『ビルマの竪琴』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|竪琴の調べが紡ぐ鎮魂と帰郷の岐路【SDR / PCM】
戦後日本映画を代表する市川崑監督作品のひとつ。『野火(1959)』が戦場での極限的な飢餓と死を描いたのに対し、本作『ビルマの竪琴』は、竪琴と歌を通じた仲間意識と死者への鎮魂を主題とする。モノクロ映像と静謐な音響が、観る者に戦争の虚しさと人間の優しさを深く刻みつける。
『ビルマの竪琴』4K UHD Blu-ray 基本仕様
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邦題 | ビルマの竪琴 |
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原題 | The Burmese Harp | |
レーベル | THE CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1956年(劇場公開版) | |
上映時間 | 116分(劇場公開版) | |
監督 | 市川崑 | |
出演 | 三國連太郎、安井昌二、浜村純 | |
画面 | 1.37:1 / SDR | |
音声 | PCM 2.0ch 日本語 | |
字幕 | 英語 | |
リージョン | UHD=リージョンフリー, Blu-ray=リージョンA | |
パッケージ | UHD 1枚(本編) / BD 1枚(本編+特典映像) |
あらすじ(短縮版)
第二次世界大戦末期のビルマ。井上部隊は歌と竪琴で結束を深めていた。終戦後、捕虜収容所に送られる中、仲間の水島は僧侶として再会するが、彼は帰国を拒み、戦死者を弔うためビルマに残る決意を固める。
あらすじ(詳細)
1945年のビルマ。音楽教師だった井上隊長の下、兵士たちは水島の竪琴に合わせ歌いながら行軍していた。降伏を知らず抗戦を続ける日本部隊を説得するため水島が派遣されるが、部隊は徹底抗戦を選び、戦火に散る。
捕虜収容所に入った井上部隊は、水島が戻らぬまま日々を過ごすが、やがて水島に瓜二つの僧侶と遭遇。呼びかけても彼は無言のまま立ち去る。
後日届いた手紙には、水島が戦死者を弔うためにビルマに残る決意が記されていた。帰国する船上で井上隊長は仲間に手紙を読み聞かせ、歌声が彼の選択を受け止める。
見どころとテーマ
- 竹山道雄の原作を市川崑が映像化: 妻・和田夏十の脚本で、ビルマロケを敢行。リアリティ豊かな映像に結実。
- 歌と竪琴による鎮魂: 仲間意識を高め、戦死者を弔うモチーフとして全編を貫く。
- 反戦のメッセージ: 戦争を直接描かずとも、水島の選択が戦争の虚しさを突きつける。
- 異国ロケの力: ビルマでの撮影が、異郷に散った兵士の無念を際立たせる。
- 帰還と残留の対比: 国家再建に向かう仲間と、死者を弔い続ける水島。二つの生き方が戦後を象徴。
- 『野火(1959)』との対比: 同じ市川崑監督作でありながら、『野火』が極限の生存を描いたのに対し、本作は死者への祈りを描くことで補完関係を成す。
映像レビュー【4K / SDR】
35mmフィルムを4Kスキャンしたネイティヴ4K。フィルムグレインは控えめで、モノクロ映像は滑らか。SDRながら白飛び・黒潰れはなく、安定した階調表現を実現。ロケ映像の実在感が、観客を異国の戦地へ誘う。
映像スコア:84点
音響レビュー【PCM 2.0ch】
モノラル音源をリニアPCMで収録。セリフはやや聞き取りにくいが、ノイズは少なく安定。
竪琴の響きは透き通り、作品全体を支える。1956年作としては良質な音質。
音響スコア:80点
特典映像一覧と評価
特典内容 | 新規収録 | 画質 |
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Interviews with Kon Ichikawa and Rentaro Mikuni | NO | SD |
Trailer | NO | SD |
特典はインタビューと予告編。制作当時の状況を伝える資料的価値がある。
総評
『ビルマの竪琴』は、戦場での惨状を描くのではなく、竪琴と歌による鎮魂を通して戦争の無意味さを伝える。『野火(1959)』と並ぶ市川崑監督の代表的反戦映画であり、戦後日本映画史に欠かせない存在だ。4K UHD Blu-ray化によって、その映像的・歴史的価値はさらに高まり、現代の観客に新たな問いを投げかける。
総合スコア:83点
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