勝手にしやがれ(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

勝手にしやがれ(4K UHD/iTunes Movies)

原題À BOUT DE SOUFFLE
レーベルSTUDIOCANAL
制作年度1960年
上映時間90分
監督ジャン=リュック・ゴダール
出演ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ
画面1.33:1/DOLBY VISION
音声AAC 1.0ch フランス語
字幕日本語

あらすじ

ミシェルは、自動車泥棒をして、泥棒した自動車で交通違反を犯す。それを警官に咎められ、追跡された結果、追跡してきた警官を殺してしまう。ミシェルはパリに出てきて、パリで新聞の売り子をしているパトリシアと愛を交わしていく。二人の愛は淡々たるものであったが、愛情は深まっていった。しかし、パトリシアとミシェルが一緒にいるのを観た市民がフランス警察に連絡し、警察はパトリシアに職務質問をして、「もし、ミシェルがいる所が分かったら、連絡して欲しい」と連絡先を渡す。パトリシアは、ミシェルの愛を確かめたくて、警察にミシェルの居所を教えてしまい、警察はミシェルを追い詰める。そして、警察の放った銃撃がミシェルを捉え、ミシェルは「最低だ」というセリフを吐いて絶命する。

レビュー

フランス映画のヌーヴェル・ヴァーグの決定打とも言える作品で、ジャン=リュック・ゴダールの初長編監督映画にして、フランソワ・トリュフォーの原案を映画化したものが、「勝手にしやがれ」です。当時のハリウッドでは禁じ手とされてきたジャンプカットなどの手法を駆使して制作された映画であり、現在では名作の一つとして挙げられています。映画批評としても高水準を獲得しており、Rotten Tomatoesの批評家評価は96%、観客評価も90%と高水準を獲得しています。

ストーリーは、意外と起伏がないというか、淡々と進んでいく印象の強い映画です。物語冒頭でミシェルが自動車泥棒を起こし、交通整理に行っていた警官の指示に従わなかったために警官に追われ、警官を殺害してしまうところは、つかみとしてはバッチリなのですが、その後は、パリで新聞の売子をしていたアメリカ人女性パトリシアとの愛についてのまるで禅問答のような会話のやり取りが、メインになっていきます。

警官殺しの犯罪の結末は、ラストで決着がつくのですが、そこに辿り着くまでのストーリーが、自由な恋愛についての禅問答のような会話劇なので、物語冒頭の展開を忘れたのでは、と勘ぐりたくなるような進行になっています。

ただ、それがつまらないのかというと、ミシェルとパトリシアの愛に対する会話劇が意外と面白いのです。自由な恋愛について、フランス人とアメリカ人との見解の違いが明確に現れていて、1960年という時代背景を元にした愛についての会話が、リアリティを持って語られているところが、現代でも通じる内容になっていると思います。

そして、ミシェルとパトリシアがカッコよく描かれているために、この二人に共感するようになっているのも特徴です。二人の仕草一つ一つがスタイリッシュに描かれているために、二人の人生観に憧れるところがあり、この映画の目的の一つである映画の文法を破壊するという目的は達成しているのではないかと思います。ラストのミシェルの絶命シーンですら、カッコよく描かれているために、最初から最後までスタイリッシュな演出であると言ってもいいかと思います。

映画の文法を破壊するという点で言えば、1960年のハリウッドでは禁じ手だったジャンプカットなどの映像手法を駆使して映画が作られているのも特徴で、ものすごい新鮮な印象を受けます。今ではジャンプカットなどの手法は当たり前の手法になっていますが、当時としては斬新なものであり、それを現代の今見ても、やはり斬新であると言わざるを得ません。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。オリジナルは35mmフィルムであり、それを4Kマスターしたものですから、ネイティヴ4Kでの収録になっています。画面のアスペクト比は1.33:1のスタンダードサイズであり、また、モノクロでの収録であることから、DOLBY VISIONによる色彩管理も、モノクロの明度と暗部階調の再現のみに限定されています。4Kスキャンによる解像度は素晴らしく、フィルムの粒子がはっきり見えているぐらいです。DOLBY VISIONによる明るさ管理も、明るいシーンは白が飛び気味で、暗いシーンは黒をつぶし気味にしていますが、それがこの映画の雰囲気にマッチしています。

音響はAAC 1.0ch フランス語での収録です。モノラル音声なので、サラウンド感は全くないですが、ミシェルとパトリシアの会話劇がメインなので、モノラル音声でも不満はあまりありません。音質は決して高くはないのですが、BGMで流れる音楽が結構イカしていて、魅力を感じます。

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