THE LAST EMPEROR(4K UHD Blu-ray UK)/ラストエンペラー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE LAST EMPEROR(4K UHD Blu-ray UK)/ラストエンペラー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

THE LAST EMPEROR 4K UHD Blu-ray UKジャケット 邦題 ラストエンペラー
レーベル ARROW VIDEO
制作年度 1987年
上映時間 163分
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出演 ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 dts-HD MA 2.0ch 北京語、英語、日本語/dts-HD MA 5.1ch 北京語、英語、日本語
字幕 英語

あらすじ

1950年の中国国境で戦争犯罪者が集められ、刑務所に入れられる。その中の一人にかつての中国・清の皇帝、愛新覚羅溥儀もいた。彼は自殺を図るが刑務所の管理人に止められ、過去について告白を強いられる。1906年に中国・清の皇帝がこの世を去り、残された皇太后はわずか3歳の溥儀を新たに皇帝に指名し、彼は中国の統治者として人生を歩むことになる。溥儀は最初母から引き離されたことで寂しがり、また溥儀が暮らしていた紫禁城は閉ざされた場所であったがために、外の世界を知らなかった。何年かの時が過ぎ、母と再会した溥儀だったが、弟が「紫禁城の外は溥儀を皇帝とみなしていない」と発言し、溥儀もそれを知りショックを受ける。溥儀はお見合いで妻を二人娶る。そして、彼はイギリス人のジョンストンを家庭教師にして、紫禁城の外の世界を知り、皇帝として世の中を変えていきたいと思うようになる。しかし、激動の時代が到着し、中国は日本軍に侵略され、溥儀と妻たちも紫禁城を離れることになる。そして、ジョンストンとも別れることになる。紫禁城を離れた溥儀の2番目の妻は自分の立場を失い、溥儀から離れていく。溥儀は再び皇帝として君臨すべく、日本の天皇と面会し、満州の統治を行うことを約束するが、実際は日本軍と満州映画の所長である甘粕大尉の指揮下の元の傀儡皇帝でしかなかった。そして、1番目の妻も他の男の子供を宿し、子供は生まれるが日本軍によって殺され、1番目の妻も離れていく。そして、溥儀は次第に孤立化していく。

レビュー

中国・清の最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の数奇な運命を描いた歴史大作ドラマが、この「ラストエンペラー」です。西洋映画としては初めて中国国内で紫禁城をロケーションして撮影に漕ぎ着けた作品であり、1987年のアカデミー賞では作品賞、監督賞を含む9部門を制覇してしまった作品であります。特出すべき点は、先日逝去されたミュージシャンの坂本龍一が俳優および音楽作曲で参加しており、アカデミー賞では作曲賞に輝き、「日本人初のアカデミー賞受賞」という快挙を成し遂げたところにあります。映画としての評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は87%、観客評価も88%とかなり高い評価を受けています。

物語は3歳で清の最後の皇帝に就任した溥儀のその後の人生を、彼がこの世を去る1967年まで描いたものになっています。物語を通じて、溥儀の孤独な人生を描きつつも、動乱の中国国内の状況や日本軍の侵略、戦争終結後の戦争犯罪人としての罪の償いなど波乱の人生を描き切っています。

物語は戦争犯罪人として罪の償いをさせられる溥儀と彼を見守る刑務所の管理人との関係と、溥儀が罪の償いをさせられるために書き綴った告白文を通じての彼の人生の軌跡を交互に描くことで、溥儀の人生の儚さが浮かび上がってくるようになっています。刑務所のシーンでは冷たいトーンの色調がメインであり、過去のシーンでは豪華絢爛な紫禁城の色彩が対比され、溥儀の人生の落差の大きさがわかるようになっています。

溥儀自身は皇帝になりたくてなったわけではないので、どうしても受け身の態度で人生を過ごしていってしまうところがあるかと思います。紫禁城の中の世界しか知らず、外の世界で起きている事件のことを知らずに育ったため、自分の立場を掴むこともできずに名ばかりの皇帝として存在している様は、彼の人生の不幸さがよく出ていると思います。彼の成長過程でイギリス人のジョンストンという家庭教師と外の世界を学習することにより、次第に世界を変革したいと思うようにはなりますが、それも溥儀の想像を超えた世界の変革の様子と、日本軍の中国侵略にはなす術もなく、時代に流され、日本軍の傀儡皇帝としてでしか生き延びる方法がなかったのは、溥儀にとっての不幸であると思います。

また、溥儀は2人の妻を娶りますが、彼女たちも次第に溥儀から離れていくようになり、溥儀を支える人がいなくなっていくのも、溥儀の不幸さを強調するものであると言えます。2番目の妻は紫禁城から離れた後に自分の立場を見失い、溥儀から離れていきますし、1番目の妻も溥儀が満州国の傀儡皇帝として君臨する頃には精神を病み、子供は授かるものの日本軍によって殺されるという悲劇を生み出しています。

物語のもう一つの柱は、戦争犯罪人として罪の償いをさせられる溥儀の姿を淡々と描いていますが、その罪の償いも心から償っているとは言えず、溥儀自身が「もう誰からも利用されたくない」という思いから償っているに過ぎず、溥儀の心の傷の大きさがよくわかるようになっています。そもそも中国共産党が決めつけた戦争犯罪人としての立場からの罪の償いが正しいものだったのかは、疑問すら残ります。

刑務所の中にいる溥儀が記録映画を見るシーンで、日本軍が中国に対して行なった残虐な行為の数々が映像で描写されますが、日本で劇場公開する際にこのシーンは問題があるからとカットして、その行為が問題になったことがありました。今回視聴したのはイギリス版の4K UHD Blu-rayですので、その残虐シーンがカットされていないと思われますので、ようやくベルトルッチ自身の意図した映像が見られたことになります。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターフィルムは35mmフィルムであり、ネイティヴ4Kでの収録になっています。4K UHD Blu-rayのブックレットの「ABOUT THE RESTORATION」によれば、フィムルの傷やゴミ、埃等を取り除いてビデオマスターを作った、とありますので、かなり綺麗な状態の映像が見られます。解像度は35mmフィルムの限界を突破していますので、高精細ですが、フィルムの粒子も結構見えています。また、フィルム自体はSDRでの色彩管理だったので、このビデオマスター制作時にDOLBY VISION HDRのカラーグレーディングを改めて行なっていることが記されています。それもあってか、劇場公開時の色彩よりも綺麗な色彩を映し出しているように思えます。

音響はdts-HD MA 2.0chと5.1chの2トラックを収録していますが、今回はdts-HD MA 2.0chの方で視聴しました。2.0chのステレオ音声ではありますが、実際はDOLBY STEREO 3-1サラウンド・コンパチーブルであり、AVアンプのdts Neural:Xモードで視聴すると、スピーカーからではなく、自分の目の前にサラウンド空間が広がり、時によっては自分の横にも音が広がる効果を発揮しています。少なくとも劇場で見た時よりもサラウンド効果はよく出ていると思います。

このディスクは別ディクスにイタリアでテレビ放映された拡張版も収録されていますので、お得感はありますが、拡張版のディスクはただのBlu-rayであり、かつリージョンコードが日本と違うリージョンB固定ですので、リージョンフリーの4K UHD Blu-ray Playerを所有していない人には拡張版は見られなことになります。劇場公開版はリージョン縛りのない4K UHD Blu-rayですので、どこのプレイヤーでも視聴は可能です。

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