『シビル・ウォー アメリカ最後の日』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|レンズが捉える“崩れる祖国”【Dolby Vision / Dolby Atmos】
A24が最大級の規模で挑んだ、アレックス・ガーランドの“報道映画”ד戦争映画”。プロの写真家リーと新米カメラマンのジェシーが、分断した合衆国を北東から首都へ縦断し、内戦の現在をシャッターに刻む。4K Dolby Vision / Dolby Atmosは、土埃・閃光・反響音の質感まで冷徹に可視/可聴化する。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』4K UHD Blu-ray 基本仕様
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邦題 | シビル・ウォー アメリカ最後の日 |
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原題 | CIVIL WAR | |
レーベル | LIONSGATE ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2024年(劇場公開版) | |
上映時間 | 109分(劇場公開版) | |
監督 | アレックス・ガーランド | |
出演 | キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー | |
画面 | 1.85:1 / 4K / Dolby Vision | |
音声 | Dolby Atmos 英語 / Dolby Digital 5.1ch スペイン語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 | |
リージョン | UHD=リージョンフリー, Blu-ray=リージョンA | |
パッケージ | UHD 1枚(本編 + 特典) + BD 1枚(本編 + 特典) |
あらすじ(短縮版)
合衆国が分裂。大統領側と“ウエスタン・フォース”(テキサス×カリフォルニア連合)が内戦を繰り広げる中、報道写真家のリー、同僚ジョエル、ベテラン記者サミー、新米カメラマンのジェシーは大統領への単独取材を目指しNYから首都へ走る。最前線を連続横断する旅は、やがて職業倫理と生存本能の境界を突き破っていく。
あらすじ(詳細)
水不足暴動の現場でリーに救われたジェシーは、恩と憧れから同行を決意。検問、ゲリラ掃討、都市戦――点描のように配された“戦場の断片”を撮り続けるうち、リーの冷静な所作に導かれてジェシーの〈撮る覚悟〉が研ぎ澄まされていく。
途中合流した記者トニーは味方兵に“どのアメリカ人だ?”と識別され射殺、サミーは仲間を庇って命を落とす。
前線はついにワシントンD.C.の門前に達し、ウエスタン・フォースが突入。銃声と反響に満ちた首都の市街戦で、彼らは“報道の誓い”すら凍らせる結末に直面する。
見どころとテーマ
- 記者のロードムービー: “首都まで”の連続取材が、国家崩落をモンタージュする設計。
- 倫理の臨界: 「撮る」か「助ける」か——カメラの選択が人格を刻む。
- 音のドキュメンタリー性: スコアを抑え、沈黙と効果音で緊張を構築。
- ジェシーの覚醒: 目撃者から記録者へ。主役の軸が静かにスライドする物語。
- 都市戦の密度: 近距離射撃、壁一枚の向こう側、反響音が作る圧迫感。
映像レビュー【4K / Dolby Vision】
ネイティブ4Kの高精細。手持ちショットでも瓦礫の粉塵や肌の微細な質感が保持され、Dolby Visionは屋外の強い陽光から夜間の閃光までピークを適正に引き上げ、暗部は黒浮きを抑えつつ階調を確保。1.85:1のフレーミングが、ハイウェイから連邦政府中枢までのランドスケープを雄弁に映し出す。
映像スコア:90点
音響レビュー【Dolby Atmos】
“無音”と爆裂のコントラストが緊張を増幅。弾道の通過音、壁面反射、ヘリの頭上移動など高さ表現が立体的で、対話はセンターに明瞭、環境音は前後左右に薄く展開。終盤の首都突入はトップスピーカーが活発に働き、デモシーン級の没入をもたらす。
音響スコア:92点
特典映像一覧と評価
特典内容 | 新規収録 | 画質 |
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Torn Asunder: Waging Alex Garland’s Civil War | YES | HD |
Trailer | YES | HD |
総評
プロパガンダを避け、ファインダー越しの“いまここ”を刻む硬質な報道劇。Dolby Vision / Atmosの相乗で、光・埃・反響音が身体化する体験に。戦争映画であり、同時にジャーナリズム映画の最前線でもある一枚。
総合スコア:91点
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