『未来世紀ブラジル』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|管理社会と自由のはざまで揺れる男の物語【Dolby Vision / dts-HD MA】
テリー・ギリアムが描く痛烈なディストピア風刺。官僚制と監視に覆われた世界で、夢で見た女性を追って体制に抗うサムの数奇な運命を、4K Dolby Visionで再体験できる決定版です。
『未来世紀ブラジル』4K UHD Blu-ray 基本仕様
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邦題 | 未来世紀ブラジル |
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レーベル | THE CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1985年(劇場公開版) | |
上映時間 | 143分(劇場公開版) | |
監督 | テリー・ギリアム | |
出演 | ジョナサン・プライス, ロバート・デ・ニーロ, キャサリーン・ヘルモンド | |
画面 | 1.85:1 / Dolby Vision | |
音声 | dts-HD MA 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語 | |
リージョン | UHD=リージョンフリー, Blu-ray=リージョンA | |
パッケージ | UHD 1枚(本編) / BD 2枚(本編+特典映像) |
あらすじ(短縮版)
ダクトとコンピューターが市民を管理する国家。下級官僚サムは、夢で見続けた女性ジルと現実に出会い、彼女を救うために体制のルールを破る。やがて彼は巨大な管理社会の網へと絡め取られていく。
あらすじ(詳細)
頻発するテロの最中、情報管理局のミスで無実の市民バトルが逮捕・処刑される。真相を知るジルは要注意人物として監視対象に。サムは彼女を救うべく昇進して機密にアクセスし、ジルのデータを抹消して解放するが、それは体制への反逆だった。捕らえられたサムは人格改造の危機に直面し、現実と夢の境界は崩れていく。
見どころとテーマ
- ディストピアの風刺: 管理社会の滑稽さと恐怖をブラックユーモアで描写。
- 編集権を巡る伝説: 監督意図のファイナル・カット到達までの配給会社との確執は映画史的トピック。
- 夢と現実の交錯: サムの幻想は自由への渇望のメタファー。侍風の怪物など象徴性も豊か。
- 普遍的テーマ: 1985年作ながら現代の監視・情報統制にも通底する警鐘。
4K UHD Blu-ray 映像レビュー【Dolby Vision】
35mm原版を監督監修で4Kスキャンしたネイティヴ4K。豊かなフィルムグレインと精細感を両立。Dolby Visionは暗部の階調と光源の輝度差を丁寧に再現し、退廃的でメタリックな色調設計がディストピア感を一層強める。
音響レビュー【dts-HD MA 2.0ch】
当時相応のレンジながら台詞は明瞭。AVアンプでマトリクス拡張(例:dts Neural:X)を適用すると包囲感が増し、機械音や環境音が空間的に展開。重低音は控えめだが要所の駆動音・爆発音に十分な量感。
特典映像一覧と評価
特典内容 | 新規収録 | 画質 |
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What Is Brazil? | NO | Upscaled SD |
The Production Notebook: | NO | SD & HD |
The Battle of Brazil: A Video History | NO | Upscaled SD |
Brazil: The “Love Conquers All” Version | NO | Upscaled SD |
Trailer | NO | Upscaled SD |
過去メディア(LD/Blu-ray)との比較
特典映像については、レーザーディスク発売時に収録しているものを全て再収録。4K UHD Blu-ray版としての新規映像特典はなし。画質については、レーザーディスクと比較するとレターボックス仕様からフルスクリーン仕様にアップグレードしているのと、解像度の向上、Dolby VisionによるHDR効果が格段の向上を果たしている。
総評
社会風刺・幻想美・ユーモアが高度に融合したギリアムの代表作。管理社会からの脱出と夢の自由を射抜くメッセージは今なお鋭い。ファイナル・カット相当の意図を4K/HDRで味わえる本UHDはファン必携の一本。
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