INCEPTION(Blu-ray)/インセプション/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

INCEPTION(Blu-ray)

INCEPTION Blu-rayジャケット 邦題 インセプション
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 2010年
上演時間 148分
監督 クリストファー・ノーラン
出演 レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 dts-HD Master Audio 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語、スペイン語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 コブは凄腕の記憶を他人から盗み出す達人だった。しかし今回のミッションである斉藤からの記憶の抜き出しには失敗する。それはコブの妻であるマルが仕事を邪魔したからである。夢の中から生還したコブは、今度は斉藤から逆提案を受ける。それは記憶を盗み出すのではなく、記憶を不自然でないように植えつけることはできないか、というものであった。コボル・エンジニアリングの若きフィッシャーが父の死によって社長に就任するのだが、その中の記憶を改変したいというのである。実の子供に会えるというチャンスをもらうことによってコブは仕事を請け負うが、それには様々なプロフェッショナルを必要としていた。夢の中を3階層にまで潜り込んで記憶を植えつけるという複雑な作業を行うコブたちであったが、フィッシャーの心の中は防衛本能で強固だった。

レビュー

 「メメント」、「ダークナイト」などヒット作を連発するクリストファー・ノーラン監督が夢をモチーフにした複雑な内容のストーリーを映画化したのが本作「インセプション」です。内容が内容だけに観客動員が心配されていましたが、2010年の夏に公開され、大ヒットを記録しています。

 人間は夢をよく見ますが、その夢のなかに入り込んで、誰にも知られていないはずの情報を盗み出すというアイデアには斬新なものがあります。物語冒頭から、夢の中のまた夢の中という二重構造になっていて、複雑になっていますが、意外とそれを混乱しないように展開させていく手腕には脱帽されられます。

 冒頭の映像は実はラストにつながっているのですが、現実と夢の中の違いがよく表れていて、後半になると生きてくるコマの回る画が印象に植えつけられます。

 最初にコブが記憶を盗みだそうとしているのが斉藤という日本人という設定のため、日本を代表する俳優になってしまった渡辺謙が「バットマン・ビギンズ」の悪役に引き続きクリストファー・ノーラン監督作に出演しているのも魅力的です。そのためもあってかシーン的には僅かではありますが日本での映像も含まれていて、国際色豊かな映画に仕上がっていると思います。もちろん日本だけでなく、その他の国も色々出てくるので、世界を飛び回っているような感覚を味わうことが出来るのです。

 物語自体が大半は夢の中という展開のため、かなり空想的な映像が展開されますが、それも今の映像テクノロジーと超低速のスローモーションを駆使して作られていて、観ていて飽きが来ないようになっています。特に若き学生アリアドネが設計した空間は超現実的であり、魅力に溢れています。

 夢のなかで死んでしまうと、現実に戻ったときに心がなくなってしまうというアイデアもいいと思います。これで斉藤が負傷したときにその危機を知らせる意味合いになっていて、フィッシャーの記憶を植えつけるというサスペンスの他に2重、3重のサスペンスをもたらすことになります。これにかぎらず、この映画結構多重展開をしているので、サスペンス色が複雑に絡み合っていて、面白い形式をしていると思います。

 コブは心の奥底に現実で失ってしまった妻マルのことを押さえ込んでいるために、記憶を盗み出すときに夢を見ていると、時々彼女が表れてきます。そしてそれが仕事のじゃまになってしまうのですが、そうなってしまった原因はコブ自身にあるわけで、彼の罪の意識がそうさせているのではないかと思います。この辺は最初明らかにされず、ラスト近くなって判明するのですが、コブの現実を見据えたいという欲求と妻の死を認められない思考とがぶつかって彼を苦しめています。そのへんをどう折り合いをつけていくかが実は物語の本質をなしているのではないかと思います。コマの意味もそのへんと関係あり、コマ自体が現実の象徴めいた感じはあります。

 コブに最初から付き合っているのはアーサーでありますが、途中からはコブの心の中を知っていくのは彼ではなく、アリアドネという若き女性です。彼女の立ち位置が、コブの現実との折り合いの付け方に一つの道筋を付けているような気がします。特にフィッシャーの夢の中の第3階層に入るときのマルとコブの運命を知った彼女がさらにその下のコブの夢のなかに一緒に入っていく様は、彼女のコブへの信頼の現れのような気がします。信頼と言うか少し気があると言うか、そんな感じです。

 映像はワーナーのディスクとしては標準的な映像だと思います。ノイズは感じられないですが、少し画面が暗い印象を受けます。色乗りは十分で、夢の中だからとか、現実だからだとか色合いで区別するような手法は取っていません。解像度的にも特別高いとも感じませんが、不満も感じない適切な状態だと思います。音響はdts 5.1chで視聴致しましたが、かなりのワイドレンジに感じます。重低音も魅力的に鳴り、空間サラウンド感も十分です。ただ、銃撃シーン等はもう少し迫力あってもいいかなと思わせるところはあります。

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