UNFORGIVEN(1992)(4K UHD Blu-ray UK)/許されざる者/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

UNFORGIVEN(1992)(4K UHD Blu-ray UK)

UNFORGIVEN(1992) 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 許されざる者
レーベル WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1992年
上演時間 132分
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン
画面 2.40:1/HDR10
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 2.0ch 日本語
字幕 日本語、英語

あらすじ

 1880年のワイオミングの街で、牧童たちが売春婦の顔をナイフで切り付ける事件が起こる。売春婦の宿の主人は、保安官であるリトル・ビルに裁定を求めるが、リトル・ビルは牧童たちの持つ馬を主人に引き渡すことで、事件を終わらせようとする。その事件の終結に納得のいかない売春婦のリーダーであるアリスは、仲間から貯金を集めて、牧童たちの首に賞金をかける。その話を聞きつけたスコフィールド・キッドは、かつて極悪党で女子供にまで手を出していたウィリアム・マニーに声をかけ、賞金稼ぎをしようとする。ウィルは若い女性と結婚したことで悪事から足を洗い、妻を失った後も子供たちと養豚で生計を立てていたが、お金が欲しかったために、かつての仲間であるネッド・ローガンにも声をかけ、賞金稼ぎに走ることになる。ワイオミングの街には他の賞金稼ぎもやってくるが、保安官であるリトル・ビルによって追放されていた。街に着いたウィルたちだったが、馬にも碌に乗れないウィルは風邪を引いていて、リトル・ビルによって叩き出されてしまう。そのウィルやネッドたちを救ったのは売春婦であり、彼女たちが出した賞金をもらうべく、牧童たちを殺しにかかる。しかし、ネッドは殺しができず、ウィルが代わりに牧童を殺すことになる。また、スコフィールド・キッドは近眼で人殺しをしたこともなく、牧童を殺したのが初めての人殺しだった。ネッドは家に帰ることにしていたが、リトル・ビルに捕まり、殺されてしまう。それを聞いたウィルは復讐に走る。

レビュー

 1992年という西部劇の存在そのものがほとんど消え去っていた頃に制作、公開され、アカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞、編集賞の四部門を受賞した傑作西部劇が、この「許されざる者」です。クリント・イーストウッドが監督、主演を務め、かつての監督であったセルジオ・レオーネやドン・シーゲルに捧げたこの作品は、北米だけで100百万ドルを越す興行収入を得て、大ヒットを記録しています。映画の評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は96%、観客評価も93%と極めて高い評価を得ています。

 この映画は西部劇の形式を取っていますが、その善悪の境は極めて曖昧で、勧善懲悪では語れないストーリー展開になっています。主役であるウィルはかつては極悪党であったというクレジットは出てきますが、映画で描かれるウィルは、悪事から足を洗った後の状態であり、売春婦が牧童の首にかけた賞金を目当てに旅立つところも、銃の扱いを忘れたかのような腕前ですし、馬にも碌に乗れないという「本当にかつて極悪党であったの?」と思わずにはいられない失態を繰り返しています。

 それだけならまだしも、旅の途中でウィルは風邪を引いてしまい、ワイオミングの街にたどり着いた時には戦意喪失状態で、リドル・ビルに叩きのめされてしまうという情けない状態でいます。そんなウィルが、どうやって売春婦の恨みである牧童たちを抹殺していくのか、非常にテンション高い状態で物語が推移していくことになります。

 また、町の保安官であるリトル・ビルも悪党かというと、悪党ではない立ち位置にいます。売春婦の顔を切り付けられた事件の解決方法が売春婦には納得いかないものだったのはそれとして、彼が街の治安を守るために賞金稼ぎを叩きのめす姿は、ヒーロー的描き方をしているところがあります。また、ビルは自身で家を建築していて、その余暇生活ぶりにも、悪党とは思えない雰囲気を漂わせています。

 風邪から復活したウィルと、ネッド、スコフィールド・キッドは牧童たちを殺しにかかりますが、ここでも人殺しの重みがじっくり描かれていて、「人を殺すとはどういうことなのか」が重たいテーマとして描かれています。そして、それはネッドがリトル・ビルによって殺害され、その復讐に走るウィルの立ち位置と、ビルの立ち位置が交錯するクライマックスで爆発する展開になっています。

 物語で重要な位置を占めるのが作家であるボーチャンプという男です。彼は最初、イングリッシュ・ボブという賞金稼ぎの男の自伝を書いていて、ボブがリトル・ビルに叩きのめされると、ビルの自伝を描き始めます。そして、ビルがウィルによって倒されると、今度はウィルに質問攻めにしようとしています。彼の存在は疫病神のようなものであり、彼が関わった人物は悲惨な目に遭っています。ウィルはボーチャンプに関わらなかったため、悲惨な目にはあっていないクライマックスになっています。

 映像は4K/HDR10での収録になっています。マスターデータは4Kでリマスタリングされており、ネイティヴ4Kでの収録になっています。元が35mmフィルムですので、フィルム自体の解像度によって左右されていますが、全般的にはクリアな映像になっています。また、HDR10でのコントラストは、ワイオミングの広大な大地の美しさや、街の夜の薄暗さを微妙な表現で再現しており、映像に没入する感覚を覚えます。音響はdts-HD MA 5.1chサラウンドですが、dts Neural:Xでの擬似三次元サラウンドで、結構音に包み込まれる感覚を覚えます。雨や雷の鳴るシーンが多いのですが、自分自身が雨に包まれているかのような感覚を覚えます。また、銃の発砲音なども見事な移動感を示しています。

 なお、この4K UHD Blu-rayはイギリス版ではありますが、日本語設定をしている4K UHD Blu-rayプレイヤーで視聴すると、通常の4K UHD Blu-rayでは日本語メニュー、日本語字幕、日本語吹き替え音声での鑑賞が可能になっています。全世界共通仕様の4K UHD Blu-rayになっていると思います。イギリス版は、Zavviで購入したため、スティールブック仕様でのディスクになっています。

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