『セキュリティ・チェック』配信版レビュー|空港という密閉空間で進行する“反撃できないサスペンス”。Netflixが放った高緊張アクション【Dolby Vision / Dolby Atmos】

『セキュリティ・チェック』配信版レビュー|空港という密閉空間で進行する“反撃できないサスペンス”。Netflixが放った高緊張アクション【Dolby Vision / Dolby Atmos】

クリスマス休暇で混雑するロサンゼルス国際空港。その日常の只中で、ひとりの保安検査員が「見て見ぬふり」を強要される──。

Netflixオリジナル映画『セキュリティ・チェック』は、強いヒーローが活躍する物語ではなく、逃げ場のない状況で一般人が追い詰められていく過程そのものを描く高緊張型サスペンス・アクションである。

監督は『アンノウン』『フライト・ゲーム』など、「閉鎖空間×追い詰められる主人公」を得意とするジャウマ・コレット=セラ。本作でも空港という巨大だが逃げ場のない空間を舞台に、反撃できない主人公を中心に据えることで、『ダイ・ハード2』を想起させつつも、まったく異なる緊張感を生み出している。

『セキュリティ・チェック』作品データ

Carry-On Netflix 配信 No Image 邦題 セキュリティ・チェック
原題 Carry-On
レーベル Netflix
制作年度 2024年(劇場公開版)
上映時間 119分(劇場公開版)
監督 ジャウマ・コレット=セラ
出演 タロン・エジャトン, ソフィア・カーソン, ジェイソン・ベイトマン
画面 2.00:1 / Dolby Vision
音声 Dolby Atmos 英語
字幕 日本語
リージョン 配信専用
パッケージ Netflix配信(4K HDR)

あらすじ(短縮版)

ロサンゼルス国際空港の保安検査員イーサンは、謎の男から「ある手荷物を見逃せ」と脅迫され、愛する恋人と生まれてくる子供を人質に取られてしまう。

あらすじ(詳細)

ロサンゼルス国際空港で働く保安検査員イーサン・コーペックは、同僚ノラと恋人関係にあり、彼女はイーサンの子供を身籠っていた。

かつて警官を目指しながら試験に落ち、その夢を諦めた過去を持つイーサン。家族のために昇進を望み、繁忙期の手荷物検査へと配置転換されたその日、一本のイヤホンが彼の運命を狂わせる。

イヤホン越しに指示を出す謎の男は、「特定の乗客の手荷物検査を見逃せ」と要求し、拒否すればノラの命を奪うと脅迫する。

イーサンは警告を発しようとするが、その試みはすべて先回りされ、犠牲者が出ることで選択肢を奪われていく。

やがて、その手荷物の中身が神経ガス“ノヴィチョク”であることが判明。謎の男の目的がVIP暗殺であると知ったイーサンは、限られた時間と行動範囲の中で、決死の覚悟を固めていく。

見どころとテーマ

  • 反撃できない主人公が生む持続的緊張感
    最後まで主導権を握れない構図が、観客に強いストレスと没入感を与える。
  • 空港という現代的“密室”
    巨大だが逃げ場のない空間設定が、現代的テロサスペンスとして機能している。
  • 家族を守るための選択
    イーサンの行動原理が明確で、観客が感情移入しやすい構造。
  • ノヴィチョクという現実的脅威
    政治・軍事的背景を物語に組み込むことで、フィクションに現実感を与える。
  • 伏線回収型のクライマックス
    序盤の選択が終盤の逆転へと直結する、構成力の高さが光る。

映像レビュー【4K / Dolby Vision】

Netflix配信は4K Dolby Vision対応。冒頭のDreamWorksロゴから空港へと移行するカットで、高解像度とHDRの効果が即座に体感できる。

クリスマス時期のロサンゼルス空港という舞台も相まって、色彩は鮮やかで、明暗差の表現も安定している。一方で、演出的に落ち着いた画調の場面も多く、HDRの派手さを期待すると控えめに感じる場面もある。

映像スコア:90点 —— 配信作品としては非常に完成度の高いHDRグレード。

音響レビュー【Dolby Atmos】

Dolby Atmosは本作最大の武器の一つ。空港内アナウンス、人混みのざわめき、航空機の通過音が、頭上を含む三次元空間に自然に展開される。

派手な効果音演出よりも、「その場にいる感覚」を重視した設計が秀逸で、サスペンス性を強く補強している。

音響スコア:92点 —— 空港空間を立体的に再現する、極めて優秀なAtmos。

総評

『セキュリティ・チェック』は、強いヒーロー像を排することで成立した、現代的サスペンス・アクションである。

主人公は終盤まで翻弄され続けるが、そのフラストレーションがクライマックスで一気に解放される構成は見事。

Netflixオリジナルながら、映像・音響ともに準ハリウッド級の完成度を誇り、ホームシアター環境での視聴にも強く適した一本だ。

総合スコア:88点 —— 緊張感、技術力、構成力が高次元で噛み合った秀作。

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