トゥルーマン・ショー(DOLBY VISION/Netflix)|Apple TVで観た映画のレビュー
No Image | 原題 | the TRUMAN show |
レーベル | Paramount Pictures Home Entertainment | |
制作年度 | 1998年 | |
上映時間 | 103分 | |
監督 | ピーター・ウィアー | |
出演 | ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
トゥルーマンはシーヘヴンという平穏な街で妻のメリルとともに暮らしており、幸せな人生を送っていた。しかし、ある時、空から照明が落下してくる。それを見たトゥルーマンは不審に思うのだが、後日新聞は「飛行機の部品が落下した」と報じるのみだった。
トゥルーマンは密かにフィジーへの逃避行を考えていた。それは、彼が高校生の頃、ローレンという女学生と仲良くなり、一緒にいるうちにローレンという女学生は自分はシルヴィアが本名だと名乗り、トゥルーマンの人生はテレビのリアリティショーによって作られたものだと告げたからである。シルヴィアはその後、彼女の父を名乗る男性に連れ去られていた。
しかし、トゥルーマンはシーヘヴンから出て行く勇気がなかった。彼が子供の頃、父と一緒に船で海に出た時に嵐に遭い、父が遭難して死んでしまったからである。そのため、海に出ることに恐怖感を感じていた。
ある日、トゥルーマンは街中で浮浪者になっていた父と思しき男性を見かける。父と確信したトゥルーマンは接近するのだが、別の男性たちによって行手を阻まれる。
その後、浮浪者の格好をした父と再会したトゥルーマンは、シーヘヴンから出て行く決意を固める。しかし、トゥルーマンがどうあがいてもシーヘヴンから脱出することはできなかった。
トゥルーマンの人生とシーヘヴンは実は巨大セットで作られたものであり、テレビのリアリティショーとして24時間365日休むことなく中継、放送され、世界中の人々の関心を寄せていた。そのリアリティショーを生み出したのがプロデューサーのクリストフだった。
トゥルーマンは自分の存在意義について疑問を抱き、なんとしてでもシーヘヴンから脱出しようとする。クリストフらテレビ中継クルーの目を欺き、海に出たトゥルーマンだったが、巨大セットの中に閉じ込めておきたいクリストフらは嵐を作り出し、トゥルーマンを翻弄する。
その試練を乗り越えたトゥルーマンは、自分が巨大セットの中にいたことを知る。そして、巨大セットから脱出しようとするトゥルーマンに対して、クリストフは神のような存在としてトゥルーマンを説得するのだった。
レビュー
1990年代は人気コメディ俳優だったジム・キャリーを主役に備え、リアリティ番組の主役を知らず知らずのうちに務めていたトゥルーマンという男の人生と、リアリティ番組からの逃走を描いたブラック・コメディかつ真面目なドラマとして公開されたのが、この「トゥルーマン・ショー」です。興行収入は北米だけで制作費の2倍を叩き出し、全世界では4倍以上を稼いでいます。評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は94%、観客評価は89%と高評価を得ています。
脚本はこの映画の前に「ガタカ」を生み出したアンドリュー・ニコルが書いていて、監督は「ピクニックatハンギング・ロック」で知られるピーター・ウィアーですので、不思議な雰囲気のドラマに仕上がっています。1998年当時の映画ということで、テレビのリアリティショーの行きすぎた演出としてのドラマが展開されますが、2025年現在で考えますとテレビではなく、インターネットやSNSがこの映画で描かれたトゥルーマンの人生を暴くかのような状況を生み出していますので、テレビをインターネットやSNSで置き変えますと現実的な展開になっていて、ブラック・コメディというより恐怖感すら感じる展開になっています。
映画の特徴としては、映画の中でテレビのリアリティショーを中継するというメタ構造になっていますので、視聴者自身が「トゥルーマン・ショー」というリアリティショーを同時体験するという構図にもなっていて、視聴者がトゥルーマンに感情移入しやすい状況を生み出しています。ある意味、視聴者自身も共犯者として位置付けられる状況になっています。
映画の中では「トゥルーマン・ショー」の中継を行なっている設定ですので、画面がカメラの視点で撮影されていることが多く、画面の四隅がカメラ枠で囲まれているシーンが多いです。それもリアリティを生み出す要因です。
「トゥルーマン・ショー」を生み出したクリストフは、言ってみればトゥルーマンにおける神のような存在でありますが、トゥルーマンがシーヘヴンでの暮らしから逃走しようとするのは、神に逆らって自分の自由を求める意思の表れであり、最終的にはトゥルーマンの意志の強さが勝つ展開に、映画の中の「トゥルーマン・ショー」の視聴者と共に拍手喝采を挙げるところです。
映像は4K/DOLBY VISIONで配信されています。マスターは35mmフィルムであり、2023年にDIとして4Kマスターを作り出していますので、ネイティヴ4Kでの配信になります。35mmフィルムの状態に映像は左右されますが、4Kならではの解像度を誇り、全般的に高精細です。フィルムグレインは多少存在しますが、あまり気にする必要はないです。DOLBY VISIONによる色彩管理は明瞭で、セットの街であるシーヘヴンの作り物さ加減が、くっきり感のある色彩によって強調されています。
音響はDOLBY ATMOSで提供されています。オリジナル音声はDOLBY DIGITAL 5.1chでしたのでミックスされおなししているのですが、頭上方向を含めた空間サラウンドは映画の中に没入感を与える出来になっていて、臨場感が素晴らしいです。低音域も海の嵐のシーンなどで活躍し、嵐のシーンでは自分も嵐に巻き込まれています。また、テレビのリアリティショーという設定のため、テレビを通じて映画を見ている感覚を覚えます。
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