ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(4K UHD/iTunes Movies)

No Image 原題 THE LORD OF THE RINGS:THE TWO TOWERS
レーベル WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2002年
上映時間 179分
監督 ピーター・ジャクソン
出演 イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

 モルドールにいるサウロンと、アイゼンガルドにいるサルマンが手を組んで、世界を我が物にしようとしていた。暗黒の軍団が双方によって整備されてきて、中つ国にとって試練の時がやってきた。指輪を持つフロドとサムは、モルドールの火山に指輪を投げ込むべく、モルドールに向かって旅をしていたが、迷子になってしまう。そこに現れたのがゴラムだった。指輪の力に魅入られたゴラムは、心の葛藤の中、フロドとサムをモルドールに連れて行く。しかし、モルドールの黒門は警備が厳しく、突破するのは難しかった。ゴラムは別の道があると言って、フロドとサムを導いていく。オークに拐われたメリーとピピンは、オークを撃退する人々との戦いの中、森の中に逃げ込む。そこはエント族の住む森で、一人の木によって助けられる。オークに拐われたメリーとピピンを探して、アラゴルン、レゴラス、ギムリは旅を続けるが、途中で死んだと思われていたガンダルフと再会する。ガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリはサルマンの手によって心を奪われているローハンの王を正気にすることになる。そして、サルマンはローハンにオークの大群を送って、ローハンの壊滅を目指す。ローハンの兵士と共にアラゴルン、レゴラス、ギムリはオークに戦いを挑み、一旦は勝利するが、危機が去ったわけではないので、ローハンの民を谷間に逃す作戦をとることになる。

レビュー

 J・R・R・トールキンの壮大なファンタジー小説「指輪物語」を映画化した三部作の第二部にあたるのが、この「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」です。第一作と同じく製作費を軽く上回る興行収入を稼ぎ出し、アカデミー賞で視覚効果賞と音響賞(編集)を受賞しています。批評家評価は極めて高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は95%、観客評価も95%と高水準を維持しています。

 第二部の物語は、第一部のラストを受けて、3つのパーティに分裂してしまった旅の仲間のその後の旅を描いたものになっています。指輪を持つフロドとサムは二人でモルドールの火山を目指しますが、指輪の魔力に囚われたゴラムが二人に接近し、二人をモルドールまで道案内する役割を持ちます。フロドとサムと別れてしまい、オークに拐われたメリーとピピンは、オークを襲う人間の兵士との戦いの中、森に逃げ、エント族と出会い、彼らと行動を行うことになります。そして、メリーとピピンを探すアラゴルンとレゴラス、ギムリは、途中で第一部で死んだと思われていたガンダルフと再会し、サルマンの魔力に囚われていたローハンの王を助け出し、サルマンが送り込んだオークとの戦いに挑む、という3つのストーリーが交錯する展開になっています。その中でもローハンとオークの戦いは、物語のメインに位置していて、この「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」のメインストーリーは、フロドとサムの物語ではなく、ローハン攻略を企むサルマン配下のオークと、ローハン兵士との戦いが中心に描かれます。

 物語の主人公はホビットのフロドのはずなので、フロドとサム、ゴラムの旅もいろいろ描かれていますが、映画を見ていてこの3人の旅はメインの展開になり得ていないと思います。もちろん、メリーとピピンの物語もメインではありません。メインは前述の通りローハン攻略を狙うサルマンと配下のオーク達と、ローハンの兵士とアラゴルン、レゴラス、ギムリ達の戦いがメインになっています。なので、主人公はこの作品を見ている限り、アラゴルンがメインのような気がします。アラゴルンがエルフの恋人アルウェンとの思い出を何回か回想する場面があり、アラゴルンが主役であると言ってもいいでしょう。レゴラス、ギムリも目立ってはいますが、二人ともアラゴルンのヘルパーといったところから逸脱しておらず、中心人物ではあるものの、主役たり得ていないと思います。

 もう一つのパーティであるメリーとピピンとエント族の出会いは、ラストのアイゼンガルド攻略まで、大した進展をしておらず、あまり本筋になり得ていないかなと思います。その分、ラストのアイゼンガルド攻略戦は、予想外の展開で、悪の軍団の本拠地が崩壊する様を描いていて、爽快感があります。

 第一部の途中で魔物と戦って谷に落ちていってしまい、死んだと思われたガンダルフは、当初のグレーのガンダルフから白のガンダルフに生まれ変わって再登場し、アラゴルン達の前に姿を表し、ローハンの王に巣食っていたサルマンの影響から救い出します。そして、クライマックスのローハンとオークの戦いにいざという時に参戦し、ローハンの勝利に貢献することになります。この辺りの爽快感は見事なものであると言えます。

 フロドとサムの旅に加わることになるゴラムですが、彼は指輪の魔力に魅せられ、フロドから指輪を奪い返したいという欲求と、フロドに従ってモルドールの火山の元まで連れて行きたいという欲求との狭間で苛まれていくことになります。フロド、サム、ゴラムはゴンドールの人間達に捕まってしまうのですが、人間のファラミアが指輪の魔力に魅せられ、第一部で戦死してしまったボロミアの弟であるという衝撃の事実が明らかにされます。その展開と、最終的にフロドとサム、ゴラムが解放されるところは、第三部の展開に続くところであると言えます。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。IMDbによれば2Kで保管されているデジタルマスターがこの配信データの元になっていると書かれていますが、THE DIGITAL BITSのレビューによれば、実写部分は4Kマスターで作られ、CG部分は2Kマスターのアップスケールで4Kにしているとのことですので、映像的には半分ネイティヴ4K、半分アップスケール4Kでの収録になっています。映像の精彩感は実写部分では素晴らしいものがあり、高解像度であると言えます。HDRの効果も十分にあり、明暗さがはっきりしているところと、色彩の豊かさは魅力に溢れていると言えます。音響はDOLBY ATMOSでリミックスされており、第一部と同じく天井方向にも広がる広大なサウンドフィールドを構築しています。また、重低音もしっかり出ており、迫力感が圧倒的です。

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