ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット 4K UHD Blu-ray（輸入盤）レビュー｜ブルース・リー幻の香港初公開版を復元【Dolby Vision / dts-HD MA モノラル】

ブルース・リーの記念すべき主演第1作『ドラゴン危機一発』（The Big Boss）。長らく失われたとされた1971年香港初公開版（110分）が、ついに「ザ・マンダリン・カット」として4K UHD Blu-rayで復活しました。10分に及ぶ追加映像を収録し、映画史的にも貴重な復元版です。

『ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット』4K UHD Blu-ray 基本仕様

	邦題	ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット
	原題	THE BIG BOSS: THE MANDARIN CUT
	レーベル	Arrow Video UK
	制作年度	1971年（劇場公開版）
	上映時間	110分（劇場公開版）
	監督	ロー・ウェイ
	出演	ブルース・リー、マリア・イー、ジェームズ・ティエン
	画面	2.35:1 / Dolby Vision
	音声	dts-HD MA 1.0ch 標準中国語
	字幕	英語
	リージョン	UHD=リージョンフリー（UK盤）
	パッケージ	UHD 1枚（本編＋特典映像）

あらすじ（短縮版）

チェン（ブルース・リー）はタイの製氷工場で働く従兄弟たちと共に新生活を始めるが、工場の裏に潜む麻薬密輸の闇に巻き込まれる。仲間を殺されたチェンは、封印していた拳を解き放ち、巨悪に立ち向かう。

あらすじ（詳細）

舞台はタイ。チェンは「決して人を傷つけない」という誓いを胸に新天地へ渡るが、従兄弟たちが働く製氷工場では麻薬密輸組織が暗躍していた。次々と仲間が姿を消し、殺されていく中で、ついにチェンは怒りを爆発させる。孤独な復讐の道を歩み、工場を牛耳る“大ボス”に挑む姿は、ブルース・リー映画伝説の幕開けを告げる。

見どころとテーマ

• 幻の110分バージョン： 1983年以降の100分版に未収録だったカットを復元。ジェームズ・ティエン演じるシューの存在感が強まり、物語の前半構成が厚みを増す。
• リー像を揺さぶる問題シーン： チェンが売春宿を訪れるショッキングなカットなど、イメージを覆す場面を確認できる。
• 映画史的価値： 劇場用ポジフィルム由来の追加シーンは焼き付け字幕（中・英）や経年痕を残したまま収録。当時の上映事情を“記録”として体感できる。
• ゴールデン・ハーベスト黎明期： 見慣れない旧ロゴのオープニングも資料的発見として興味深い。

映像レビュー【4K / Dolby Vision】

100分の既存パートは4Kレストアの恩恵が大きく、粒立ち豊かなグレインと精細感、Dolby Visionによる広色域・高コントラストが良好。一方、追加約10分は劇場ポジ由来のため褐色傾向・解像度低下・傷やダストあり。焼き付け字幕も残存し、画質差は明確ですが、復元版としてのドキュメンタリー性を担保しています。

音響レビュー【dts-HD MA 1.0ch モノラル】

標準中国語モノラル。帯域は限定的ながら台詞の明瞭度は良好で、打撃音も十分なインパクト。追加シーンは若干ノイジーに感じる箇所があるものの、鑑賞上の支障は小さい印象です。

特典映像一覧

過去メディア（100分版 4K / 旧Blu-ray等）との比較

• 収録内容： 本作は“初公開版”相当の約10分を追加。物語骨格は同一だが、前半の人物関係やトーンに変化。
• 画質差： 既存100分は4Kレストアで安定。追加シーンはポジ由来で劣化が目視でき、焼き付け字幕も残る。
• 資料価値： 旧ロゴや別テイクの挿入により、制作・公開当時の実相に触れられるアーカイブ的価値が高い。

総評

『ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット』は、ブルース・リー初主演作の“もう一つの姿”を可視化する復元版です。ストーリー改変こそ小さいものの、問題カットや別テイクの存在、旧ロゴの提示など、ファンと研究者にとって見逃せない要素が満載。追加パートの画質は資料性優先ですが、コレクション価値は極めて高く、ブルース・リー／香港映画の歴史的ピースを埋める一本として強く推奨できます。

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