『ムーンフォール』配信版レビュー|ローランド・エメリッヒが放つ“月落下”ディザスター【4K / HDR10 / DD+ 7.1】
『インデペンデンス・デイ』『2012』で知られるディザスター映画の巨匠ローランド・エメリッヒ監督が、ついに「月そのもの」を地球に落とすという前代未聞の設定に挑んだ超大作。製作費は約1億5千万ドルを投じながら、世界興行収入はわずか4千万ドル強と大失敗に終わった話題作でもあります。Amazon Prime Videoで配信中の4K HDR版は、賛否両論を巻き起こしたスペクタクルを家庭で体感できる最良の手段です。
『ムーンフォール』配信版 基本仕様
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邦題 | ムーンフォール |
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原題 | MOONFALL | |
レーベル | UK MOONFALL LLP | |
制作年度 | 2022年(劇場公開版) | |
上映時間 | 130分(劇場公開版) | |
監督 | ローランド・エメリッヒ | |
出演 | ハル・ベリー、パトリック・ウィルソン、ジョン・ブラッドリー | |
画面 | 2.39:1 / 4K / HDR10 | |
音声 | Dolby Digital Plus 7.1ch 英語・日本語 | |
字幕 | 日本語 | |
リージョン | 配信(Amazon Prime Video) | |
パッケージ | 配信専用 |
あらすじ(短縮版)
月が公転軌道を外れ、地球に迫る。元NASAのハーパー、副長官ファウラー、陰謀論者のハウスマンは、月内部に隠された“真実”と対峙し、人類滅亡の危機に挑む。
あらすじ(詳細)
2011年、NASAの任務で謎のナノ状粒子がシャトルを襲撃。ハーパー(パトリック・ウィルソン)は責任を問われ失職する。やがて現代、月が軌道を外れ始めたことを自称博士ハウスマン(ジョン・ブラッドリー)が発見しSNSで拡散、世界はパニックに。副長官ファウラー(ハル・ベリー)は極秘調査を進めるが、調査船も粒子に破壊される。
最後の希望は、博物館に眠るスペースシャトルでの月飛行。電磁パルス兵器で対抗する三人だったが、そこで判明したのは「月は自然の天体ではなく、巨大なメガストラクチャ」という衝撃の事実だった――。
見どころとテーマ
- 月の正体: ダイソン球的な発想と、人類の起源に迫るSF的展開。
- エメリッヒ流スペクタクル: 津波・地殻変動・重力異常などの映像連打。
- 家族愛の定型: 危機下での家族再生を絡める、おなじみの情緒線。
- 陰謀論と現代性: SNSでの拡散や「真実を信じない社会」が物語に反映。
- 意外な犠牲: クライマックスでの選択がカタルシスと余韻を残す。
映像レビュー【4K / HDR10】
ネイティブ4Kマスターによる高精細映像。宇宙船や月面の質感は緻密で、HDR10は明るさを強調する方向性。派手な発色が特徴だが、白飛びや黒の浅さが気になるカットもある。全体としては“配信でも迫力を損なわない”映像設計。
音響レビュー【Dolby Digital Plus 7.1ch】
配信版はAtmos非対応だが、DD+ 7.1でも包囲感は十分。月の接近による低周波や崩壊音は豊かに響き、サラウンド移動も明確。セリフは常にクリアで、音楽と効果音のバランスも安定。ホームシアターでは十分な没入体験を得られる。
総評
『ムーンフォール』は科学的整合性よりも「映像体験」を優先した大味ディザスター。評価はRotten Tomatoes批評家スコア36%、観客スコア70%と二極化しましたが、月内部の種明かしや犠牲のドラマにより、単なる焼き直し以上のインパクトを残す一本です。Prime Videoの4K HDR配信は、スケール重視のホームシアター派におすすめできる“鳴らし映え”作品です。
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