『T-REX』DVD(輸入盤)レビュー|フィルムIMAX時代を代表する恐竜映画。3Dで甦った白亜紀をドラマ仕立てで体感する【SDR / Dolby Digital】

『T-REX』DVD(輸入盤)レビュー|フィルムIMAX時代を代表する恐竜映画。3Dで甦った白亜紀をドラマ仕立てで体感する【SDR / Dolby Digital】

1998年にIMAX 3D作品として公開され、その後も世界各地のIMAXシアターで長期間にわたって繰り返し上映された『T-REX』。

T-REXをはじめとする恐竜が生きていた白亜紀の世界を、少女が時空を超えて体験するというドラマ形式を採用しながら、当時の恐竜研究を盛り込んだ教育映画として作られている。

IMAXシアターでは巨大なフィルムスクリーンと3D映像によって恐竜の世界を体感できた作品だが、家庭用ビデオとして発売されたのはDVDのみ。本DVDでは2D/SD画質という大きな制約があるものの、1.33:1という画角によってオリジナルのIMAXフィルムに比較的近い映像範囲を見ることができる。

かつてフィルムIMAXシアターで親しまれ、日本ではメルシャン品川IMAXシアター閉館時にも上映されていた、IMAXフィルム時代を振り返るうえでも貴重な一本である。

『T-REX』DVD 基本仕様

T-REX:BACK TO THE CRETACEOUS DVDジャケット 邦題 T-REX
原題 T-REX:BACK TO THE CRETACEOUS
レーベル Warner Home Video
制作年度 1998年(劇場公開版)
上映時間 44分(劇場公開版)
監督 ブレット・レナード
出演 ピーター・ホートン, リズ・スタウバー, カリ・コールマン
画面 1.33:1 / SDR
音声 Dolby Digital 5.1ch 英語, フランス語, スペイン語
字幕 英語, フランス語, スペイン語, ポルトガル語
リージョン DVD=リージョン1
パッケージ DVD 1枚(本編 + 特典)

あらすじ(短縮版)

恐竜研究者を父に持つ少女アリーは、博物館でT-REXの卵らしき化石から噴き出したガスを吸い込んだことをきっかけに、6500万年前の恐竜世界へと迷い込む。

現在と過去を行き来しながら恐竜研究の先駆者たちと出会い、恐竜について学んでいくアリー。そして彼女は、ついにT-REXの巣へとたどり着く。

あらすじ(詳細)

カナダでドナルド・ヘイデン博士は、仲間たちと共に恐竜の化石を発掘していた。崖を降りて調査をしている最中、ヘイデン博士はT-REXの卵らしき化石を発見する。

恐竜の化石発掘が忙しいため、ヘイデン博士は娘のアリーに電話をかけ、「帰りが遅くなる」と告げる。父との時間を楽しみにしていたアリーは不満そうだったが、仕事ならば仕方がないと受け入れるしかなかった。

帰宅後もヘイデン博士は、自分が勤務する博物館で化石の調査を続けていた。そこへアリーがやってくる。

ヘイデン博士はアリーと一緒に時間を過ごそうとするが、新たな仕事が入り、その場を離れなければならなくなる。

父の仕事が終わるのを待っていたアリーは、ふとしたはずみでT-REXの卵らしき化石を床に落としてしまう。割れた化石から噴き出したガスを吸い込んだアリーは、不思議な体験を始める。

博物館にいたはずのアリーは、6500万年前の地球へと移動し、恐竜たちが生きていた世界を目の当たりにする。

アリーは現在と過去を行き来しながら、恐竜研究の第一人者たちとも遭遇し、恐竜についての知識を蓄えていく。

そして、ついにT-REXの卵が眠る巣へとたどり着く。

その頃、博物館ではアリーの姿が見えなくなったことに気づいたヘイデン博士と警備員が、彼女の行方を探し始めていた。

見どころとテーマ

IMAXフィルムでT-REXを中心とした恐竜の生態を描く、ドラマ仕立ての教育映画

本作はIMAXフィルム上映を前提に制作された作品であり、少女アリーの冒険というドラマ形式を採用しているものの、本質的には恐竜が生きていた時代を、当時の研究成果に基づいて紹介する教育映画である。

ストーリーを通して恐竜について学べる構成にすることで、純粋なドキュメンタリーよりも幅広い観客が入り込みやすい作品になっている。

IMAXシアターでは3D上映、DVDでは2D収録

本作の大きな特徴が、IMAXシアターでは3D作品として上映されていたことである。

家庭用ビデオではDVDでしかリリースされなかったため、本DVDは通常の2D映像で収録されている。しかし、恐竜がカメラに迫ってくるショットなど、映像の至るところに3D上映を意識した構図が確認できる。

2Dで鑑賞していても、「ここはIMAX 3Dでは立体的に見えただろう」と想像できる映像が多い。

T-REXをはじめとする恐竜をCGで再現

6500万年前に生きていたT-REXをはじめとする恐竜たちは、CGによって映像化されている。

『ジュラシック・パーク』以降、恐竜をCGで生き生きと描くことが可能になった時代の作品であり、実写映像とCGを組み合わせることによって、アリーが実際に恐竜の世界へ入り込んだような映像を作り上げている。

ドラマ仕立てながら、当時の研究成果を反映した恐竜描写

少女が6500万年前へ移動するというファンタジー的な物語ではあるものの、恐竜についての説明そのものは、1998年当時の研究成果を反映したものになっている。

物語を楽しみながら恐竜の生態や恐竜研究について学習できる点では、IMAX教育映画としての役割をきちんと果たしている。

IMAXフィルム作品らしい44分という短い上映時間

教育向けIMAX映画ということもあり、上映時間は44分。

長編劇映画のように複雑なストーリーを展開するのではなく、アリーの冒険を軸に恐竜の世界をテンポよく紹介していくため、短い時間の中でIMAX映像と教育的内容の両方を楽しめる構成になっている。

