『死亡遊戯』Blu-ray(輸入盤)レビュー|未完のブルース・リー作品を継ぎ合わせた“矛盾だらけの問題作”だが、残された本物のフッテージは圧倒的【SDR / Dolby Digital & dts-HD MA 5.1】

『死亡遊戯』Blu-ray(輸入盤)レビュー|未完のブルース・リー作品を継ぎ合わせた“矛盾だらけの問題作”だが、残された本物のフッテージは圧倒的【SDR / Dolby Digital & dts-HD MA 5.1】

ブルース・リーの急逝によって未完に終わった企画『死亡遊戯』。1978年版映画は、リーが生前に残した約12分の貴重なアクション映像を核に、代役俳優・過去作フッテージ・強引な脚本で一本の映画として再構成した「問題作」である。

本Blu-rayは “THE BRUCE LEE PREMIERE COLLECTION” に収録された米SHOUT! FACTORY盤。本編の完成度自体には賛否あるものの、リー本人が残した塔でのアクション映像(オリジナル構成)の収録、特典の充実度は価値が高い。

『死亡遊戯』Blu-ray 基本仕様

Game of Death Blu-ray ジャケット 邦題 死亡遊戯
原題 Game of Death
レーベル SHOUT! FACTORY(THE BRUCE LEE PREMIERE COLLECTION)
制作年度 1978年(劇場公開版)
上映時間 100分(劇場公開版)
監督 ロバート・クロウズ
出演 ブルース・リー、ギグ・ヤング、ディーン・ジャガー
画面 2.35:1 / SDR
音声 Dolby Digital 2.0ch 英語/dts-HD MA 5.1ch 英語
字幕 英語
リージョン Blu-ray=リージョンA
パッケージ Blu-ray 1枚(本編 + 特典)

あらすじ(短縮版)

アクションスターのビリー・ローは、芸能界を支配しようとするシンジゲートから加入を強要される。拒否した彼は暗殺されかけ、死を偽装。ビリーは素性を隠して復讐を開始し、組織の頂点へと迫っていく。

あらすじ(詳細)

芸能シンジゲートによる圧力を拒んだ人気スター、ビリー・ロー。恋人アンまでも脅されるなか、撮影中に狙撃され「死亡」。しかしこれはビリー自身が計画した偽装工作であり、彼は名前も姿も隠し、組織を潰すための復讐を開始する。

物語は代役俳優による新撮パートを中心に進むが、クライマックスではブルース・リーが生前撮影していた“塔での壮絶なアクション”が挿入される。カリーム・アブドゥル=ジャバー戦、ダン・イノサント戦、チー・ハンツァイ戦――このパートだけは圧倒的な輝きを放つ。

見どころとテーマ

  • ブルース・リー生前のアクションフッテージ(約12分)は唯一無二
    武術哲学と実践が融合した“リーの遺言”とも言える完成度。
  • 代役・過去作映像の強引な再構成
    サングラス合成、顔隠し、明らかな別人ショットなど粗は多い。
  • 映画史上の特異点――「未完を無理やり完成させた」作品
    完成度ではなく製作経緯そのものが歴史的価値。
  • 2000年公開『BRUCE LEE in G.O.D』を特典収録
    リーのオリジナル意図に近い構成が判明する資料性の高さ。
  • 日本公開版(焼き付け字幕)の完全収録
    高画質ではないが、日本での公開形態を体験できる貴重素材。

映像レビュー【SDR】

本Blu-rayの映像は、本作そのものが「寄せ集め」である構造が如実に反映されている。

  • 新撮パート:比較的安定した解像度で、色乗りもよい。
  • 過去作流用パート:粒状感が強く、画質低下が顕著。マスター状態の悪さが露呈。
  • リー本人映像(塔):質感はやや荒いが、動きのキレと情報量は圧倒的。Blu-ray化の恩恵は大きい。

全体として画質ムラは激しいが、作品の性質を考えれば妥当。特にリー本人パートは“資料価値”がきわめて高い。

映像スコア:72点 —— 素材差によるムラは大きいが、リー本人パートの価値は別格。

音響レビュー【Dolby Digital 2.0 / dts-HD MA 5.1】

オリジナル2.0chを基にした5.1chアップミックス構成。

  • 5.1chは控えめな広がり。アクションシーンの効果音はやや演出強め。
  • 代役パートの音は古さを感じる。質感の差で一体感は限定的。
  • リー本人アクションの打撃音の存在感は強い。

音響スコア:75点 —— 古さはあるが、5.1化の恩恵も確かに感じられる。

総評

映画としての完成度よりも、“ブルース・リーの残した映像をどう捉えるか”に価値がある作品。代役の違和感、素材のバラバラ感は避けられないが、塔でのアクションシーンは今なお輝きを放つ。

特典に収録された『BRUCE LEE in G.O.D』は、リーの本来の構想を知る上で必見。本Blu-rayは“未完成の伝説”を資料的に楽しむための決定版と言える。

総合スコア:77点 —— 作品評価よりも資料性が突出した1枚。リー本人映像の価値がすべて。

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