CITIZEN KANE(4K UHD Blu-ray/CRITERION)/市民ケーン/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

CITIZEN KANE(4K UHD Blu-ray/CRITERION)

CITIZEN KANE 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 市民ケーン
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1941年
上演時間 119分
監督 オーソン・ウェルズ
出演 オーソン・ウェルズ、ジョセフ・コットン、ドロシー・カミンゴア
画面 1.37:1/DOLBY VISION
音声 PCM 1.0ch 英語
字幕 英語

あらすじ

 新聞王、チャールズ・ケーンが死去した。チャールズは死ぬ寸前、最後の言葉「薔薇の蕾」という一言を発してこの世を去った。チャールズ・ケーンの死去は人々の反響を巻き起こし、ニュース・フィルム製作者の間でも、その話題で持ちきりだった。ニュース・フィルムの製作者の一人、トンプソンは、チャールズが最後に発した「薔薇の蕾」という言葉の意味を気にしていて、チャールズの元妻や仕事仲間、友達等にインタビューをしてチャールズの「薔薇の蕾」という言葉の意味を探ろうとしていた。それで明らかになったのは、新聞王として巨額の財を成しながら、次第に孤独に陥っていくチャールズの人生であり、彼の元を人々が離れていく姿を明白にしていた。関係者のインタビューでも「薔薇の蕾」の意味はわからなかったが、それでも最後には明らかになる。その意味が成すものはなんだったのか、チャールズの人生を重ね合わせて、言葉の意味を明らかにしていく。

レビュー

 映画史に残る不朽の名作であり、オーソン・ウェルズの名を一躍有名にした作品が、この「市民ケーン」であります。アメリカの有名ビデオレーベル、クライテリオン・コレクションから4K UHD Blu-ray市場に参入した第1作目がこの「市民ケーン」であります。ちなみにクライテリオンがレーザーディスク市場に参入したときの第1作目も「市民ケーン」であり、クライテリオンの意義込みを感じさせるものになっています。批評家、観客評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価はなんと99%、観客評価も90%と極めて高い評価を得ています。

 物語は、新聞王として君臨していたチャールズ・ケーンが、死亡する間際に発した言葉「薔薇の蕾」を巡って、ニュース・フィルム製作者であるトンプソンが、チャールズ・ケーンの生前の行いを元妻や友人、仕事仲間にインタビューしていくことで、チャールズの人生が浮かび上がっていくという構成になっています。1941年製作の映画とは思えないほど、素晴らしい出来の映画であり、チャールズの人生観が浮かび上がらせる構成には興奮を感じ得ないものがあります。

 新聞王としてのチャールズは、その手腕から次第に新聞業界でのし上がっていき、財を成していきますが、その手腕は味方を作ることなく仕事仲間や友人、元妻を敵に回し、次第に孤立していく様を描いていきます。それでも彼は自分の行動を変えることができず、孤立した状態のまま、この世を去ることになります。特に最初の妻の親戚が大統領であるにもかかわらず、その大統領を攻撃する記事を書き続けるところなどは、自分の行動を変更できない一番の現れであると言えます。

 チャールズが死ぬ前に残した言葉、「薔薇の蕾」は、チャールズの子供時代に関係のある言葉であることが、ラストで明らかにされますが、その言葉は、幼い頃に母から離れ、新聞社の社主である男に育てられ、心に傷を負ったままのチャールズを見事に表した言葉であると同時に、映画としてのマクガフィンにもなっていて、観客はこの「薔薇の蕾」の意味はなんなのだろう?と最後まで期待しながら映画を鑑賞していくことになります。それが明らかになったとき、観客は腑に落ちた感じがします。

 4K/DOLBY VISIONで収録された「市民ケーン」は、モノクロ画面でありながら、明確なコントラストが映像の核を成していて、映像の解像度の魅力を感じさせるものになっています。元々はフィルム収録ですが、今回の4K UHD Blu-ray制作に合わせ、マスターデータを4Kで保存する作業を行なっているため、解像度はフィルムの粒子が終始見えるほど細かい映像になっています。音響はPCM 1.0chのモノラルサウンドですが、意外とエコーが響く感触を得ます。音質は1941年の映画とは思えないほどクリアでワイドレンジの音質になっていて、魅力を感じるところがあります。

 なお、このクライテリオン版の「市民ケーン」のBlu-ray版は、コントラストの設定ミスにより、物語が始まってから30分経過後から最後まで、コントラストが狂ったままになっているため、交換プログラムが走っています。4K UHD Blu-rayには不具合はないので、4K UHD Blu-rayで「市民ケーン」を鑑賞するには問題はないですが、Blu-rayで見ようとする人には問題があることは認識したほうがいいです。日本からアメリカのクライテリオンに交換プログラムの適用をできるかも不明です。

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