DVD 映像レビュー【0.7K / SDR】

オリジナルは70mmのIMAXフィルムで制作されているが、本DVDではDVD-Videoの規格である720×480ピクセルの中に、1.33:1のアスペクト比で収録されている。

IMAXフィルムのオリジナル画角は1.43:1なので、1.33:1収録の本DVDでは画面の欠落が比較的少なく、オリジナルに近い構図で全体像を見ることができる。

これは現在のワイドテレビ向けに1.78:1へトリミングされたIMAX作品とは異なる、本DVDならではの興味深いポイントでもある。

一方、解像度についてはDVDなのでSD画質に留まる。

細部の描写は大きく失われており、現在のBlu-rayや4K UHD Blu-rayと比較しても、映像の古さを強く感じる場面はある。

しかし、アナログテレビ全盛期に家庭用ビデオとして高画質を追求していた時代のDVDとして見れば、意外なほどフィルムらしい質感は残されている。

見始めた直後こそ解像度の低さが気になるものの、作品に入り込んでしまえば、次第にそれほど気にならなくなっていく。

色彩もSDRという制約はあるが、DVDとしては比較的カラフル。

実写で撮影された現代のシーンと、CGによって恐竜が再現される6500万年前のシーンでは色調の違いが確認でき、それぞれの世界を視覚的に区別する効果を生み出している。

IMAXフィルムが本来持つ情報量を家庭で再現するにはあまりにも解像度が不足しているものの、1.33:1という画角によってIMAXフィルム作品としての構図を比較的よく残した、現在では資料的価値も高い映像と言える。

映像スコア:78点 —— SD画質という限界は明確だが、1.33:1収録によってIMAXフィルム本来の画角を比較的よく残した貴重な映像。

音響レビュー【Dolby Digital 5.1ch】

劇場公開時にはIMAX 6-Trackで上映された本作だが、DVD化にあたってはDolby Digital 5.1chにリマスタリングされている。

ロッシー圧縮音声であるため、現在のBlu-rayに収録されるdts-HD MAやDolby TrueHDなどのロスレス音声と比較すれば、情報量や音の密度では不利である。

しかし、5.1chサラウンドそのものの演出はかなり積極的だ。

6500万年前の世界では、恐竜の鳴き声や移動音、自然環境の音が視聴者の周囲に配置され、自分自身が恐竜の生きていた世界へ入り込んだような感覚を味わえる。

特にT-REXの咆哮は強烈で、『ジュラシック・パーク』のT-REXを思わせる迫力のある低音と音圧を伴って再生される。

恐竜の移動に合わせた音の移動感も明瞭で、映像自体はSD画質であっても、サウンドによって作品世界への没入感が大きく補強されている。

音質そのものにはDolby Digitalというフォーマットの限界を感じるところもあるが、サラウンドデザインについては、IMAX作品らしい大きな空間を意識した作りになっている。

映像以上に現在でも楽しめる要素であり、ホームシアターで再生するとDVDというフォーマットから想像する以上の臨場感を味わうことができる。

音響スコア:86点 —— ロッシー音声ながらサラウンド演出は積極的。恐竜の移動とT-REXの咆哮が、IMAX作品らしい臨場感を生み出す。

総評

『T-REX』は1998年にIMAXフィルムシアターで公開され、その後も世界各地のIMAXシアターで長期間にわたって繰り返し上映された作品である。

特に日本では、かつて品川プリンスホテルに存在したメルシャン品川IMAXシアターの閉館時にも上映されていた作品として、フィルムIMAXを体験した人にとって記憶に残る一本でもある。

ドキュメンタリーが多かった当時のIMAX映画の中では、少女アリーが6500万年前へ移動するというドラマ形式を採用していることに新鮮味がある。

しかし、その内容を紐解けば、1998年当時の研究によって明らかになっていた恐竜の生態を、物語を通して観客に伝える教育映画であり、基本的な目的はIMAXドキュメンタリーと大きく変わらない。

家庭用ビデオとしてはDVDしか発売されておらず、Blu-rayや4K UHD Blu-rayといった高解像度メディアへの移行が行われなかったため、現在この作品を家庭で鑑賞するには本DVDが貴重な存在になっている。

720×480ピクセルというDVDの解像度は、巨大な70mm IMAXフィルムが持っていた映像情報量を再現するには明らかに不足している。

それでも1.33:1というアナログテレビ向けの画角が、結果的にIMAXフィルムの1.43:1に比較的近く、現在のテレビ向けに上下を大きくトリミングすることなく、オリジナルに近い構図を確認できる点は興味深い。

一方、Dolby Digital 5.1chのサラウンドは予想以上にアグレッシブだ。

恐竜の移動、自然環境、T-REXの咆哮などが視聴者の周囲へ広がり、映像の解像度不足を音響が補っている。DVDという古いフォーマットであっても、ホームシアターで再生することでIMAX作品として制作された片鱗を感じ取ることができる。

フィルムIMAXが姿を消した現在、『T-REX』を当時と同じ条件で見ることは難しい。

だからこそ、本DVDは単なる旧世代の映像ソフトではなく、かつて世界各地のIMAXシアターで繰り返し上映されていた作品を家庭で確認できる、フィルムIMAX時代の記録としても価値のある一枚だと思う。

総合スコア:86点 —— 映像フォーマットには時代的制約があるものの、ドラマと教育性を両立したIMAXフィルム時代の代表作。DVDでしか残されていないことも含めて貴重な一本。

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