DEATH RACE/デス・レース/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

DEATH RACE

DEATH RACE DVDジャケット 邦題 デス・レース
レーベル UNIVERSAL STUDIOS HOME VIDEO
制作年度 2008年
上演時間 111分(指定無し版)
監督 ポール・W.S.アンダーソン
出演 ジェイソン・ステイサム、タイリース・ギブソン
イアン・マクシェーン、ジョーン・アレン
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語、スペイン語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 2012年のアメリカは経済が破たんし、失業者が増加、犯罪が増えて刑務所は民間に業務委託する羽目になっていた。その中で刑務所は犯罪者同士を戦わせ、インターネットでそれを中継する業務を行い、人気を博していた。しかし視聴者はすぐに飽き、自動車同士の過激なレース「デス・レース」が誕生した。そんな中製鉄所で働くジェンソンは、愛する妻を何者かに殺され、その罪を背負わされてしまい、刑務所に入所する。所長であるヘネシーは、ジェンセンにデス・レースで5回勝てば自由の身にしてやると持ちかける。ジェンセンは自由の身を得るために「デス・レース」に参加することになるが、次第にヘネシーの企みに気付き、反抗するようになっていく。

レビュー

 1975年のロジャー・コーマン制作のB級カルト映画「デス・レース2000年」をリメイクしたのが今作「デス・レース」です。オリジナルの「デス・レース2000年」は、まだ売れる前のシルヴェスター・スタローンが出演したりして、一部で評価を得ていますが、リメイク版では、2000年後半のアクションスターとして、数々のB級映画に出演するジェイソン・ステイサムを主役に据え置き、これまたB級映画を連発するポール・W.S.アンダーソンを監督にして制作されています。

 元々がB級映画という事もあってか、このリメイク版は設定を刑務所に置き換えてのストーリー展開になっていますが、やっぱりB級映画の域を出なかったというところがこの作品の肝であると思います。見ていてふと思ったのが、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の失敗作「バトルランナー」をほうふつとさせるストーリーだなという点です。

 「バトルランナー」はもともとホラーの帝王スティーヴン・キングの原作「ランニング・マン」を映画化したものですが、原作とはストーリーがかけ離れていて、シュワルツェネッガー演じる主人公が無実の罪で刑務所に入り、死のゲームを繰り広げるというものでした。この点が今作「デス・レース」と似ていると思います。

 また、「バトルランナー」ではテレビ中継で、「デス・レース」ではインターネットでという違いはあるものの、残虐な演出が視聴者に受けているという点も設定が似ています。今作「デス・レース」では、自動車にマシンガンやナパーム弾、肉厚の装甲という装備でカーレースが繰り広げられますが、「バトルランナー」では、主人公が肉体で5人の戦士と戦うという点は多少違いがあるかなというところです。

 最後になると演出者であるヘネシー所長の意図に反して闘争を繰り広げるという点も「バトルランナー」と似ています。という事は、知ってか知らずか知りませんが、監督、ストーリー、脚本を担当したポール・W.S.アンダーソンは、2008年版の「バトルランナー」を作っていたのではないかと思います。

主人公であるジェイソン・ステイサムは、さすがに主役が自動車という事もあってか、派手なアクションシーケンスはないものの、要所要所で自身のアクションシーンを見せつけています。彼の登場する映画はどれもそれなりの固定客がいるようで、最初の週末の興行収入はいいという結果が出ていますが、今作もそれにもれずにそこそこのヒットをしています。

 物語のポイントはやはりカーチェイスシーンですが、意外と面白くないというのが実感です。カメラワークですとか、編集によってそう思えるのでしょうが、見ていて迫力は感じるものの、どの車がどの登場人物によって操縦されているのかが分かりづらく、主人公の車でさえ途中どこにいるのかが判別しにくくなっている点が、そう感じるゆえんではないでしょうか。

 結果としては、あまり期待したほどには面白い作品ではないというのが感想ではありますが、それはやはり監督の力量のなさではないかと思います。まあよく映画雑誌などで出来の悪いポール・アンダーソン監督といわれていますが、確かにそれを実感する出来ではあります。(出来のいい方のポール・アンダーソン監督は「ブギー・ナイツ」だとか「マグノリア」を取った監督さんです。

 画質は、少し敗退的な感じを出したかったのか、モノトーンが優勢的な画質をしています。銀残しというわけでもないと思うのですが、それに近い色調をしています。埃っぽい土地での撮影という事でか、それを強く感じる画質ではあります。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで鑑賞いたしましたが、要所要所でサラウンドが活躍いたします。とはいうものの、作品の出来に反比例して音響だけはそれなりに凝っていて、銃撃シーンなどを意識的にサラウンドに回すなどの効果を発揮しています。

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