ブルーエンジェルズ(4K UHD/Amazon Prime Video)|Apple TVで観た映画のレビュー

ブルーエンジェルズ(4K UHD/Amazon Prime Video)|Apple TVで観た映画のレビュー

No Image 原題 THE BLUE ANGELS
レーベル Amazon MGM Studios
制作年度 2024年
上映時間 93分
監督 ポール・クラウダー
出演 クリス・キャプスチャンスキー、ブライアン・ケッセルリング、モニカ・ボーザ
画面 1.90:1(IMAXシーケンス)/HDR10
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

アメリカ海軍所属の航空部隊の中から選抜された展示飛行を行うチーム、ブルーエンジェルズの1年の活動を追ったドキュメンタリー。1月の準備開始からボスをはじめとするメンバーのチームワークを整えていく様や、3月から始まる全米60回以上に及ぶ展示飛行、新たなボスの任命や、リタイアするメンバーと新たに加わるメンバーの教育訓練、家族と離れて展示飛行を行うメンバーの家族に対する愛情、メンバーを支えるスタッフの献身的作業を時系列に追いながら、ブルーエンジェルズの設立経緯や、事故でこの世を去ったメンバーへの言及、負傷して治療を受ける軍人への基金など多岐にわたる活動を描いている。

レビュー

アメリカ海軍の航空部隊の精鋭が選抜され、展示飛行を全米各地で行うエリート集団、ブルーエンジェルズの1年を追いかけたドキュメンタリー映画が、この「ブルーエンジェルズ」です。2024年の初夏にアメリカではIMAXシアターで1週間限定で公開、日本では6月28日より東京、池袋のグランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTで1週間限定公開を行なっている作品であり、アメリカでのIMAXシアター上映終了直後にAmazon Prime Videoで見放題配信が始まっています。映画の評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は85%、観客評価に至っては98%と高評価を得ています。

日本でいえば、航空自衛隊のブルーインパルスに相当するのがこのブルーエンジェルズなのですが、歴史は古く、1946年ごろから存在している航空チームです。アメリカ海軍所属のチームなので、基本的にはアメリカ海軍の活躍を知ってもらうための広報活動的航空部隊であり、この映画もアメリカ海軍を認知してもらうためのプロモーション映画として成立しています。世界各国で紛争が絶えない2020年代ですが、それを見通してこういう映画が制作されていると感じます。

ただ、軍事的な要素は映画の中ではあまり前面には出てこなくて、ブルーエンジェルズという航空チームが1年間の中でどのようにチームワークを形成したり、普段は離れて暮らす家族との絆を大切にしたり、新しいチームのリーダー選抜や、メンバーの選抜について言及があったり、展示飛行についてのブリーフィングに多くの時間を費やされていたりと、まさにチームワークの醸成を主軸に描いているのが特徴です。

ブルーエンジェルズのメンバーや彼らをサポートするエンジニアたちも、それぞれが自分の仕事に誇りを持っていることが詳細に描写され、ある種の組織論的内容を提示しています。元々が軍隊ですから、組織論は軍隊独自のものがあるのですが、それが前面に出ています。

もちろん、リーダー論についても言及がありますし、ブルーエンジェルズのメンバーになったものの事故で亡くなったパイロットについて語られたり、初のパイロットになる女性士官の話の下りがあったりと、単に軍事組織論的内容として見るには勿体無い部分もあります。

新人パイロットがブルーエンジェルズに適しているかを見極める耐G訓練の下りは、見ていて凄まじいものがあります。遠心分離機のような機械を使って擬似的に7G以上のGをパイロットにかけて、そのGに耐えるような訓練をするのですが、最初は7Gに耐えられなくて、気絶するという場面は想像を絶するものがあります。

アメリカ全土を回るブルーエンジェルズの展示飛行は全体で60回を超す飛行をツアーとして開催していて、まるでロックミュージシャンの全米ツアーのようです。そして、ツアーをこなすごとにパイロットたちが自分の操縦の腕前を上げていくのは、緊迫感があります。当然、家族とは離れ離れの生活が続くので、たまに家族と再会した時の家族愛は高いものだと言えます。

映像は4K/HDR10で配信されています。元ソースがIMAXカメラで8Kで撮影されたものであり、DIも4Kですので、映像の解像度は素晴らしいものがあります。立体感を感じさせる細部の描写は迫力があります。また、HDR10による光の輝き具合はその映像描写にリアリズムをもたらしていると言えます。配信なのでIMAXレーザー4Kの1.90:1のアスペクト比と同じですが、劇場でIMAXレーザーGTの1.43:1のアスペクト比で一回鑑賞している身からすると、上下が圧迫された感覚を受け、広角なカメラワークがスポイルされている感じは受けます。1.43:1のスクリーンで見ていない人ならば、素晴らしい迫力だとは感じますが、できればIMAXレーザーGTで鑑賞したいところです。

音声はDOLBY DIGITAL 5.1chサラウンドです。5.1chサラウンドなので天井方向の空間の広がりはないのですが、BGMやジェット戦闘機の飛行音は終始視聴者を取り囲んでいるので、臨場感は抜群です。IMAXレーザーGTでは12chサラウンドでしたので、天井方向のサウンドが欲しいところですが、ホームシアターとしては不満の少ないサウンドです。

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