またはメールアドレスを記入するように、とか、マスク着用義務とか、声援やプレゼントの送り届けは禁止とか、制約は色々ある。それでも40周年記念ライブではなく、この状況下で伝えられるメッセージを包含したセットリストには興味を持っていた。

 当日はゆとりをもって福岡から京都に移動した。福岡の自宅から京都のロームシアター京都まで行くのに様々な乗り物を乗り継がねばならず、途中で何かトラブルがあればライブに間に合わないという判断からである。流石に土曜の昼の福岡の地下鉄と、新幹線は空いていた。博多で昼食を取ったが、入ったうどん屋もまだ満席になっていなかった。

 定刻15:59に京都駅に到着。そこからバスに乗って約30分。会場であるロームシアター京都に到着した。グッズ売り場を見ていたら、渡辺シュンスケのソロプロジェクト、Schroeder-HeadzのCD付き楽譜が売っていたので、思わず買ってしまった。開場時間になりホールに入る準備をしたが、まず体温測定をされ、チケットの半券に氏名と連絡先(電話番号かメールアドレス)を書かされ、さらにチケットの半券を自分で切り離すという今までにない作業をおこなっていた。

 会場内は、一席ずつ間隔が空き、新型コロナウイルスの飛沫感染を防ぐようになっていた。僕の席は思ったよりは前の方だった。係の人は仕切りに「場内写真撮影禁止です」と言い続けた。当然写真は撮っていない。席が一つずつ空いているので、もっと空いた感じがするかなと思っていたが、意外と人が多いように感じた。

 2回の場内アナウンスがあった後、18:05にライブはスタートした。最初の曲は、イントロですぐにわかったが、佐野元春の出立ちを見て絶句した。

第一部

 ライブ最初の曲は「禅ビート」だったが、佐野元春の出立ちにびっくりした。黒いマスクをして、一曲丸ごと歌っているのである。確かに新型コロナウイルス感染防止のためのアピールのためとはいえ、マスクをして歌うとは思いもしなかった。

 二曲目は「ポーラスタア」。「禅ビート」を歌い終わった後、佐野元春はマスクをとり、通常の状態で歌っていた。「ポーラスタア」の後、MCが入り、「少しでも活気が戻ってほしい」という話と共に次の曲に行く。

 三曲目は、アルバム「COYOTE」から「荒地の何処かで」。この曲を演奏するのは珍しいのではないかと思う。2009年以降聞いた記憶がない。続けての曲も珍しい「ヒナギク月に照らされて」。この曲も2009年以降聞いた記憶にない。さらに珍しい「Us」も演奏される。 ここまで、最近では滅多に演奏されないアルバム「COYOTE」の曲からプレイされた。

 アルバム「BLOOD MOON」から「私の太陽」が演奏される。個人的には好きな曲なので、乗りまくる。ドラムの2バスが心地よい。「私の太陽」とセットで演奏されることの多い「いつかの君」だが、今回も「私の太陽」に引き続き演奏された。アルバム「BLOOD MOON」からの曲は続き、「紅い月」に「東京スカイライン」と、結構シリアスな歌詞を持つ選曲がなされていた。

 第一部最後の曲は、「La Vita é Bella」だった。ここまでの選曲で、元々新型コロナウイルスの蔓延を想定していなかった時の曲が、妙に現状に当てはまる歌詞に聞こえるのが、佐野元春のソングライティングの凄さだと思う。

 ライブが始まってから約50分で第一部は終了し、20分のインターミッションに入った。これは会場内の換気をよくするための仕掛けであり、特に演出上の二部制ではないようだった。観客もグッズを買いに行ったり、トイレに行ったりしていた。

第二部

 第二部の最初の曲は、THE COYOTE BAND結成のきっかけとなった「星の下 路の上」からスタート。今回のライブは、意外とTHE COYOTE BAND初期の曲が多いのが特徴である。THE COYOTE BAND結成15周年を迎えたというのもあるだろう。

 二曲目は、意外な「バイ・ザ・シー」。Dr.kyOnがTHE COYOTE BANDと共に参加しているので、キーボードの音色が豊かになっているというのもあるだろう。アウトロでDr.kyOnのソロが入るのも印象的である。個人的には好きな曲である。これもメッセージ性が高い曲だと思う。曲が終わったら、ギターの深沼元昭、キーボードの渡辺シュンスケ、Dr.kyOnの紹介をしていた。

