『クロウ/飛翔伝説』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|死を超えて燃え続ける愛と復讐。闇夜に蘇るダークヒーロー伝説【Dolby Vision / dts-HD MA】
ジェームズ・オバーのコミックを原作に、アレックス・プロヤス監督が映像化した『クロウ/飛翔伝説』は、90年代を代表するダークヒーロー映画である。
不条理な暴力によって命を奪われた男が、カラスの導きで黄泉の国から蘇り、愛する者を奪った悪党たちに復讐を果たしていく──その物語は、単なるバイオレンス・アクションに留まらず、「愛は死んでも消えない」というロマンティックな核を持っている。
さらに本作は、主演ブランドン・リーの遺作としても映画史に刻まれた一本である。撮影中の悲劇により未完成となった作品を、代役や視覚効果で完成させた経緯そのものが伝説となった。
だが、その背景を抜きにしても、雨と闇とネオンに包まれた都市のビジュアル、ゴシックでメランコリックなトーン、そして復讐譚としての純度の高さによって、本作は今なお強い輝きを放っている。
『クロウ/飛翔伝説』4K UHD Blu-ray 基本仕様
|
邦題 | クロウ/飛翔伝説 |
|---|---|---|
| 原題 | The Crow | |
| レーベル | Paramount Home Entertainment | |
| 制作年度 | 1994年(劇場公開版) | |
| 上映時間 | 101分(劇場公開版) | |
| 監督 | アレックス・プロヤス | |
| 出演 | ブランドン・リー, アーニー・ハドソン, マイケル・ウィンコット | |
| 画面 | 1.85:1 / Dolby Vision | |
| 音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 / Dolby Digital 5.1ch ドイツ語, スペイン語, フランス語 / Dolby Digital 2.0ch イタリア語 | |
| 字幕 | 英語, フランス語, ドイツ語, イタリア語, 日本語, スペイン語, デンマーク語, オランダ語, フィンランド語, 韓国語, ノルウェイ語, スウェーデン語 | |
| リージョン | UHD=リージョンフリー | |
| パッケージ | UHD 1枚(本編 + 特典) |
あらすじ(短縮版)
“デビルズ・ナイト”の夜に恋人シェリーとともに惨殺されたエリックは、1年後、カラスの魔力によって蘇る。
不死身の力を得た彼は、シェリーを奪った悪党たちへ復讐を開始するが、その背後には街を支配するさらなる巨悪が待ち受けていた。
あらすじ(詳細)
ハロウィーン前夜は“デビルズ・ナイト”と呼ばれ、街では悪党たちが好き放題に犯罪を働く悪夢の日となっていた。
その夜、立ち退きを迫るTバードと手下たちは、抵抗するシェリーとエリックのもとへ押し入り、残虐な暴力を振るう。エリックは部屋から地面へ突き落とされて絶命し、シェリーも暴行を受けた末に病院で息を引き取ってしまう。
事件を担当したアルブレヒト刑事は、その凄惨さに言葉を失う。一方、シェリーと親しかった少女サラの心にも深い傷が残った。
それから1年後、カラスの魔力によってエリックは黄泉の国から蘇る。不死身の身体を得た彼は、自分とシェリーに暴力を振るったTバードたちを一人ずつ血祭りに上げていく。しかし、Tバードの背後には“デビルズ・ナイト”を取り仕切るボスが存在していた。やがてそのボスは、エリックの力を無効化する手段に辿り着き、彼を抹殺しようと動き出す。
死してなお現世に想いを残すエリックは、サラやアルブレヒトと心を通わせながら、シェリーのための最後の戦いへ向かっていく。
見どころとテーマ
- ジェームズ・オバー原作コミックの実写映画化
スーパーヒーロー映画の系譜にも連なるが、本作はよりゴシックでメランコリックな復讐譚として異彩を放つ。 - ブランドン・リーの最後の作品
撮影中の悲劇によって彼の遺作となったことで、作品そのものが映画史の伝説となった。 - フラッシュバックが握る物語の鍵
エリックとシェリーがどのように痛めつけられたのかが断片的に明かされ、クライマックスで重要な意味を帯びる。 - 黄泉の国から蘇った男の復讐譚
不本意な死を遂げたエリックが、愛する者のために悪を裁く構図はシンプルながら強い。 - 生者と死者の心の交流
サラやアルブレヒトとの交流が、単なる復讐劇に人間的な余韻を与えている。 - 愛は死んでも生き続ける
シェリーへの愛がエリックを動かし続け、ラストではその想いが静かに結実する。
4K UHD Blu-ray 映像レビュー【4K / Dolby Vision】
1994年制作の本作は35mmフィルムで撮影され、本UHDはオリジナルネガから4Kマスターを作成している。シーンの大半は夜と雨に支配されているため、フィルムグレインはかなり多めに見えるが、それがかえって“映画を観ている”感覚を強め、ゴシックな空気を高めている。
解像感は非常に高く、時に特殊効果のアラが見えてしまうほどだが、それもまた作品の時代性として味わいになる。Dolby Visionは派手な色彩を誇示するタイプではなく、闇夜や雨の中の階調表現、ネオンや炎、逆光のきらめきを丁寧に引き出しており、黒潰れなくダークヒーローとしてのエリックの存在感を際立たせている。
映像スコア:91点 —— グレインを残した4K化が大正解。闇と雨と光が織りなすゴシック世界を、理想的にアップデートしたUHD。
音響レビュー【dts-HD MA 5.1ch】
劇場公開時はdtsとDolby Stereoで提供されていた音響を、本UHDではdts-HD MA 5.1chでロスレス再現。劇場公開時よりも音質は明確に向上しており、低音が持続的に物語全体を支え、ダークなテンションを保ち続ける。
5.1chサラウンドは派手すぎないが、視聴者の周囲に雨音、銃声、環境音、音楽が鳴り響き、没入感はかなり高い。全体音量はやや低めなので、AVアンプのボリュームをしっかり上げると本領発揮。
dts Neural:Xで再生すると、頭上方向への擬似的な広がりも加わり、よりイマーシヴな感触が得られる。
音響スコア:87点 —— 低音の持続と包囲感が効いた、ダークトーン重視の5.1ch。音量を上げると化けるタイプ。
総評
『クロウ/飛翔伝説』は、ダークヒーロー映画として今観ても十分に魅力的だが、それ以上に主演ブランドン・リーの遺作として、悲劇とともに語り継がれる伝説の映画でもある。ようやく自身の魅力を全面的に発揮できる役に巡り会った矢先の事故だっただけに、その喪失感は今なお大きい。
それでも本作は、ブランドンの死という背景だけで評価される作品ではない。アレックス・プロヤス監督の映像感覚、雨と闇に支配された都市の世界観、愛と復讐を一体化させたドラマの強度によって、単体でも完成度の高い一本になっている。4K UHD版はその魅力を現代のホームシアターにしっかり持ち込む好ディスクだ。
総合スコア:90点 —— ブランドン・リーの遺作という悲劇を超えて、なお輝き続けるダークヒーロー映画の金字塔。

コメント