MIYAZAKI’S SPIRITED AWAY/千と千尋の神隠し/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

MIYAZAKI’S SPIRITED AWAY

SPIRITED AWAY DVDジャケット 邦題 千と千尋の神隠し
レーベル WALT DISNEY HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2001年
上演時間 125分
監督 宮崎駿
声の出演 英語版:デイヴィー・チェイス / 日本語版:柊留美
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch-EX 英語、日本語
DOLBY DIGITAL 2.0ch フランス語
字幕 英語

あらすじ

 新しい町に引っ越すことになった荻野千尋とその両親。彼らは新しい家に向かう途中で道に迷い、朽ち果てたテーマパークのようなところに到着してしまう。そこはテーマパークなどではなく、萬の神々が浮き世の垢を落とす湯屋を中心にした一大施設だった。そこで萬の神々が食べる料理を食べてしまった千尋の両親は豚にされてしまう。千尋はハクと名乗る少年の助けを得て、湯屋で働きながら両親を助け出そうとするのだが…。

レビュー

2001 年の夏に大ヒットした「千と千尋の神隠し」を輸入盤 DVD で鑑賞いたしました。いつもならば英語音声と英語字幕という鑑賞方法で作品を見ているのですが、元々が日本のアニメであるということと、日本語音声がちゃんと収録されていることもあったのでオリジナルの日本語のサウンドトラックで観ることにしました。

 しかし、この作品のレビューをどうしようかな、と観る前は思っていました。大ヒットした作品ですのであちらこちらでレビューをされている人も多いですし、当然そういった情報はシャットアウトしようとしても入ってきてしまいます。また、とあるサブカルチャー系の映画評論家などはこの作品のことを「ソープランドで金を稼ぐ少女の物語だ。」などというすごいレビューをしていたことも目にしておりましたので、自分自身のレビューが書けなくなる危惧があったのは事実です。

 で実際に観終わっての感想となりれますと、このサブカルチャー系の評論家の意見もうなずけなくはないのですが、どちらかというとその面よりも「だらしのない大人たち」と「その大人たちに育てられた子供が次第にちゃんとした大人になっていく」物語なのではないかな、という気がします。

 「だらしのない大人たち」とは、まず千尋の両親がそうだと思います。引越しの途中で余計な寄り道をした挙句、誰もいない屋台で勝手に料理を食べ始めるところなど、僕の目から見て大人の振る舞いではないな、という気がします。だからその後作品中では豚というある種象徴的な動物に変えられてしまったのではないかな、と思います。

 その後も作品に出てくる萬の神々たちも「だらしのない大人たち」の象徴のような気がします。全体的に出てくるキャラクターは欲深い人たちばかりですし、観ていて共感できるキャラクターではないところはそういった面を表しているのでしょう。

 また途中からぬぼーっと出てくるカオナシというお化け( ? なのですかね、これ。)を観ていると、自分の居場所を失った大人たちの象徴のようにも思えます。観ていて妙に共感できるキャラクターでラスト近く、自分の居場所を見つけられたのにはちょっとほっとするものを感じました。

 「だらしのない大人に育てられた子供が次第に大人になっていく」というのはもちろん千尋のことです。作品を見ていると分かるかと思いますが、最初はろくに挨拶すらできない千尋が最後のほうではとても礼儀正しい挨拶をしているところなどはそのいい例ではないかと思います。もっとも実際問題として異次元の世界に迷い込んでしまった状態で礼儀正しくできる人などいるとも思えませんから、最初のほうで千尋が挨拶すらろくに出来ないのも当たり前という気もしますが、この物語の意図からするとそういう考え方ではないほうが自然に感じます。

 また、千尋が最初は異次元の世界で戸惑い、恐れを感じているのに対し、最後になると自分の力で困難な状況を切り開いていこうとするところなどは、日本映画なのにもかかわらず、ハリウッドの王道を行く展開なのではないかな、と思います。この部分がアメリカでも評価をされ、アカデミー賞を受賞できた理由ではないかなと思います。確かその当時はディズニー社はもう一本のアニメをアカデミー賞にノミネートさせていたわけですから通常から言ったらこの作品が受賞する可能性は高くなかったはずです。

 画質については、大変話題( ? 問題といったほうがいいかもしれない)になった日本盤と違い、正常な色調で物語を楽しませてくれます。日本盤自体は持っておりませんが、以前 TV で放送されたときにその異常とも思える赤に傾いた色調を確認しておりますので、それからするとこちらの画質のほうが正しいように思えます。(蛇足ですが、日本盤の色調問題が発生したときにメーカー側は「異常を認めない」といってましたが、メーカーからすれば当然の発言でしょう。そんなもの「製造ミスでした。」などと認めてしまうととんでもない損害をメーカーがこうむってしまうわけですから、製造ミスを認めるわけはないな、と思っておりました。長年輸入レーザーディスクや DVD などを購入しておりますと、この辺のことは感覚的に分かってきます。ほとんどの場合輸入盤ではリコールということがありえません。メーカーは最大限の利益を得ようとしますので、よほどのことがないと自分たちのミスは認めようとしないわけです。僕自身も日本の感覚で言ったら不良品といえるディスクをいろいろ持っていますが、それらがリコールされたことはほとんどないです。) サウンドは日本のアニメにしては自然なサラウンドしているかなという気がしますが、それでも少々誇張気味のサラウンドかな、という気がします。AV アンプのサラウンドモードによってはかなりの違和感を感じるシーンもありますね。特に台詞をセンターに配置していない場合にそれが顕著になりがちです。

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