 三曲目から、新曲ラッシュが始まる。最初に演奏されたのは「エンタテイメント!」。この曲は2019年にはレコーディングが終わっていたのだが、リリースするとその歌詞が妙に現実にシンクロしていると話題になった曲である。

 MCで「これもこれもダメで大変な年でした。その中で新曲を作りました。」という話をしたのちに、佐野元春とTHE COYOTE BANDが自宅で録音し、佐野元春が最終ミックスした「この道」が演奏された。この曲だけはYouTubeでのパブリックドメインとしての公開されている。

 MCで「THE COYOTE BANDとステージに立つのは1年ぶりです。新型コロナウイルスの状況、先は見えないですけれど、今は力を蓄えて明日に備えてください。」と話しした後、新曲「合言葉 - Save It for a Sunny Day -」を初披露した。この曲を聞くと、なんか心が救われる感じがして、最近のお気に入りである。

 MCで「僕はデビュー40周年を迎えました。そして、THE COYOTE BAND結成15周年を迎えました。皆さんに感謝したいです。次の曲はみんなと一緒に心の中で歌いたいです。」と話をして、「愛が分母」を演奏した。オリジナルではスカパラホーンズが担当したパートは、今回はギターでカバーしていた。

 新曲を立て続けに歌い終わった後、いよいよライブは終局を迎え始める。最初は「純恋」だった。続けて「誰かの神」というまた辛辣なメッセージを載せた曲が演奏される。歌の中の「聖者」って誰だろうと考えてしまう。「空港待合室」は、最初の歌い出しがスポークンワーズ風だった。「優しい闇」とTHE COYOTE BANDの曲の中で人気の曲を選曲していた。

 MCでバンドのメンバーを紹介する。ギターが深沼元昭と、藤田顕、キーボードが渡辺シュンスケ、ベースの高桑圭、パーカッションはスパム、ドラムが小松シゲル、そして今回のみのメンバーでキーボードにDr.kyOnが入っていた。「今回のツアー、久しぶりの京都でとても嬉しいです。」という話をして、第二部も終わった。

アンコール

 アンコール一曲目は、季節柄、この時期しか歌えない「みんなの願いかなう日まで」だった。去年、「Rockin' Christmas 2019」熊本公演で初めてライブで聴いた「みんなの願いかなう日まで」だったが、今年も聞くことができ、嬉しくなった。曲の前にMCで「色々協力してくれてありがとう。もうすぐクリスマスがやって来ますが、厳しい状況はまだまだ続きますが、皆さんのささやかな願いが叶いますように。」と話ししていた。

 アンコール二曲目からは元春クラシックの楽曲が選ばれる。テンションの上がる「インディビジュアリスト」が演奏され、ご機嫌な気分になる。場内も盛り上がっていた。MCで「この会場でライブするのは22年ぶりです。その頃は、"THE BARN"のツアーでした。会場名も京都会館でした。」というような話をしたのちに、ラストの曲を演奏する。そのラストの曲は意外にも「ニューエイジ」だった。こちらは、「VISITORS」収録のアレンジに近い方のバージョンで演奏された。「THE HEARTLAND VERSION」よりオリジナルバージョンのアレンジの方が好きなので、今回のアレンジはごきげんな演奏だった。

 MCで「京都で演奏できたのは嬉しいです。集まってきてくれて、ありがとう。また来ます。」という話をして、ライブは終焉を迎えた。

 ライブは20:20には終了した。ファンは物足りなさそうな感じを持っていたが、新型コロナウイルス蔓延抑止の観点から、やはり2時間程度のライブが限度だったと思う。ライブ終了後の会場退場は、密になるのを防ぐため、座席の位置によって退出時間が少しずつ異なっていた。しばらく席で待ち、退出して良いというアナウンスを聞いてから会場を後にした。ライブそのものは、THE COYOTE BANDが結成されてからの曲が大半だったが、メッセージ性の強い楽曲が多く、佐野元春の意思が感じられるライブになっていた。それはデビュー40周年とは別の観点からのセットリストであったと思う。ただ、観客が声援をかけることは禁止され、ただ拍手のみ、マスク着用義務という不思議なライブでも有ったと思う。

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