ムーラン(2020)(HD/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビュー

ムーラン(2020)(HD/Disney+)

No Image 原題 MULAN(2020)
レーベル BUENA VISTA HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2020年
上演時間 115分
監督 ニキ・カーロ
出演 リウ・イーフェイ、コン・リー、ドニー・イェン
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 2ch 英語、日本語
字幕 日本語、英語

あらすじ

 かつて中国帝国を攻めていたカーンは、皇帝に退治されていた。そのカーンの息子が復讐を誓って中国帝国に攻め入り、北側の拠点を次々に撃破する。カーンの目的が帝国の拠点であることから、一般市民から兵を募ることにする。ある村でファ家のムーランはおてんば娘に育っていた。お見合いの準備でも粗相をしでかし、お見合いが破談になる。その村にも男子の徴兵がやってくる。ファ家には男子はムーランの父しかおらず、ムーランの父は足を負傷していて戦える状態ではなかった。それを見たムーランは父の鎧や刀を持ち、男子と偽って帝国の徴兵に応じる。徴兵された若い男子たちに混ざって、ムーランも戦いのトレーニングをするが、男子と偽って訓練するのは至難の技だった。その間にもカーンは配下の魔女と一緒に帝国の拠点を攻める。そして、ムーランたちに出兵の指示が出て、カーンの部隊と対決する。

レビュー

 1998年のディズニーアニメ「ムーラン」の実写映画化された作品が、この「ムーラン(2020)」です。当初は2020年の春に劇場公開の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で劇場が閉鎖され、公開が幾たびとなく延期された挙句に、ディズニーの定額配信サービスDisney+をローンチしている国では、Disney+で定額料金+特別料金を徴取して配信するという形式で、2020年9月4日から公開されることになった作品であります。映画批評家の評価は高いのですが、Disney+での特別料金の高さもあってか、観客からの評価はかなり低いものと言わざるを得ません。

 大まかなストーリーは1998年のアニメ版と違いはないのですが、アニメ版で登場したドラゴンの精やコオロギといったギャグ担当のキャラは出てこず、また、ミュージカル要素も省かれたため、かなりシリアスな展開の話になっています。また、アニメ版に出てこなかった魔女がムーランの敵となるカーンの配下として出てきて、ムーランに接近する様が新たな要素であるといえます。

 しかしながら、1998年のアニメ版でも描かれていた、女性が男性に負けず劣らず活躍するという男性優位の世界をひっくり返した展開はこの作品でも健在で、ムーランが男性に扮して活躍する場面や、物語中盤から女性として活躍する場面は、女性でも男性に負けず劣らず活躍できる、という社会的メッセージを映画の中に内包していると言えるでしょう。

 ムーランに接近し、自分と同じ立ち位置にあると言って彼女を取り込もうとする魔女は、ムーランの写し鏡のキャラクターになっているといえます。魔女もカーンの指示に従っていますが、最終的にはムーランを守る立ち位置に変わり、ムーランと魔女の存在が同一のものであるといってもいいかと思います。その魔女自体が帝国の兵士たちに襲い掛かる姿は、かなり印象的と言えるかと思います。

 帝国を攻撃するカーンは、自分の父が帝国の皇帝に退治された恨みを抱えており、父の恨みを晴らすべく進撃していきます。そのためかなり軍としては強力で、帝国軍を次々と撃破していきます。そのカーンの軍に対してムーランたちが相手をするのですが、カーンの軍隊は強大で、帝国軍は苦戦をしていきます。それをムーランがどう解決するかが、物語の肝であるといえます。

 ムーランとともに戦う男子兵士たちのキャラが、一種のギャグ担当キャラになっているのは面白いところです。彼らが風呂に入りに行くのに、ムーランは女性なので風呂に入れず、「臭い匂いがする」とギャグを飛ばされる場面はクスッとしてしまいます。その彼らも次第にムーランの能力を認めるようになり、ムーランが女性であることを知っても、彼女とともに戦おうとします。その場面はいい雰囲気であるといえます。

 映像はDisney+の仕様の制限もあり、HD画質止まりですが、解像度はあまり不満を感じません。色乗りがはっきりくっくりしており、カラフルな色彩を放っているので、中国の雰囲気がよく出ているといえます。実際の撮影場所は中国というわけでもないのですが。音響も2chステレオと仕様の制限があり、空間サラウンドとしては制限がかかっています。音の移動は左右に限られますが、音楽やセリフのエコーはよく響くようになっています。個人的にはディスク化された場合には、再見したいと思わせる内容ではあります。

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